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派遣労働という制度は、人間軽視の制度 [労務管理・労働環境]

派遣労働者の歴史は案外古く、
前身は、事業場内社外工と言っていました。
職業安定法違反だったので、派遣労働者という名称は
おおっぴらにはできなかったのです。

隠れては、人材派遣業という名称の業をやっている業者もいました。
宣伝文句は、「景気の調整弁に利用ください。」
というものでした。

高度成長期のころからあったようです。
要は、企業が従業員を解雇することは違法、無効になることが多く
自由に解雇できないために、従業員ではない者にしごとをさせたかった。
年功賃金のように、賃金が上昇していくことを避けたかった。
労働組合に入ってほしくなかった。
という、ILOが日本企業の三種の神器といったものの否定の
制度だったようです。

効率を求めるのは、会社の使命ですが、
人間に働いてもらって、利益を得るのですから、
人間を人間として扱うというのは、前提とならなくてはなりません。
人間は、すべからず、生活がかかっているし、
不当に軽んじられたら傷つくという心を持っています。
あたりまえのことでしょう。
あたりまえだから、これを否定する理由のない解雇は無効となっているのです。
裁判所など、第3者が割って入って、
解雇がなかったことにされるのです。

それをかいくぐろうとするのが派遣労働制度です。
生活や人格、こころは全く無視ということになります。

問題は、これが法律でよしとなったことにあります。
会社は、これがなければ、しぶしぶでも、
労働者も生活があるからなあと
人員削減をしない労務政策を選択して、なんとかやりくりを
しようと努力をするわけです。
しかし、派遣という制度もあるし、「いいんだあ」
と思うようになれば、とてもこわいことです。
解雇してもいいんだ、代りが来るから乱暴に扱ってもいいんだ、
賃金を上げなくてもいいんだ、
法律は、このように独り歩きしてゆくものです。

裁判をやれば勝てると言っても、
弁護士を探し、弁護士費用を負担して、
時間をかけて打ち合わせをし、裁判に出る。
この負担は並大抵のものではありません。
そんなことしているより、家族のために、
次の仕事先を探さなければなりません。

派遣労働という制度は、むしろ正社員の労働条件に
極めて深刻な影響を与えるようです。
事業場内社外工と事業場内下請け労働者と呼ばれている頃から、
正社員の死錘となるといわれていました。
死につながるおもりということですね。
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