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親権法改正研究 その1 児童虐待と親権の制限。これもまたご縁。 [家事]

現在、国は、親権に関する法律を改正しようとしています。
児童虐待を行った親の親権を一的に停止し、
児童相談所所長が一定期間親権を行使するという
制度をつくることなどを検討しているようです。

法務大臣の諮問機関である
法制審議会児童虐待防止関連親権制度部会
というところで、具体的に論議がなされているようです。

色々ご縁があったので、
研究を始めたわけです。

ひとつには、弁護士会の中の
法制度の改正についての意見を取りまとめる委員会に
入れてもらっているので、
いずれ、検討しなければならないということ、

ひとつには、上記法制審の部会の幹事に
尊敬する東北大の准教授の先生がいて、
フランス、イギリスの法制度の研究発表を行い、
ご活躍されているので、
色々教えていただけるのではないかと
むしのいい期待をもったこと、

それから、4月に、
児童虐待の問題について、
法律相談や、法テラスの審査、
人権擁護委員の人権相談で、
親の側から、立て続けに相談を受けた
という経験をしたばかりということがあり、
生々しいテーマだったということも大きいです。

これまで、そんな相談は
あまりありませんでした。
これもまた、ご縁のようです。
ご縁を感じたら逆らわないことにしています。

親権法改正は、
増え続ける児童虐待への対処という
側面があります。
これも、平成に入ってから
右肩上がりに増え続けているようです。

失業、自殺、離婚、自己破産、犯罪
それに児童虐待、精神疾患と
世の中悪くなっている共通項がありそうです。

小さな政府は、結局高くつく
何度も指摘されていることが、
また検証された皮肉を感じます。

児童相談所に保護しても、
親が妨害したり、協力しなかったり、
ということが多く見られてきたので、
親権法改正の必要性がいわれているようです。

ただ、増え続ける児童虐待に対して、
児童相談所の体制はそれほど拡大していない
という点も問題がありそうです。

法改正の必要性は確かにあるようで、
ニュースなんぞを見ると、
親の側の信じられない虐待があまりにも多いようです。
取り返しのつかないことを
些細な理由でやっちゃっている
ということが増えているようです。

自分の娘の裸の写真をとって
小銭を稼いで捕まっている母親の記事は、
毎日のように目にした時期がありました。

しかし、
親の側から見れば、一時的にせよ
親権を取り上げられるということは
人権侵害の側面があります。

親権を制限される親の立場からすると、
親権を制限されるということは、
刑事手続きに似ているところがあります。

刑罰は、犯罪者に対して、
自由や財産を奪うというものです。

親権制限も、親の一定の行為に対して、
国家が強制的に
親権を奪うものですから、
共通項があるわけです。

そうすると冤罪という視点を持つ必要が出てきます。
一つに、
親が虐待しているわけではない場合があります。
実は別人が、親の目を盗んで虐待している場合、
それに気がつかない親にも責任はあるわけですが、
親権の制限が必要な事案なのか
誤認のまま、児童の利益ということで
親権が制限ないし喪失されていいのか
ということがあるわけです。

もう一つは、何を持って虐待といえるかという
問題があるようです。
積極的に暴力を加えたり、
食事を与えないことを続けたり、
性的虐待をする等、
わかりやすい虐待の場合は、
それほど問題にならないと思うのですが、

衛生面に問題があるとか、
食事の内容とか、
一般的に問題があると言えても、
国家が強制するということを
どこまで認めるかなやましいことが
でてきます。

国家予算も限られているところで、
人員も不足していますから、
あちらではこの程度だと親権制限が無いのに
こちらでは子供を連れていかれた
というのでは、不公平の問題も出てきます。

法制審議会で、検討事例として、
保護された児童が、アルバイトをしてお金を作り
携帯電話の契約をしようとしているのに、
親権者が許可しないので、契約できない
という事例があります。

よくわからないのですが、
学校教育法の児童は小学生のことですが、
小学生が携帯電話を持つ弊害もあるので、
許可しないということが親権制限の理由になるとは
思えないのです。

児童福祉法の児童は、もう少し上まではいるのでしょうか。
そうですか、18歳未満ですか。
高校生ならバイトするか。
しかし、携帯電話で、数万円から10万円以上使って、
問題になるケースも多いですから、
反対する理由が無いわけではない。
そういう家庭が決めるべきことが、
児童相談所長の判断で親権制限の理由にしてよいのか
疑問があるわけです。

圧倒的多数に問題が無くても、
相当数の人権侵害問題が出るなら、
その制度は、国の制度として問題です。

今日のところは、長くなったようで、
そのような観点からは、親権停止という立法より
フランスの公的機関の親権を重ねて認めて、
そのために親の親権が制限されるという
制度に魅力を感じるというところを述べて
終わりといたします。

次回は、
実例の相談経験から、
親に対する援助の観点と
付添い人制度、
精神疾患の親の問題
等についてお話ししたいと思っております。



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