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少年法、少年が別扱いの理由 感情的にはともかく、理屈の上では少年に死刑は誤り [刑事事件]

昨日の話のように、
犯罪があっても、犯人が成人ではなくて少年の場合、
家庭裁判所の関与があり、
少年鑑別所の鑑別措置があったり、
成人とは別扱いになります。

通常は、刑事裁判にならず、
家庭裁判所の少年審判で終結します。
なぜか。

被害者にとっては、
犯人が、成人であっても未成年であっても
何のかかわりもないことです。
大人と同じように扱えと思うことは、
当然の要求でしょう。

それでは、なぜ少年は別扱いなのか。

少年は将来があるとか可塑性に富むとかいいますが、
なぜ、大人が罰せられるかということと関係するわけです。

法に反することを行い、被害者がいるだけでは罰せられません。
その人に責任が無ければなりません。
ここでいう「責任」は、実は専門用語です。

自分のやろうとしている行為が、
法に触れるルール違反の行為だと認識した場合は、
ルールに従って、やめなければならないのに、
そのような反対動機を振り切って敢えて行為に出た
という人格態度を非難する
というのが裁判で言う「責任」ということになります。

だから、例えば手術の後の麻酔が切れかかる時に
せん妄状態となり、
看護婦さんや親など付添いの人を殴って
怪我をした場合は、「責任」が無いということになります。

少年犯罪の場合は、
ここでいう「責任」は、ありそうに思われるのです。

しかし、そのような人格形成となったのは、
少年の場合、本人だけの責任ではなく、
親だったり、周囲だったり、
むしろ本人以外の責任ではないかという考え方もあるわけです。

育て方が悪かったり、環境が悪かったり、
何らかの悪影響があったけれど、
子供はそれを防ぎようが無いということになります。

そのため、環境を整えれば、
更生して行く可能性がある。
とされています。

私は、むしろ、大人もこのように扱うべきだと
思っているのです。
しかし、法律は20歳になれば、
あとは自分の責任だということになり、
有無を言わさず、少年法は適用されません。

どんなに気の毒な生い立ちでも、
20歳の誕生日になれば、
自分で自分をなんとかしろということになります。

多かれ少なかれ、恵まれない状況は大人にもあります。
金銭的余裕と恵まれた恵まれないかは、
必ずしも連動しないときもあります。

三つ子の魂100までだとして、
もう、ハイティーンにもなれば変わらないよというのであれば、
それこそ、3歳までの人格形成に、
本人の責任が無いので、
理屈の上では処罰できないことになってしまいます。

その線を20歳で引くのは、国家政策としか言いようがありません。
被害感情からいえば、18歳にしろとか、もっと下げろとなりますが、
犯罪者の精神的未成熟を目の当たりにしていると、
20歳でも幼すぎる印象もあります。
もちろん、その犯罪者によっても違います。

いずれにしても、
20歳で線を引いた以上、
家庭裁判所で手続きを完結せず、
検察官に送致して大人の手続きをさせるというのは、
本来、事件の重大性と、
人格形成に本人の責任を問える場合でなければならないはずです。

みんな同じ条件で生きているわけではない。
成人までの様子を見ても、
悲惨としか言いようのない状態の子供たちも
日本でも多いことは報道されているとおりです。

悲惨な生い立ちを送るのは子供たちの責任ではありません。
しかし、それが犯罪という形をとって影響が出る場合、
生い立ちや環境が関係することがほとんどです。

15歳ならかわいそうで、18歳ならしょうが無いということは、
弁護人サイドからは、全くピンとこないというのが実感です。
20ならしょうが無いとも言えないのではないかと
思っているくらいだからです。

だから、これらは、刑法理論からの帰結であり、
別に私が変わり者だからとか、
ヒューマニズムにあふれているからとかいうわけでもないことは
お分かりいただけたと思います。

生の価値観ではなく、
なぜ国家が人を裁くことができるのか
ということが議論の分かれ目にならなければならないのです。

少年に対して死刑というのは、
刑法理論と、少年法という法律が存在することからすれば、
実際的には、現実的には、
誤りということが論理的帰結だと思います。

少なくとも結果の重大性と、手口の残虐性だけで
死刑を求刑したとしたらそれは誤りで、
人格形成責任に対する言及がなければ、
法を制定した国家機関としては、矛盾する態度だと
言うべきだと思う次第でした。
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