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親権法改正研究 その2 児童虐待する親に対する援助こそ根本問題 [家事]

未成年の子は、親が契約を締結したり、
財産管理をしたりするので(親権を持っている)、
虐待する親が医療を受けさせなかったり、
必要な教育を受けさせない場合、
親の親権よりも行政の判断を優先させるべき場合がある、
このため、親権の一部停止などの法的手続きが必要
ということで、法務大臣は法制審議会の中に、
児童虐待の防止に関する部会を作り、
この法改正を検討しているわけです。

私の中間の結論、問題意識として、
児童虐待をする親に対する援助の制度の充実、
親権を奪われることは、親に対する
人権侵害の要素があるという視点を持って欲しい
ということになります。

へそ曲がり弁護士の真骨頂、面目躍如ですか。

どんなに虐待する親でも、
親権を奪われることは抵抗があるようです。
どんなに虐待する親でも、
その親なりに子供に対する愛情や本能がある
場合が多いようです。
行政に受け入れられやすくいえば、
どんなに虐待する親でも子供に対して執着する。

全部が全部ではないのだろうけれど、
私が事件にかかわった範囲では、例外はありません。
事件といっても、親が子供に対する殺人未遂だったり、
子供の非行事件であったり、
法律相談であったり、
はたまた離婚事件であったり、
色々な事件で、私のかかわりというごく小さい体験ですが。

そこで気がついたのは、
虐待する親は、自分が虐待されたように虐待するということ。
会社で無視されたり、人格を否定される扱いを受けたり、
自分の親との葛藤だったり、
親が自分の精神的公平を保つために
虐待しているという親の防衛行動の要素が
垣間見られることがあります。

無抵抗の自分がこんなに傷ついています。
無抵抗の赤ん坊は、自分なのです。
とでもいいたいように。

それから、虐待される子供の影響について、
深刻なほど無知です。
子供に人格があり、それが傷ついているということも
よく理解ができないのではないかと思われる節があります。

まあ、自分だって、
そんなに偉そうなことは言えないかもしれません。
自分の子供からしてみれば。

私は、児童虐待の全部とは言いませんが、
相当数については、
児童虐待の根本的な解決は、
こうした親の無理解に対する助言、教育であり、
虐待をしないようにしたい親に対する援助
ということがあると考えるのです。

親の職場の問題が深刻であれば、
職場の改善を行う必要があるし、
経済的問題があれば、やはり援助を考えるべきで、
多重債務は弁護士に行って解決の方法を助言し、
父親の浮気の問題があれば、改善の方法を示し、
子育て事態に困惑してれば子育て支援をし、
健康問題については(特に精神疾患の場合)
治療を受けられる体制をとる。
まさに自殺対策と一緒です。

即ち、児童虐待も、
落語に出てくる長屋では起こりえないことです。
マンション等人口密度が高い中での
プライバシーが確立した居住環境という矛盾した
でおきているわけです。

本来地域コミュニティーの中で、
予防ができていた問題のようです。
それができないのだからこそ、
行政の出番なのかもしれません。

しかし、児童を保護する行政は、
虐待する親に対して
敵対という視点が露骨すぎる様な
懸念があります。
虐待された児童の様子を見ていれば、
それは、むしろ当然なのでしょうが、
虐待は悪、虐待する親は親権を取り上げろ、
子供は親から離せ、
保護施設に親が来るのは困ったもの、
「つきまとい」だ
というシンプルな対応は考えものです。
そのような親に対する嫌悪、軽蔑は
親に確実に伝わります。

それが仕方が無いケースも多いのでしょう。

されど親子なのです。
親権を切ったって親子の縁は切れません。
行政の親に対する態度は、
確実に子供にも伝わります。

親に対する助言や、提案を
親が素直に受け入れる余地を
必要以上に狭めているようです。

親に必要なことは、
自分の立場に立った人間の助言、援助です。

同じ提案、助言でも
自分の子供を連れさっていった
児童相談所からの助言や提言は脅迫ですが、
自分を理解してくれる者からの言葉は、
ああそうかもしれないなと、
なるほどそういう考えもあるのかと、
それは自分にとって得かもしれないなと、
思われることがあるのです。
というかありました。

児童虐待防止の政策の中に、
国家機関、行政機関とは別に、
付添い人という制度を設けてもらいたい。

まず、親権喪失、制限の手続きに
国選付添い人をつけ、
必要以上に親権を失うことが無いようにするとともに、
今後の反省のチャンス、やり直しのチャンスを
作ってほしい。
付添い人も、単に親権制限に対抗するのではなく、
子供の福祉の観点から、
親に助言を与える役割を果たすようにする。

児童相談所との関係でも、
親と児童相談所の橋渡しをして、
改善するべき日常生活を
親の立場からアドバイスする、
あるいは児童相談所の提案を履行しやすくする
日常的付添い人、
あるいは、援助施設をつくる。

例えば、(昨日からしつこいですが)
親が子供に携帯電話を持たせないことを
行政が虐待として扱っているような場合、
携帯電話の弊害を行政に説明するとともに、
行政が家庭に入らない領域であることを提言する
そんなフォローが必要だと思うのです。

行政は児童保護を行政サービスとして扱っているので、
おそらく気付かないし、疑問も持たないでしょうが、
虐待したとされる親の人権侵害という問題が、
少なくとも親の主観的には、常に存在します。

また、虐待している親は、
もともと社会から孤立していたり、
虐待が露見したことでさらに孤立していたりしますので、
もともと助言してくれる友達、親、兄弟が
いないことが多いようです。

ボランティアといっても、限りがあるし、
なかなかたどり着きません。

国選弁護人のような
付添い人制度こそ、
喫緊の課題であると
考える次第です。
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