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安全保障法案が成立してしまうと、立憲主義が崩れ、日本が二流国になるということ [事務所生活]

私は安全保障法案は憲法違反であり、
成立させてはならないという弁護士会の立場に賛成しています。

法案反対の理由は人によってさまざまでしょうが、
このブログにおいては、
立憲主義を崩すからだということで一貫しています。

ときは1889年2月11日、
明治天皇は、大日本帝国憲法を発布しました。
その時の日本の状況はどうだったでしょう、
江戸時代のアメリカなどとの条約で、

日本でアメリカ人が犯罪を行っても
日本の法律で裁くことはできませんでした(治外法権)

日本に輸入される商品にも
日本が税率を定めることはできませんでした(関税の自主権がない)。

大変屈辱的な国際的立場でした。
大変苦しい状況を強いられていました。

その中で明治政府を中心として、
日本を一流国にしようと
様々な努力が積み重ねられていったのです。

その内大事なことが
議会開設の詔(1881年)
内閣制度の勅諭(1885年)
そして、大日帝国憲法の発布でした。

その後1902年に治外法権が撤廃され、
1911年に関税の自主権が回復されます。

欧米列強と曲がりなりにも肩を並べる
国家として迎え入れられることができました。

きわめて短期間で、近代国家を作り上げていったことがわかります。
大変優秀で、柔軟な人たちが大勢いたのでしょう。

もし、日本が憲法を作らないで、
誰か強いものがトップを掌握するということだったら
日本はいつまでも二流国のまま
一段低い立場におかれ続けていたでしょう。

国際社会の中で、一人前と認められ、信頼されるためには、
憲法を定め、
国の在り方を定めていることが必要だったのです。

文部科学省の定める学習指導要領の解説でも
このようなことを学ばせるように述べられています。
前の前の記事に載せてありますので、
時間があるときお読みください。

憲法9条では、集団的自衛権が禁じられています。
これは、現在のほとんどの憲法学者が言うだけでなく、
現政権以前の内閣は、すべてこのような見解を取っていました。
高村氏も外務大臣としてそのように答弁していました。

日本の考え方なのです。

問題は、そのことがいい悪いではなくて、
憲法で禁止している集団的自衛権を行使するということは、
憲法の定めを無視して、
国家の行為を行うということになってしまうことです。

立憲主義は、19世紀のことで、
21世紀では気にしなくてよいのでしょうか。
そうではありません。

世界の多くの人たちが、
約束を守ることを大事にします。
聖書とは、
神様が行った約束だとも言われています。
だから、旧約聖書、新約聖書であり、
旧訳とか新訳ではないのです。

憲法は、国家が国民や世界に向けた約束です。
政府は、国家の行為を行うことです。
その政府が、国家が行った約束を破るのでは、
もはや信用に値する国家ではないということになります。

その時々の政府が、憲法を無視して活動するならば、
外国は、日本を信じて約束事をしなくなるでしょう。

日本は、二流国の烙印が押されてしまうことになるのです。
このような立憲主義崩壊を放置した国民もまた二流になるのです。

興味深いことに、
このように日本を貶める行為を推進している人たちは、
「今の日本国憲法は、アメリカに押し付けられたものだから、
自主憲法を制定しなければならない」
といっていることです。

憲法とは、国の必要に応じて作られるということは、
大日本国憲法の成り立ちを見てもわかります。
大なり小なり外国の影響があるわけです。

それはいいとして、
もし憲法の文言にあからさまに反しても、
字面にこだわる必要がないというなら
自主憲法を制定する意味はないでしょう。

また、今回の集団的自衛権をあからさまに歓迎しているのは
アメリカの支配層だとのことです。

日本を二流国にしてまで、
アメリカを喜ばせることをする必要性が
どこにあるのでしょうか。
アメリカに押し付けられた憲法だといって批判している人たちの一部が、
アメリカの要請で立憲主義を崩して日本を二流国にするということが
私には理解できないところです。

では、どうして
安全保障法案を急いで成立させる必要があるかについては、
前回の記事で述べましたので、時間があるとき読んでください。

そういえば、関税の自主権も放棄するような国際情勢を
アメリカが主導しているように感じてくるのですが、
それは偶々でしょうか。

私は、憲法9条を改正せよという主張は行いませんが、
以下の文芸春秋5月号の
舛添要一氏、小林節氏、三浦瑠璃氏の
「安倍首相よ、正々堂々と憲法9条を改正せよ。」
という対談は大変勉強になりました。
機会があれば、読んでみることをお勧めします。

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