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国に対する静かな怒り 労災行政訴訟における応訴態度 訴額まで被告が口出しするな [労災事件]

刑事事件月間ともいうべき激動の11月が終わったかと思えば、
今月は、自殺裁判の月間になりそうで、
年末のわずらわしさは越年の様相を見せてきました。

今年の9月20日に書いた自殺過労死の裁判ですが、
昨日第2回期日が開かれました。

被告、国から第1準備書面と上申書が提出となったのですが、
看過できない点が2点ありました。
他にも文句はあるのですが、
それは裁判のこととして・・・

第1点は、労災認定の立証責任ですが、
国は、なんと、被災者の側に立証責任があるというのです。
書面では判然としないのですが、
その論理からすると、
どうやら裁判だけでなく、
行政認定においても、立証責任は被災者にある
というようです。

立証責任は、証明ができなければ敗訴の負担がある
という訴訟法上の原則ですが、
行政認定においても立証責任があるとすれば、
被災者やその遺族が証明できなければ、
労災認定がなされなくてもよい
という考えとなります。

何のために労働基準監督署職員がいるの?

おそらく勘違いだと思うので、
説明と訂正を求めようと思います。

日本が批准しているILO条約にも反しますね。
おそらく勘違いでしょう。
あるいは誤記でしょう。
国が単純な法解釈を誤るということはないでしょうし。

第2は、上申書です。
裁判を出すとき、
訴額、請求金額に応じて、
裁判所に手数料を支払います。

行政訴訟においては、
算定不能ということで、
訴額を一律160万として、
手数料は1万3千円としてきました。

これで文句を言われたことはありません。

ところが、国は、
この裁判が認められれば、
1千万円を超える労災補償給付が下りるから、
それを基準として訴額を算定しろと裁判所に
注文をつけてきたのです。

ちなみに1千万円であれば手数料は5万円、
2千万円であれば8万円となります。(確かそのくらい)

訴状の段階ならまだいいとしても、
これが控訴事件となれば、1,5倍ですから
1千万円であれば75000円
2千万円であれば12万円

上告するときは2倍になりますから
1千万円であれば10万円
2千万円であれば16万円
2千万円では12万円

自衛隊事件のように、
第1審で敗訴でも
第2審で認められることがあるように、
1回で決まらないことがあります。

最高裁で逆転した事件も多数あるわけです。
過労死事件では少なくありません。

そうだとすると、無駄な出費が出ますし、
お金が無くて控訴できないということも
出てくる可能性があります。

第1に、原告の負担感が大きくなり、
訴訟提起が躊躇されてしまう危険があります。

(もっとも、私の場合は、
最初の弁護士費用は、訴額が高くなっても
着手金の段階では高くなりません。
お金が入ってから調整しますが、
裁判等で認定されなければ報酬も
いただきません。

さらに、お金が無いなら、
お金を払わない方法で裁判できます。
おそらく、
この訴訟救助を利用することにかけては、
仙台地裁管内ではトップレベルの
弁護士であろうと変な自負をしています。

ちなみに無いなら出さないでよいのですが、
あるのに出したくないというのは
通用しません。念のため。)

ただ、この訴訟救助も、
敗訴の場合は、原告が負担しなければならず、
その負担感はさらに大きくなります。

また、給付額は実際は特定されません。
給付額を改めて争えるということを
過労死弁護団で教わりました。

そもそも、訴額と収入印紙は、
裁判所の受付の話ですから、
国とは言え、被告があれこれ口出しする話ではないはずです。
嫌味というか、
国の嫌味のですから、
国民が裁判を受ける権利を圧迫しているという表現が
正しいと思います。

だいたい、労災認定の裁判は、
一家の大黒柱が亡くなったりして、
精神的にも経済的にも困っている人たちが
起こすわけです。
5万円程度ならばというわけにだって行かないし、
10万、20万になったら、
本気で裁判断念を有力な選択肢に
せざるを得ないわけです。

言わなくてもいいことを、言って、
このような人たちから
裁判を受ける権利を奪おうとしている
としか言いようがありません。

そもそも、この手数料は、
訴訟救助の場合は、現実に、
負けた方が、支払わなければなりません。

国が負けたら国庫から支払われるわけですから、
我々の税金から払われるのです。

我々が控えめに、収入印紙をはって、
裁判所もそれを認めているのに、
わざわざ国が余計なことを言って、
敗訴の時に大きな金額を払うことに
例えば自衛隊事件ではなったわけです。

国の担当者は、
自分の懐が痛まないからか、
平気でこのような余計な口出しをするのかもしれません。

国民はたまったものではありません。
支出しなくてよい支出です。
(あんまり好きじゃないけど)
これこそ仕分けされるべきではないでしょうか。

こちらは、依頼者のふところを心配しながら
裁判をやっているので、
国の経済的に無神経な態度も
あきれてしまう次第です。

この静かないかりは、
いつまでも持続して行くでしょう。


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