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意識もうろう下の犯罪、心神喪失で釈放、こぼれ話し。勾留期間と起訴のもう一つの関係とか。 [刑事事件]

ハルシオンとアルコールを併用して、意識もうろうとなり、
24時間ショップでの窃盗をしたという事案で、
心神喪失が認められ、釈放された事案の最終回。
今日はこぼれ話。

先ず、この事件、担当の検察官にめぐまれたでしょう。

おそらく、一つの考えとして、
きちんとかばんの中に商品を入れているので、
態度はおかしいけれど、窃盗は完全に成立しているし、
泥酔していただけだということになれば、
起訴が見込めるという考えもあると思います。

担当の検察官の方は、
私が担当している事件、現在4件中3件担当されていて、
うち1件が高裁事件なので、
行けども行けどもという感じです。
まあ、私が担当する前に、
検察官の担当が決まるので、
検察官の方こそ、行けども行けども
またこいつかよと思われているかもしれません。

それはともかく、
検察官が、あるいは警察官が、
証人の話もリサーチし、
薬の効果、副作用等も理解され、
心神喪失という結論を出されたので、
敬意を表さなければなりません。

私も2本、意見書を提出しましたが、
これは当たり前なので、
さらっと触れて次行きましょう。

釈放されるかどうかは、
釈放されてみないとわからないですが、
実際は、事実上わかります。

情報源は、先ず被疑者です。
検察官調べの後に釈放になるのですが、
検察官の口ぶりから、釈放がそれとなくわかる場合があります。

それから通常は、釈放するかどうかを決める日でわかります。
即ち、起訴前の勾留(警察署、拘置所等に拘束)は、
通常10日単位で、決められます。
一度延長が認められますので、
20日が満期になることが多いです。

この20日間すべて勾留され続けていると、
必ず起訴されて、そのまま保釈されない限り、
釈放されません。
法律には定められていない、
刑事慣習上のルールみたいなものがあるそうです。

今回は、本来の満期が今日、月曜日だったのですが、
お役所ですから、
こういう場合、金曜日に処分がなされることが多いのです。
職員の方々はやはり、土日休みが多いのでしょう。
ゴールデンウィークなんてあると、
捜査機関はてんてこ舞いのようです。
法律には、土日祝日なんて関係なく、
あくまでも20日だからです。

金曜日に処分があるということはわかっていたのですが、
月曜日は祝日だから金曜日かなという
余計な判断もあり、
釈放という確信が持てなかったということはありました。

次の話題、
本件は、心神喪失下の犯罪ですが、
これが、殺人、強盗、強姦等凶悪犯罪の場合は、
医療観察法の対象となり、釈放される場合、
強制的に精神鑑定が行われて、
入院治療の措置が取られることになります。
ところが、先ず、本件は、そのような凶悪犯罪ではありませんでした。

次に精神保健福祉法の
保護入院、措置入院の措置で、
やはり治療が開始される場合がありますが、
精神疾患ではなく、アルコールとハルシオンの併用ではないので、
正気に戻っている以上、
何らかの治療を強制することはできません。

この点捜査機関は不安だったと思います。
私は、弁護活動として、被疑者本人に
薬の副作用として健忘や攻撃的行動に出るということを説明し、
薬の処方と説明を受けることと、
そもそも睡眠薬を使わなくするように、
精神科の受診の必要性を言いました。
どうやら、被疑者も検察官に
同じことを言ったようで、
任意治療ということで、釈放を後押ししたようです。

最終的には身内の方が、
他県から警察に迎えに来てくださり、
釈放の条件が整ったということになりました。

あまりにも遠方なので、
事前にその日の釈放と迎えの連絡を受けていたようで、
捜査機関以外は、身内が釈放(可能性ということですが)を
一番先に知っていたことになります。
私は、身内に、帰りの旅費を送ってもらおうと連絡して、
はじめてわかりました。
まあいいけど。

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