SSブログ

弁護士が自殺対策に取り組む理由2 うつ病の入り口に立ち会う業務 [自死(自殺)・不明死、葛藤]

朝日新聞の記事はローカル版だったのですが、
ネット配信されているため、
自殺をキーワードで検索すると出てくるんだそうです。
福井県から問い合わせが来てびっくりしています。

時に、警察庁によるとわが国の自殺者は
平成10年から11年間、3万人を越え続けているそうです
(なぜか厚生労働省はここ3年連続)。
交通事故の死亡人数が数千人台であることを考えると、
異常な高止まりです。

自殺者の約7割は、自殺までにうつ病に罹患しているという指摘があり、
不明分を合わせるとそれ以上の割合でうつ病が関与して
自殺と言う行動に踏み切るものとの指摘もあります。

うつ病は、原因不明や遺伝要因等内因性のもの、
ストレスなどによる心因性のもの、
頭部外傷などによる外傷性のもの
と、3つの原因に整理されるそうです。

このうち、心因性うつ病の誘引因子、ストレサーとしては、
疾病、多重債務、過重労働、イジメ、企業倒産、DV等があげられます。
平成10年からの異常増加について、
内因性、頭部外傷性うつ病が増加する要因はないのですから、
心因性うつ病による自殺が高止まりしているということになります。
現代社会のストレスの増大です。

この心因性うつ病の原因の増加しているストレッサーについては、
ほとんど弁護士が業務として関わっているということになります。
そもそも、調停や裁判の当事者になること自体が著しいストレスです。

弁護士は、ほぼ常に依頼者や相手方の
うつ病の入り口に立ち会っている
という仕事をしているわけです。

弁護士が、その業務の処理過程において、
相談者や依頼者、相手方のストレスを
必要以上に過大なものにしていないかということが
第1に心配しなければならないことです。

例えば、うつ病の人に、がんばれと言っていけません。
うつ病の人はがんばれないという症状を持つものであるから、
これは不可能を強いられていると感じることになります。
それ自体が重大なストレッサーです。

また、うつ病患者は重大な決断をしてはいけない
とお医者さんから止められることがあります。
それにもかかわらず、急がなくてもいい決断を
急がせることも危険なことです。
  
こんな風にうつ病患者、うつ病予備軍の人たちに対して、
誤った業務処理をすることによって、
うつ病を増悪させたり、発症させたりしないように、
弁護士は、勉強をしなければならないと思うのです。

そもそも、日常の業務の中で、うつ病の兆候があるのに、
弁護士がそのことに気がつかず、精神科医への受診を勧めることを怠ったり、
禁忌を犯したりすることのないようにすることも必要だと思われます。

このように、弁護士はうつ病、もしかしたら自殺の
入口に立ち会っているのだから、
自殺対策を積極的に行うべきであるし、
その対策の内容は、
自分たちがうつ病やストレスに対する
正しい知識を習得することが第1だと思うのです。

*****

今日の本文も同業者に対するプレゼンの
ですます調バージョンでした。
いや、ちょっと良くできたかなと思って・・・

一人ひとりの弁護士の学習に任せていたのではしょうがないので、
現在仙台弁護士会では、
お医者さんにお願いして、先ず自分たちの学習活動を
自殺対策の一環として始めようとしているのです。

自分たちの啓発活動だけでなく、
自治体に向けた提言活動、
社会への啓発活動等も考えており、
こういう活動を弁護士会として取り組むということが
どうやら全国で初めてだったので、
朝日新聞のの記者に取り上げられた
というわけでした。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0