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サラ金交渉の実態を知らずして、視聴率稼ぎの取り上げ方はしないでほしい [民事・消費者]

実は私は、あまり債務整理の事件を積極的に受ける方ではなく、
頼まれれば断らない程度なので、
それほど、件数が多いわけではありません。
でもやってないわけではない。

私より先輩の弁護士になると、
そもそも債務整理はやらないという人もいて、
しかし、後輩の弁護士には、
債務関係がほとんどだなんて人もいるわけです。

それでも、テレビで、債務整理交渉の闇
なんて番組をすると、
自分の事件もそうかしらと
弁護士会に苦情が来たりするので、
役員として対応することが多くなるのです。

そのほとんどが、まじめに事件を処理しているのに、
テレビで紹介された理想例と違うということで、
疑心暗鬼になっている相談です。
メディアの取り上げ方では、
サラ金から借りれば必ずお金が返してもらえる
という印象を持ってしまうようで、
ちょっとちょっとと突っ込みたくなるような相談もけっこうあります。

ここ数年は、大手サラ金、クレジットの場合、
利息制限法内の貸し付けも多く、
数年以上取引をしても、
過払いにはならないという例も多いのです。

もともと、債務整理は割に合わない仕事で、
私はこの時のイメージがあるので、
やらないで済むならやりたくないです。

わかりやすくいえば、
平成16年3月31日まで弁護士報酬の基準があり、
示談交渉1件当たり、10万円以上となっていました。
サラ金1件につき10万円ですから、
10件あれば仕事を始めるだけで100万円となります。

それでは多重債務者の救済はできないので、
基準違反での懲戒覚悟で、
1件2,3万円で、決死隊としてはじめていったのでした。
また、弁護士法違反の分割着手金も受けていました。
だから、着手金を全額払う前に
行方不明になって、立場が無くなるなんてこともあったわけです。

それでも、過払いになることは少なく、
4年分割払いや6年分割払いの交渉をしていたものです。
途中で支払われなかったり、行方不明になるということも
けっこうありました。

確かに、一時、過払い計算をすれば、
すぐに和解して、過払い金が支払われた時期がありました。
それ以前は裁判で、サラ金や商工ローンも理論武装して
やりあっていたものでした。

現在は、それより厳しい状況にあるといってよいでしょう。
最高裁の判例は出そろっているのですが、
サラ金が存亡をかけて激しく抵抗しているのです。

まず、なかなか交渉が始まらない、
先に和解案をファクシミリしろ、手紙で出せと
それから担当者を決めるというのです。
ファクシミリはいつも話し中で、送信できません。

ようやく担当者が決まっても
いつも話し中、折り返し電話させるといってもなかなか来ない。
電話の相手は、交換業務だけだといってのれんに腕押し、

ようやく担当者と話ができても、
和解案の半分だ、分割払いだとごねてきます。
電話でやり合い、大手サラ金の担当者に、
それは単なる嫌がらせだと認めされました。

これでは、全件裁判しなければならないようです。

過払い金の交渉には時間がかかるのです。
また、交渉過程で当初の案から減額されることもあるわけです。
そうでなければ裁判が必要になります。

過払いの場合はまだしも、
この嫌がらせが、
債務者が支払う方にも影響を及ぼしており、
これまでいってこなかった、ある意味正当な主張を
するようになってきました。

これまで、弁護士が介入すると、
元金の均等払いが一般的で、
利息を免除してもらっていましたが、
法に従った利息の請求をするようになってきました。

分割払いでの和解はしにくくなった感があります。

センセーショナルな取り上げ方をしなければ、
視聴率は稼げないのでしょうが、
取り上げ方が、色々な弊害を作っている
という感想も持つ次第です。
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