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対人関係学における「勇気」とは アドラー心理学との対比は無理だとしても 嫌われる勇気(対人関係学) [自死(自殺)・不明死、葛藤]

対人関係学は、動物行動学の手法を用いた
自死予防、対人関係紛争解決の基礎理論です。

さて、昨今学術団体を名乗る団体から
勇気についての解釈等が創始者とは異なるということで
テレビ番組を中止ないし大幅な改善を
求めたとのことです。

まあ、その心理学についてはまるっきりわからないので、
論評は避けますが、
(ブログの中止や大幅な変更を求められても困りますし)
けっこう似ているところがあるので、
ちょうどよい機会ととらえ
ちゃっかり説明(対人関係学の方限定)を加えたいと思います。

「勇気」という言葉に該当しそうなことは
対人関係学では2点あります。

1点は、群れを作る動物として、
群れの弱い者を守るという遺伝子的な要求がある
ということです。
ここはアドラー心理学と少し似ているかもしれません。

しかし動物行動学的な手法の対人関係学は、
面倒なことは言いません。

要は、群れの頭数が減ることが
群れ全体、即ち、自分という個体の滅亡につながるため
すべての能力を総動員して
群れの仲間を守るために
勝てそうもない敵に対しても勝負を挑む
という遺伝子に組み込まれた行動様式がある
ということです。

通常の状態ですと、
危険が存在しても
「相手に勝てる」という気持ちがないと
怒りという情動が起きにくいわけです。
怒りよりも、恐れとか不安という情動が起きて
逃亡という行動に結びつくわけです。

ところが、仲間が攻撃を受けていると
勝てるかどうかはともかく
怒りの感情が先行して起きてしまい、
闘いという行動に結びつきやすくなります。

「仲間のために戦う者は強い。」
ということは正しいということが対人関係学の帰結です。
但し、強いといっても、対自分比です。

子育て中のくまやオオカミが
気が荒くなり、攻撃的になるということは
その一つですが、
これはプロラクチンの分泌による生理的作用で、
母乳を与えている母親限定の話なのです。

人間はさらに群れを作る必要性が高かったために、
群れの仲間を守るという意識が強く、
怒りを誘発しやすくなります。
この時、恐怖を忘れる等の効果もあります。

頭数を減らしたくないという本能だということになります。

実は、「かわいい」という感情も
群れの一番小さく弱い者を守るという本能からきているわけです。

ところで、勇気という表現が当てはまりそうな第2の点は、
人間が危険に接近する動物だということから来ます。

通常の動物は、勝てない、危険だと思ったら
ひたすら逃げます。
これが動物の基本ですし、植物との違いということになります。

ところが、人間は逃げてばかりいたら
簡単に飢えて死ぬような中途半端な動物であったため、
危険に接近し、危険を利用して利益を受ける必要があったわけです。

わかりやすいことは
火を使うということです。
火に触るとやけどするわけで、
動物はどんどん逃げていきます。

ところが人間は、
やけどをしないように火を使う方法を覚えたわけです。

人間には、動物として逃げたいという本能の外に
逃げたいところを我慢して近づいて利用する理性が
存在しているということになります。

逃げたいけれど利益を得るために
危険に接近する
これが、もう一つの勇気といえる
人間の特徴だと思います。


面白いことは、これが人間関係ともなると
複雑に絡み合ってはいるのですが、
同じことになる場合があります。

対人関係学では、
人間は動物として、自分の身体生命の危険を感じて
逃げる等の行動を起こすだけではなく、

群れを作る動物として、
自分が所属する群れから追放される危険を感じて
行動を修正するという特性があります。

どちらの危険も感じればストレスを感じます。
具体的に言うと
体温が上昇し、血圧も上昇し、脈拍が増加しという
交感神経が活性化されます。

さて、群れの方向性が間違っている
あるいは、群れのリーダーの提唱する行動提起は
群れを滅ぼす可能性があるという場合に
相当のジレンマを抱えます。

即ち、
そのことによって群れ全体に不利益が起きることを避けたい
という要求と
避けるために、自分がリーダーなどに反対意見を言わなければならない
それをすると、群れから極端な話追放される、ないし嫌われる
という危険を感じます。

この時、群れから追放される危険を感じながらも
全体の利益のために言うべきことを言う
ということであれば、
心理学的にはわかりませんが、
対人関係学的には、
それを勇気と言って差し支えないということになります。

テレビ番組の題を
「嫌われる勇気(対人関係学)」
としていただいても、
一向にかまいません。
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