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調停の技術 テーマの設定と情報の伝達 [家事]

レビン小林久子先生の話を聞いて、
紛争学という学問があることを知りました。

調停の技術といいますか、
調停委員がどのように活動して、
対立する当事者の間に入り、
紛争を解決するかという学問のようです。

こういう学問は、弁護士こそ参加するべきなのですが、
どうも、弁護士は、自分の活動を体系化するという
発想にならないようです。

調停の代理人になれば、調停委員を漠然と批判したりしますが、
これこれこうあるべきであるから、こうしてほしいと言わないと、
あまり意味のあることになりません。
自分も調停委員になることもあるのだから、
少し体系化というか、指針というか、
議論くらいしたほうが良いと思うのです。

だめな調停というのは、
漫然と両当事者が言いたいことを言い合って、
話がかみ合わないことです。
例えば、一方は離婚する、他方は離婚しない。
間に入っているのに、
「離婚したいって言ってるよ。」「したくないって言っているよ。」
これでは意味がない。
「双方平行線なので調停は打ち切ります。」
うーむ。

いや実際は、難しいんですけれどね。

やはり、第1のポイントは、結論はひとまず置いておく。
問題の所在について、同じテーマで、双方に考えてもらう
ということだと思います。
ここで、結論を撤回ないし譲歩をすることは、
まず考えなくて良いのです。
むしろ、自分の結論を相手に承諾させるために、
相手の言い分について考えてもらうというこです。
より有効な反論ができるという導き方がよいでしょう。
そして、自分の言い分をどうしたら相手に伝えることができるか
についても、よく考えてもらう。
相手に理解してもらうということですね。

これは、離婚事件においては、相当苦しい作業となります。
第三者的には、相手方が変な人だからこうなったと思っていても、
ご本人は、自分が悪かったと思いがちだからです。
問題は、自分のどこが悪かったというのではなく、
全否定、ネガティブ思考に陥っているだけのことが多いのです。
良い悪いではなく、考えてゆくことを補佐していくことが大切です。

こうやって考えてゆくと、
調停委員は公平な立場、弁護士は依頼者の立場と
立場は異なりますが、
作業としては同じ作業をするということが良くわかると思います。
紛争学は、代理業務の学問でもあるわけです。

そうして、共通のテーマで、両当事者が考え始めると、
解決方法が見えてくることが多いです。
譲歩の契機が生まれるわけです。

ただ、このためには、
テーマを正しく設定する。
一方の問題意識を、他方に十分に、正しく、伝える。
当事者が、自分の問題意識を取り上げてもらっているということを
実感してもらうことが必要だと思います。

こういうことを
議論する場って無いんだよなあ。

なんとなく、感覚的に調停がやれれているような
非常にもったいないと思うのです。
調停を経験された方も多いと思うのですが、
どんどん意見を出してほしいのです。
そういう意見をぶつける場を吸い上げて
実践に生かす作業が必要だと思うのです。
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