眠ることと食べることは、お母さんの仕事です

法律相談を受け持って、
最後に、相談者の方から、
「今日、相談に着てよかったです。」
「肩の荷がおりて、軽くなったような気がします。」
と言わると、ああこのために仕事をしているなあと
こちらも嬉しくなるのです。

本当に切羽詰っているという相談も多いのです。
離婚して、住宅ローンの残ったマンションをもらったけれど、
子供を育てながら住宅ローンを払うのが大変だ、
昼も働いて、夜も働いて、
明らかに疲労困憊でいらっしゃるお母さん。

幽霊のような顔をされていました。
住宅ローンの亡霊にとりつかれているようでした。
色々な思いのこもっているマンションなのでしょう。
でも、倒れてしまっては何もなりません。

理不尽な離婚を突きつけられて眠れなくなったお母さん、
小さな子供の前では、苦しい顔ができないと言われていました。

具体的な相談内容はわすれても、
お子さんを抱えて、髪の毛のほつれを気にしないで
一生懸命がんばっているお母さん方の印象は
何人も覚えています。

みなさんひどい条件の中、
子供のために、がんばっていらっしゃいます。

自分が寝ることや、食べることを後回しにして
とにかくがんばっていいらっしゃいました。

そうかなと思うと、いつも言っていたことは、

争いごとは、戦争ですから、
こちらのコンディションを整えなければいけません。
コンディションを整えなければ、
弱気になったり、ミスしたりして負けますよ。
コンディションを整えると言うことは、
食べることと夜眠ることです。

食欲なんて関係ないです。
コンディションを整える仕事だと思って口にしてください。
これがお母さんの仕事なんですよ。

眠れなくたってよいんです。
横になって静かな気持になってください。
お母さんの仕事だと思って目を閉じてください。

まあ、今にして思えば、結論を押し付ける指示ですから、
それほど気の利いた指示ではないのですが。

横になって、気になることがあるから眠れないのだから、
それを考えないようにするためにどうするかを
アドバイスしなければならないんであって、
方法をアドバイスしないで結論を押し付けるのだから、
今にして思えばどうかなと思うのです。

ただ、そのことを自覚していないほど
がんばっている人がいれば、
ストップをかけるのも私の仕事かなと。

今思い出しましたが、
このアドバイスは、じゃりんこちえのおばあさんが、
じゃりんこちえの父親が賭博で
これから警察の踏み込みがあるというときに、
ちえに話した、
「人間、寒い、ひもじいというのが一番悪いんだ。」
「悪い方にしか考えが進まない。」
とか言って、先ず屋台のラーメンを食べるシーンが
出典かもしれません。

もしかしたら、眠れなくても、あったかくして横になればいいんですよ
と言っていたかもしれないなあ。

何のためにがんばっているか立ち止まってもらうことは
やはり必要な気がします。
解決方法は、第１希望では無いにしても
何らかの解決は、大抵はあるのです。
解決の方法を間違えてしまうと、
例えば
「子供ために」が「子供のせいで」となってしまい、
何がなんだかわからないけど、
結局みんな不幸になってしまいます。

とにかく、眠ることと食べることがお母さんの仕事だということは、
これからも使っていくことになるでしょう。
もっと上手にアドバイスができるよう、
研究を重ねたいと思います。