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政治的人格が分裂した千葉法務大臣は罷免を。でもせっかくだから死刑について考える。休暇 [刑事事件]

本当は、今日は、産後うつについて、お話ししたかったのですが、
やりやがった人がいるので、死刑の話し。

私は、死刑を執行するべきではないと考えていますが、
千葉大臣を罷免するべきだというのは、
この考えと違うことをしたからではないのです。

もともと死刑執行をしないといって、
法務大臣になったはずです。
それなのに、何の前提議論もせずに、
隠密裏に執行に署名していることが
政治家の基本を逸脱しているというのが一つの理由。

ブレなんてもんじゃなく、明らかに分裂している。

亀井静香氏の発言はまったくもってもっとも
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100728-00000121-jij-pol

二つ目は、つい二日くらい前に、
中国での日本人に対する死刑執行で、
日本政府は人権の問題に対する配慮をするようにと
中国政府に対してものを言ったばかりではないのかということ。
中国ではだめで、日本ならいいのか、あまりにもタイミングも悪すぎ。

そもそも、自分が立ち会った等と言っているが、
ボタンを押したのか、
下で支えたのか。

特に威張ることのできる話ではない。

首相としては、当然罷免するべきであると思われる。
法務大臣が約束を守らなくて、法規範は、
国家秩序は維持できないでしょう。

まあしかし、弁護士としては、死刑制度の廃止よりも、
死刑を存続するか、廃止するかの議論をするべきだという立場なので、
議論の素材を提供したということは言えるかもしれない。

仙台弁護士会の昨年の会長声明
http://www.senben.org/archives/1283#more-1283

国連では、死刑廃止を指導しており、
死刑廃止が世界の流れであり、趨勢である。
世界標準からすれば、廃止ということになります。
しかし、日本では、そのような情報も流通していないのでは
ないかと思うわけです。

一方、昨日は広島事件の高等裁判所の判決もありました。
木下あいりさん(当時7歳)が、暴行されて、段ボール箱の中から
遺体となって発見された事件です。

私は、先日も書きましたが、処罰感情は人一倍強いのです。
弁護士を離れてということなのかもしれませんが。

この事件の時も、友達(弁護士はひとりもなし)とはなしをしたのですが、
一番過激なことを言っていたのは私でした。
要するに、もし、この子の親だったら、
別に、死刑になったからといって、なにも嬉しくないだろう。
死刑になったとしても飽き足らないだろうということです。

いろいろ偉そうなことを言ったり、
許すということは、新しい命を創造する神に準ずる行為
なんて宗教的なことも言っていますが、
条件反射的な感情は、
絶対に許せないという気持ちのことが多いのです。

だから、自分が弁護する場合、
被告人には、真剣に考えてもらうのです。
あなたは、何をしたか、被害者の苦しみは・・・。
おそらく、検察官の追及よりも、
私の反省を迫る質問の方が苦痛なのではないかと
思うことがありますし、
実際にそういうことを言われます。
しかし、私の質問が苦痛だと言った人ほど、
反省ができた喜びを語ってくれます。
ま、それは、いずれかの機会に・・・・。

一方で、許せないという気持ちを持つことを
否定したり、隠したりすることをしませんが、
他方で、だけど死刑は廃止するべきだという
考えを持っているのです。

だいぶ長くなったので、これから大展開をすることはやめましょう。
吉村昭氏の「休暇」(中公文庫「蛍」所収)の映画化された作品
休暇という映画を昨年仙台弁護士会で上映しました。

http://www.eigakyuka.com/

これを紹介して終わりにします。

小林薫演じる刑務官が、
バツイチ子持ちの大塚寧々演じる女性と結婚することになったのですが、
相続の手続きで年休を使い果たし、
新婚旅行に行くことができない。
連れ子との交流をはかり、家族として出発するために、
どうしても旅行に行きたい刑務官は、
死刑執行を行うことで休暇をもらえる制度を利用して
3人での新婚旅行に行くという話です。

死刑執行される受刑者を演じる西島秀俊氏は秀逸。
小林薫はとうがたっているでしょと思いましたが、
思った以上に好演(プロに対して失礼ですが)
この幸せを確実なものにしたいと思わせる
大塚寧々さんの説得力もみものです。

最終的には、原作と同様、
一人の人の命を奪うことで、
幸せをつかもうとする刑務官の苦悩の中、
これから、3人の家族がどうなるのか、
考えさせられる中で終わってゆくのですが、
見応えがありました。

特に、さっきまで生きていた、
何の病気も無い人の命を、
人間が奪う、なきものにするという現実が
痛いまでにリアルに描かれていて、
印象深い作品でした。
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