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礼讃されるべき性犯罪被害防止の取り組みなのに・・・もったいない。憲法と公共の福祉 [事務所生活]

リアルな我が身を振り返ると、
なすべきことをしなかったり、
しなくていいことをしたりと、
恥ずかしいやら情けないやら
ということばかりですが、
それを捨象して話すのが
ブログの良いところといいますか・・・


先日、命が有限であること、
なんの為に生きるかということを
敢えて回答するならば
幸せになるためだと答えたいと
書きましたが、

沖倉律子氏ばかり引用してしまいましたが、
日本国憲法にもそういう条文があるのです。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、
立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

自分だけでなく他人も、
有限の命を、幸せになるために生きている。
そんな思いが、当たり前のこととして、
込められているように思います。

問題は、ここでいう公共の福祉ですが、
これは、必ずしも国家利益とか
そういう抽象的な概念ではないと
とらえられています。

幸福追求権や人権が、
複雑な社会で衝突する場面が多くなり、
人権相互の調整をする必要が出てきた、
この調整原理として、
公共の福祉があると解釈されています。

で、GPS携帯なのですが、
村井知事は、
人権と公共の福祉で、
軸足を公共の福祉におけば、
人権制約も可能となると
言ったと報道されているのですが、
これは二重に奇妙なのです。

第1に、公共の福祉と人権は、
対立する構造にあるわけではない。
人権調整概念と人権と、
どちらに軸足を置くという話にはならないこと。

第2に、GPS携帯問題は、
抽象的概念の公共の福祉ではなく、
特に女性の人権侵害の問題で、
性的自由を保護するという観点でしょう。

対峙されるべきは、
人権と公共の福祉ではなく、
人身の自由、適正手続き等と
女性の性的自由、人格権
とかいう話のはずです。

公共の福祉に軸足という、
抽象的理念によって人権が制約されるというような、
表現をわざわざ用いる必要はなかったということです。

我々、法律家からすると、
極めて挑発的な話で、
その公共の福祉を引き合いに出したのが、
大もめにもめた破壊活動防止法ということで、
単純に寒気がしてくるわけです。

要するに、この人は、
女性の人権を守りたいのか、
人権制約それ自体が目的なのか、
それこそどちらに軸足を置いているのか
わからなくなるような記者会見をしてしまった
ということなのです。

性犯罪被害の防止ということを第一に考えるなら、
方法論はどうあれ、
その方向での結論を推進されるべきです。

なぜ、挑発的な議論をして、
挑発的な方法にこだわって、
要するに、
言わなくてもいいことを、
わざわざ言っているのか、
合理的に理解することができません。

性犯罪被害の防止を
県として取り組むということは、
礼讃されるべき素晴らしい政策です。

なのに、どうしてGPS携帯が先?
ああーせっかく・・・
冷静に考えれば、そういうところなのでしょう。

どうかムキにならないで、
当初の目的である
性犯罪被害の防止を
大前進させていただきたいと
願うばかりです。

女性に優しい宮城県
いいじゃないですか。
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