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労災事件の診療録を見る [労災事件]

2件の労災事件の診療録を見ました。

1件は頭部外傷なので、勉強したばかり。
勉強の成果は、はっきり表れました。

カルテには、入院時JSC1、2時間後JSC10とのみ記載されていますが
これは、入院時、覚醒して、名前なども答えらるが、
意識がはっきりしていないところがあったけれど、
2時間したら、意識が失われつつあり、
呼べば目を覚ますことができるけれど、
覚醒しているわけではないという状態まで、
意識レベルが低下したということを意味しています。
(べんきょうしたばかりだからえらそう・・)

1と10ではえらい違いです。

また、硬膜外血腫と硬膜下血腫もあり、
硬膜下血腫が深刻だということもわかります。

おっとっとと思ったのが、
なぜか診療録の表題や、診断書から落ちているのですが、
画像所見にSAHと記載されぎょっとしました。
くも膜下出血の所見があるというのです。
よくよく読み直すと、
これが、後々までひかないで、
最終的には水腫に置き換わって、
ようやく消失して行くかなというものでした。
なぜ、診断名から落ちていたのだろう。

薬が出なくなったということで、
すっかり良くなったと主張するバカがいるのですが、
退院時の薬を見ると、
痛み止め、胃薬、睡眠薬なのです。
本人の主訴は、めまいふらつきなので、
これらの薬が出ないことはあたりまえでしょう。

こんなことが、ちょっと勉強をすればわかるようになるのですが、
それでも、自分では判断せず、
医師に確認してもらうことにします。
お医者さんが見れば、もっといろいろなことが分かるからです。
それがわかることが、素人が勉強する意味なのでしょう。

もう一つは、うつ病の診療録です。
自殺された事例です。
亡くなった後、結果論で見るので、
その当時治療にあたられた先生には申し訳ない
という気持ちがあります。

出されている薬から、お医者さんがどのような診断をしているか
想像がつきます。
当初から新型抗うつ薬が、結構な量出されているのです。
本人は一時的に食欲が出てきて軽快し、
病院に来る間隔もあいてきます。

20歳そこそこの年齢にSNRIが投薬されていること自体、
今日では、デメリットの考慮をしなければいけないはずです。
当時は、自殺の危険の副作用が報告されていなかったのかもしれません。
現在では、24歳以下への投薬は慎重にとされています。

精神科の診療録は、画像が無く、
本人との会話の内容が記載されています。
読みやすいのです。

だいたい良好な経過をたどっていますが、
やはり、半年くらい前から、
閉塞感、負担感が重くなり、
実際に、投薬の種類が増えているのです。

でも、もしかしたら、SNRIを減らすために
別の抗うつ薬に置き換えようとされていたのでしょうか。

抗うつ薬以外の薬も増えているので、
興味はあるところです。

結局、薬が切れた翌日に自殺されたという計算になっています。
診察予定日に来なかったことになりますが、
そんな1日で急激に悪化しないだろうから、
実際は、悪化していたのだろうと思われます。

遺書らしきものは、遺書とはいえず、
うつ病の重篤な症状そのもの、
およそ根拠のない自己否定、希死念慮が記載されているだけです。

弁護士は素人ですから、
カルテを読み間違えたり、誤解することは大いにあり、
実際には、医師の意見をいただくことになるのですが、
ちょっとでも勉強していれば、
あるいは薬の内容を調べることができれば、
かなり実態を読み取ることができるし、
お医者さんにもつなぎやすくなるようです。

弁護士向け医療セミナーを
もう少し開催したいところです。
お金かかるけどなあ。
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