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弁護士の無料奉仕活動をボランティアと言いたくないことと、困っている人を救済しようという意識がないことについて考えた。 [事務所生活]

弁護士というと、忙しい職業だと思われているみたいです。
「どうですか、忙しいですか」とよく尋ねられます。
大体は、「ボランティアばかり忙しくて」
と答えています。

ここでいう「ボランティア」とは、
報酬を請求しない活動の意味です。
文脈的には、正しいのかもしれませんが
自分で言っていて違和感がありました。
ただ、その違和感の正体がわかりませんでした。

ソーシャルワーカーの勉強会に参加しました。
「専門職になるな」という話があり、
それは、「上から目線」で、知識を活用して
「あなたはできない。私はできる。」
という態度で当事者と接するな
ということらしいのです。

その専門職の一つの典型が法律家とのことでした。
それはいいのです。
そういう弁護士もいるかもしれないとも思います。

むしろ、この話はヒントになしました。

要するに、この勉強会でなるなと言われた
専門職的なケースワーカーの態度と
私が感じていたボランティアの態度が
共通していたのかもしれないと思ったからです。

私の個人的に抱いているボランティアのイメージは、
「困っている人を助けてあげる」
ということらしいのです。

そこが違和感の正体でした。

少し説明が長くなります。

私が、仕事をしている時
客観的には困っている人を助けているのでしょうが、
私にはそういう意識はないのです。
あくまでも、自分の仕事としてやっているのです。
それは、おそらく私だけでなく、
結構多くの弁護士の共通の意識だと思います。

お金をもらって自分の仕事をして、
なおかつ、お金を出した人から
ありがとうございましたと感謝される。
そういう仕事だと思っている弁護士のほうが
少なくとも、例えば宮城県の弁護士では
多数派なのではないかと思います。

おそらく弁護士以外の方には伝わりにくいかもしれません。

もう一つ、実は同じような話ですが、
弁護士は依頼者から「雇われている」わけではないのです。
委任を受けているのです。

あれこれ指図されたとおりに忠実に動くわけではありません。
労働者ではないわけです。
自分の裁量によって、依頼者にとって最上の結果を実現するべく
自分で判断して行動しています。
依頼者と具体的方針が食い違うことは
よくあることです。
そういう側面からも、
「自分の仕事」を遂行しているのです。

まだまだ言い足りませんが、
仕事において、他人事を
知識を活用してやってあげている
ということとはちょっとニュアンスが違う
ということが、弁護士のスタンダードだと
私は感じています。

事件の悩みは
自分の悩みになっちゃうのです。
弁護士同士は、仕事の悩みを
自分の悩みとして相談しあうのです。

これは、私の場合刑事弁護も一緒です。
長くなるので、結論と
そのほうがうまくいくということだけ
いうにとどめます。

では、報酬をもらわない仕事、
私がボランティアと言っている仕事はどうでしょうか。
弁護士としての知識なり経験を活かして
やっている活動はみんな同じです。

誰かを助けようと思っていやっているわけではありません。
困っている人を助けようという意識でやっているわけでもありません。

(少なくとも私はという意味です。
そういう意識が悪いということを言っている
わけでもありません。
また、結果として困っていた人を
助けていることも否定する必要はないと思います。
あくまでもその時の意識の問題なのでしょう。)

最近、ホームページやこのブログを見て
電話をいただくことがあります。
時間があれば、ご相談に乗ることもあります。
前の言い方をすればボランティアです。

人権擁護委員としての活動も
そういう意味ではボランティアです。

しかし、やはり、
困っている人を助けようという意識はありません。
あくまでも、私が直面した課題として
悩んで、考えて、
本人に相談してみているのです。

だから、困っている人を助けているような
「ボランティア」という言葉を
自分で使うことに違和感があったのです。

弁護士としての知識や経験と関係のないところで
困った人を助けようとするときは、
おそらくボランティアしていますと
胸を張って言うのでしょう。

そうすると、お金にならない活動を
なんと表現するのでしょうか。
やはり、弁護士としての仕事でよいのだと気が付きましたが、
お金にならない弁護士としての仕事というのも変なので、
啓発活動だとか、準備活動だとか勉強だとか、
やっぱりしっくりきませんね。

割り切って、宣伝活動(芸人さんでいうところの営業)
とでも言っておきましょうか。


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コメント 1

優

働いた給料を頂けません。
2500円なのですが、諦めるしかないのでしょうか?
莫大なお金はかけられないので。

frogandwhale@jcom.zaq.ne.jp
by (2018-04-21 05:10) 

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