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薬物等依存症を本当に止めるために 依存行動を責めないこと 松本俊彦先生ご講演2 [自死(自殺)・不明死、葛藤]


「お前の話はいいから、松本先生のお話の内容をもっと教えろ。」
という心無い声が聞こえてきそうです。
それなら、先生のご講演に行きなさいよということで続けるわけですが。

アメリカの薬物厚生施設のお話として紹介しますが、
松本先生のお話の中で特に印象深かったことですが、

その施設のプログラム参加者(薬物依存者)が
「今日、俺、薬物使っちゃったよ。」
と言って、参加して来たら、
スタッフは
「良く言った。えらい。」
と反応するそうです。

「いや、それアメリカでも違法でしょ。」
とスタッフに問いかけたところ、
「あなた考えてみてください。
 朝に薬物やって、いまこっちに来ているんですよ。
 途中でやめられたということじゃないですか。
 また、それを隠さないで、私に言ったのですよ。
 自分でやめようとしているのですよ。」

なるほど!

その施設では、薬物をやったところで
責めたり説教しないということとのことです。

もちろん薬物を奨励したり、承認したり
というわけではないですよ。
やめるためのプログラムですからね。

ただ、「やっちゃだめだ」ということは、
本人もわかっているわけです。
わかっている人にだめだといっても
メリットはないわけです。
「知っているよ」
ということですね。

能力のない支援者は
「やっちゃだめだ」という結論だけを示して
どうやってやめるかということを示せない
だから、結論をお題目のように繰り返すだけです。
依存者は、説教されるだけですから
(がんばっているのに、もっとがんばれってことですね。)(
やがて来なくなり、
やめられない自分に絶望し、
どうせこんな自分なんてどうなっても良いと
さらにヘビーに依存していくわけです。

じゃあ、どうやってやめさせるか。
今日のエッセンス的には、

自分を大事にする契機を作る。
その一歩として、支援者と信頼関係を作る
そのためには、行為を否定しても
その人格を否定しないということです。
部分的承認の技術を屈指することになります。

これは、対人関係学的労務管理等の
失敗後の成長 PMGという考え方と同じです。

失敗した時が成長するチャンスなのです。
但し、ひとりでそれを効果的に行うことは難しいので
教師や上司のサポート術が有効になります。

その人の一番気に病むポイントをあえて責めない
弱い部分を指摘しない
これがポイントです。

その人たちは、指摘されたり責められたりすることによって
また、その誤りに逃げ込んでしまうことがあります。

星の王子様の酔っぱらいの星の住人は
酒を飲んでいる自分が恥ずかしくて
恥ずかしさを感じないために酒を飲んでいましたが
おんなじですね。

薬物中毒者は
薬物をしているということが
自分の最も弱いところ、劣っているところ
隠したいところです。

それをオープンに言えるならば
試行錯誤が許されるということでもあり
また頑張ることができるわけです。
自分を信じる人、受け容れる人のためにも
頑張れるわけです。

最近の対人関係学のトレンド理論の中で
相手を攻撃することは相手に防御行動をさせること
そうすると真理の探求や建設的な対応策を検討することの
極めて大きい妨げになる
というテーゼがあります。

まずは共感、共鳴する
その上で共同作業を行う
こういう姿勢が大事ということになります。

こういう弱い部分を尊重されるとどうなるでしょう。
その人と一緒にいることに居心地の良さを感じます。
それはその人と自分というチームに対する帰属意識となります。

自分は孤立無援ではないという意識です。
自分の感情はどうあれ、
このチームのために頑張ってみよう
これでよいのではないでしょうか。
これが人間本来の生き方でよいのだと思います。

もし、自分という存在が
本来は、有機的組織体に過ぎず、
人格などというものが後天的な環境によって作り出されるとしたら
後天的な環境を変えることによって、
つまり、その人が新たな対人関係を形成することによって
その対人関係とのつながりの中で
自分をとらえ直し、
自分を大事にしてよいんだという自信が得られれば
それでよいのだと思います。

それが人間の在り方ではないかと考えています。
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