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連れ去り被害者は、被害者であることに徹底するべきであると強く感じることが多いという件 [家事]

平成の初期から始まり、平成22頃から飛躍的に増えてきた事件類型があります。
妻が子を連れて、夫と共同生活していた家から一方的に別居する事件
そしてどこにいるかもわからなくする
それに行政や警察が1枚かむ。
こういう事件をよくを担当しています。

その多くはDVなどなく
社会通念上「普通」の夫婦の範囲内の生活を送っているのですが、
出ていくときには
妻は精神的虐待の被害者で
夫は加害者になっています。

妻の精神的負担を察することがなく
夫婦間の問題を夫が何とかしなかったから
精神的虐待だという論調が多いようです。
夫婦の安定は夫の仕事というジェンダーバイアスが強い主張が多いわけです。

夫は、そういう乱暴な形で妻から
夫として、父親として、男性として、あるいは人間として
強烈なダメ出しを受けるわけです。

誰だって平気でいられるわけはなく
うつ病で通院を始める人、仕事ができなくなる人
その結果自死する人など
深刻な被害を受けています。

そこまでは被害者なのです。

しかし、被害を受ければ反撃して身を守ろうとするのが人間ですし、
反撃しないでうつ病が進行することは大変危険なのですが、

ある局面だけを分解してみると
その反撃行為のために加害者になっていることがあるのです。

決められた生活費を入れないとか
必要な手続きに協力しないとか
大声を出して面会を求めるとか
押しかけるとか

これらのことは、気持ちはわかりますし
自分が同じ立場なら果たして冷静に損得を考えられるか
ということについて、それほど自信はありません。

しかし、それについてのメリットはなく
デメリットだけはてんこ盛りになります。

先ず、日本の法体系や警察実務から
現場に警察官がとんでもない人数駆けつけます。
何かあったのかと思っているうちに警察官に取り囲まれていた
という体験談は毎月のように聞きます。

ストーカー規制法や保護命令など
そういう事態に対処する法律は事欠きません。

ただ、それが自分に対して執行されるとは思わないだけです。

そういう問題もありますが
一番影響が出ることを実感していることは
裁判です。

離婚裁判では、先ほど言ったように
針小棒大な主張がなされるわけです。
ちょっと、口をはさんだだけで
椅子に座らされて大声で怒鳴り続けられた。
理不尽な要求をして、要求が実現するまで
監禁されたなどということも主張されたことがあります。

夫は思うわけです。
そんなことがあるはずないのだから
裁判所はそれを認定しないよなと。

被害者が被害者のままならばそうなる可能性も高いでしょう。
ところが、被害者が反撃するものだから
証拠で出したりすればそれを裁判官も知るわけです。
ああ、やっぱり常識に反した行動をする人か
力で相手を屈服させようとする人か
裁判所で決めた養育費を払わないなら
同居中二人で約束した生活費なんて払わないよな

どんどん状況は確実に不利になってゆきます。

この人は、自分の感情を抑制できない人なんだなと思われれば
実際はDV認定まっしぐらということになりかねません。

代理人としては思うわけです。
もったいないなあと。
せっかく被害者なんだから
裁判を有利に進めようと思っていたのに、
ご自分で自分の足を引っ張っているようにしか見えません。

代理人としては、付き合いも長くなることが多いので
なんとなくわかるんです。
この人、連れ去り別居が無ければこんなことする人ではないのだろうなと

しかし、現実には連れ去り別居は起きている。
精神状態は煮えくり返るようになるわけです。人間だから。

だから、強くは言えないのですが、(いうことも少なくありませんが)
妻は裁判所の入り口だと思って
被害者然としていることが肝要で
報復的な行動をしても自分が損をするだけだからやめろと。

そういうと
皆さん口をそろえておっしゃいます。
だって不合理じゃないか。

そうなんです。
でも不合理なんです。不公平なんです。
力が及ばない代理人がそんなことを言っては申し訳ないのですが、
そんなことは100も承知の方々のはずなんですけれど

ただでさえ不合理なのに
益々不合理な方向に自分で進まれていますよと
うまく伝える方法を募集することにしましょう。

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コメント 4

ケィスォン

妻は裁判所の入り口だと思って

という文言はどのような意味でしょうか。
また、報復的な行動をしない、というのは理解しますが
では裁判所では具体的にどのように主張したらいいでしょうか。
連れ去られた子との断絶を裁判所は容認するので、同居親の気持ち次第で親子交流はかないません。
たとえ、調停調書という債務名義があっても、裁判所はスルーします。

by ケィスォン (2021-01-23 07:20) 

サクラ

娘二人を連れ去られた母親です。
面会交流ではなく、離婚調停で面会を進めたほうがよいと、弁護士の先生に助言頂きまして、一昨年から昨年にかけて離婚調停をすすめましたが、調査官の報告で片親疎外の状態で面会ではなく間接交流ということをすすめられました。母親でも連れ去られると不利ですし、裁判所によっても裁量が違うのではと思います。
そもそも、法律に無理があります。人質にとられた側として、被害者になってしまうのは仕方ない部分もあります。ここを越えるには相当メンタルが試されます。
自殺の背景には具体的にはどんなことが要因となっているか、調査すればこのあたりの問題が社会に明らかになるのではないでしょうか。
なにより、子供のことが置き去りにされていることが残念です。
私は結局、離婚調停不成立にしました。
by サクラ (2021-01-24 20:56) 

ドイホー

ケィスォン様
ご質問ごもっともです。
裁判外での、妻に対する行動がほとんどすべて
妻が裁判所に報告するからそう思って行動しなければならない
ということです。
しかも針小棒大に脚色をされることが通常です。
裁判所での具体的主張はケースごとに違いますので
ご自身の代理人などとご相談されるほかはないと思います。
すいません。
by ドイホー (2021-01-25 11:00) 

ドイホー

サクラ様
私もおっしゃっていることその通りだと思います。ただ、間接交流を裁判所が進めるのは、本来はよほどのことがあったときだけのはずなのですが、現実には話し合いがまとまらないと言い出すことが多いですね。片親疎外の状態だからこそ面会交流が必要なのにと思います。

by ドイホー (2021-01-25 11:03) 

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