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法実務家も、法医学、公衆衛生に学び、悲劇を繰り返さない活動にもっともっと取り組むべきだと思ったこと [労災事件]

恒例の過労死弁護団の拡大幹事会が東京でありました。
私が入ったころは、確か、机を丸く並べて、
事例報告や話し合いをしていたような記憶があるのですが、
最近は、若い弁護士も増えて、
150名以上が、びっしり会場を埋め尽くしています。

記念講演も毎回、実にユニークな視点からのもので、
新しい発想、着想を得ることができ、
大変勉強になります。

今回は、法医学、公衆衛生の研究者の
反町吉秀先生のお話でした。

反町先生は、監察医をされていたことがあり、
事件や事故の死体解剖を手がけられていたとのことです。
そして、遺体を調査することによって、
事故の原因の究明を行ってきたそうです。

たとえば、プールで溺死されたお子さんがいた場合、
そのときのプールの水位や器具の問題点まで分析されるそうです。
そうして、悲劇を繰り返さない方法を提案していくそうです。

この、誰かの責任を追及するというよりも、
悲劇を繰り返さない具体的方法を探究するということに、
強く共感を覚えました。

この弁護士の机の上や事務所のホームページ
対人関係学も、言ってみれば
すべて、この視点なのです。

医学には、公衆衛生や法医学という分野があるのに、
実務法学には、このような研究分野が極端に立ち遅れている
という問題意識がありました。

法実務という対人関係の紛争の経験から、
対人関係の修復や紛争の予防ということを
体系的に研究し、そのノウハウを確立し
一般の方々に呼びかけていくということを
もっとするべきだと思ったのです。

(また、これまで、あうんの呼吸で、
一子相伝的に行われてきた弁護技術の継承について
言葉にして残そうというという
北辰一刀流的な発想もありますが)

今、過労死弁護団は、過労死防止基本法の制定に向けて
全力を挙げてまい進しています。
まさに、過労死防止という公衆衛生的な活動をする
きわめて珍しい法実務家集団です。

法律実務的に優れた方々というだけでなく、
お人柄も尊敬するべき方々が牽引していらっしゃいます。
毎年2回、拡大幹事会と総会、
知識を増やすだけでなく、
私にとって、日曜教会のような
初心に戻り、薫陶を受ける
貴重な時間です。

過労死や過労自死から命を守ることは、
家庭から配偶者や親や子がいなくなるということを防ぐことです。

私はこれと同じように、
家庭や会社、学校など
対人関係の紛争に学び、
人が傷ついたり、命をなくすことの
予防やノウハウをもっと研究し、
対人関係上の悲劇をなくすことを
法実務の観点からももっと、もっと行うべきだと考えています。

今回の反町先生のお話は、
だからとても刺激的でした。
1時間のお話は、あっという間に過ぎてしまいました。

また、もしかしたら、このような発想は、
過労死弁護団に原点があったのかもしれないと
しみじみ思ったしだいでした。





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