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格落ち(評価損)  [交通事故]

交通事故の示談斡旋をしていて、
なかなか難しいのは、格落ちという損害です。

交通事故を起こした車は、
修理をして性能が戻っても、
時価額は減るわけです。
感覚的には理解できます。
ところが、保険会社は、なかなか格落ちという損害を
認めません。

例えば、事故が無ければ100万円で売れた自動車が
事故があり、修理したけれど、事故車ということで、
60万円でしか売れなくなったとします。

車の所有者は40万円の損害だと主張します。
保険会社が損害はないというわけです。
その理屈はこうです。
(いろいろ理屈がありますが説得力があるもの)

その車を、販売することが決まっていたら、
確かに40万円損するかもしれない。
しかし、事故が無くてもあと5年乗って廃車にするかもしれない。
修理しているのだから、同じようにあと5年乗れる。
結局、そのまま5年乗れば、どこにも損害はない。
というものです。

判例をみますと、
格落ちを認める判例が多く、
ただその損害額は、修理費の20%から30%
という形で計算されています。

多くは、購入直後のものだったり、
高額な自動車だったりするようです。
修理費用も高額の場合が多いです。

しかし、必ずしもそのような場合だけではないので、
(例外的な判例もあるので)
はっきりとした基準があるとまでいえるのか、
難しいところです。
また、裁判の場合は裁判費用がかかるので、
格落ちだけで、裁判するのは、
高級外車の場合に限定される傾向がある
という事情があります。
自動車の価格が要件となっているか即断はできません。

自動車の所有者にとっては、
事故車なんだから、価値が下がったはずだと
考えることはもっともなのです。
事故車はやはり買いたくありません。
そういう気持の問題ならばよくわかるのですが、
物損だけだと慰謝料は認められない傾向にあります。

なんだかんだいっても、
交通事故があると、割り切れない損害が残ることは、
否定できないように思われます。

ただ、交通事故紛争処理センターなどで話し合いで解決する場合、
http://www.jcstad.or.jp/
格落ちにこだわるよりは、
他の認められやすい損害をきっちり主張したり、
過失割合を少しでも有利に持って行った方が、
早期に、有利に解決することが多いようにも思われます。

ただ、保険会社の対応とか、
加害者の対応が悪くて、
どうしても、ある部分にこだわってしまうことが
結構あるのです。
こちらもお気持はわかるので、
別の方で頑張った方が得ですとは
なかなか言えない場合も多いです。

そうなると、裁判をするしかなくなるわけです。
せめて、形だけでも格落ちを認めてもらえば、
納得してもらえることも多いのですが、
保険会社は、「社の方針」で
格落ちを認めないケースが多く、
話し合いが難航したり、
不承不承示談してすっきりしないということも多いのです。

だから、実務的にはすっきりしない論点となります。
すっきりしないまま、今日は終わりです。
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