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意識もうろう下の犯罪と自殺 睡眠薬の影響で不起訴になった事例に学ぶ [刑事事件]

先日、ハルシオンとアルコールを併用し、
意識もうろうとなり、お店の商品をかばんに詰めた事案が
心神喪失ということで、不起訴釈放になりました。

昨日は刑事弁護の観点からお話ししましたが、
今日は、自殺との関係です。
意識もうろう下の加害(他害)行為の研究は、
自殺時の心理状態の研究に資するのではないか
ということで研究してもらいたいというのが結論です。

先ず、意識もうろう下の他害行為、本件を見ると
これまでも、ハルシオンとアルコールを併用し、
意識もうろう状態になったことがあったそうです。

1度目は、朝起きたら、腹がナイフで刺されていたそうです。
状況から自分で刺したとしか考えられません。
傷跡の残っているものだけで3か所ありました。

2度目は、深夜に徘徊しただけですんでいます。
たまたま知人が近くにいて、取り押さえられています。
ろれつが回らず、意識もうろうの状態だったようです。

3度目が、24時間ショップで窃盗をしています。
2度目の様子から推測すると、
深夜に徘徊し、たまたま明かりがついていたショップに
明かりに引き寄せられ入っていき、
たまたま、自分の趣味に合う商品があったので、
かばんにいれたということのようです。

本人は3度とも覚えていません。
これはハルシオンの著名な副作用
健忘というもので説明がつきます。
意識もうろうとはしていますが、
行動をしているわけです。
自動車の運転程度のことは
できています。
目的意識を持ち、意識に従って
行動しているようにも見られます。

アルコールだけで意識もうろうになったケースもありました。
こちらは、その時のことをある程度覚えています。
もともとお酒に強い人が、
飲み放題の会合で飲みすぎたけれど、
お酒に強いものだから、
眠りも、具合悪くもならず、
ただ、意識もうろうのまま、
通行人にちょっかい出し、
相手の態度が気に入らないということで
乱暴な態度に出たら、
手が当たってしまって
傷害罪になり、示談が成立した事案です。

知人の知人ということで、
その後も会う機会のある人ですが、
温厚で腰の低い方なのです。

これは心神耗弱を証明することはなかなか難しい事案でした。
酒は合法で、医師の処方が不要なので、
酒によって責任能力が無くなることを認めると、
大変なことになるから認めたがらないのです。

意識もうろう下の行為の特徴は、
なんらかの意思が、一見感じられるということです。
盗んでかばんに入れる、
女性にちょっかいを出す。
自動車の運転をする。

結構高度なことができるようです。
しかし、気持ちにストップをかけることができなくなる
ストッパーが無くなるという特徴があるようです。
では、その時の行為、目的意識はどこからくるのか?

これが恐ろしいことに、たまたまのようです。
もともと、自殺願望があるわけではなく、
たまたまナイフがあったから使った。

たまたま自動車があったから運転した。
たまたま好きなものがあったからかばんに詰めた。
たまたまきれいな女の人がいたからちょっかい出した。

(被害者はいいとばっちりだということだけは真実です。)

意識もうろうになった段階では、
その人のもともとの性格(表に出ている性格)は
あまり関係が無いように思われます。

うつ病の人が、意識もうろうとなった場合、
もともと、病気の症状として、
死んでみたいという観念を持ったり、
自殺を計画したりするようなのです。
これは、何ら合理的な考えのもとではなく、
病気の症状として脈絡なく発現するようなのです。

そうだとすると、
意識もうろう下では、ストッパーが無くなるので、
今まで考えたことのある方法で、
自殺を行ってしまうということになりそうです。

意識もうろう下でも、自動車の運転はできるのですから、
大抵の自殺方法は実行可能です。

うつ病の症状で、何んとなく死にたい、を超えて
自殺の具体的方法を考えているとなると、
極めて危険だということになります。
意識もうろうになることは、
その時のコンディション次第だからです。

自殺者の相当数が、
アルコールや睡眠薬の影響で、
意識もうろう下に実行しているとの指摘があります。

意識もうろうといっても、行為ができるのです。
心のストッパーが病的にかからない状態があるようです。

意識もうろう下の他害行為との共通点も多いように思われます。
意識もうろう下の他害行為の研究をすることによって、
自殺予防のヒントが出てくるように思うのです。
それから、自殺未遂をしたかたの研究でしょうか。






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