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中学校の部活動は、過労死予備軍を形成する危険があり、いじめの原因にもなりうる。見直しを。 [労災事件]

先週の金曜日と土曜日は、過労死110番でした。
土曜日は全国一斉でしたが、
宮城県は、宮城県の110番創始者石野広瀬先生の発案で、
2日間連続で行いました。
それなりに切れ目なく、まずまずの相談状況でした。

相談担当者の中で、中学校の部活動について話題になりました。
ひところよりは、少なくなったようですが、
土曜日も日曜日も練習で、連続登校の状況がありふれて見られる
とのことでした。

前に教員側からインターネットメディアの取材に応じて
簡単に問題点について述べたことがありますが、
生徒側から見ても危険性があると
言わなければならないことに改めて気が付きました。

まず、連続登校ですが
厚生労働省の精神疾患認定によりますと、
12日間連続労働は、心理的負荷の程度が「中」とされています。
大人でも、精神疾患を発症させる危険があると厚生労働省は見ています。
1ヶ月連続は「強」になります。
土曜日、日曜日を問わず、登校しなければならない状態は
大人である学校が、きちんと管理して、避けるようにしなければなりません。

次に労働時間換算をしてみます。
例えば、8時30分から登校して、部活延長で18時30分まで活動をするとします。
10時間拘束となります。
休憩時間を無視して考えると
2時間の時間外となります。
家庭での2時間程度の勉強をするとすると、
4時間の時間外となります。
週5日で、20時間の時間外となり、
4週で80時間の時間外になります。
これが複数月続けば、
脳、心臓の疾患の発症の危険も出てきますが、
若いうちは血管も柔らかいので、出ないだけです。
体に悪いのです。

この上、土日の部活動が月20時間に達すると
月100時間の時間外労働ということになりますから、
過労死基準に達してしまいます。
大人でも、精神的破綻が生じることが
大いにありうるということになります。

大人の場合は、うつ病や適応障害等という形で現れますが、
子どもが精神的に追い込まれたらどうなるでしょう。
些細なことにも敏感になり、不安を感じやすくなり、
焦燥感から、誰かを攻撃して、自分の優位を確認したくなる
ということは考えられないでしょうか。
これは、当然いじめの背景になりうることです。

このように、行き過ぎた部活動は、
過労死の認定基準に照らして、
それが続くことによって、心身の悪影響を生じる可能性があります。

それだけでなく、
家庭生活が営めません。
この時期は、精神的に発達し、
人間関係の質も変わっていきます。
できるだけ、自由な語らいが必要になるのが本来です。

いつ、子どもは、大人に、自分の悩みを打ち明けられるでしょう。
悩みを打ち明けられる信頼関係は、
子どもころの信頼関係とはかなり異質な関係を
新たに形成する必要があります。

大人は、子どもがいじめたり、いじめられたりしていることに、
いつ気がつくのでしょう。
大人の過労死も、仕事が忙しく疲れているんだろうなという解釈と
顔をゆっくり見る時間もないということで、
気がつかないうちに精神破綻が進行していた
ということがよくあります。
これが中学校でもありうることになっているわけです。

部活動の延長願いは保護者が出す扱いになっています。
手術の同意書のように、後々の責任追及をかわすためでしょうか。
手術の同意書のように、こちらは書かなければならないものとしか受け止めていません。

しかし、延長許可は学校長が行うものです。
このような過労死基準を満たす部活動は、校長の責任ということになります。
学校には、安全配慮義務というものもあります。

それよりなにより、怖いことは、
このように、家族で過ごす時間を経験しないで大人になった子どもたちは
当たり前のように長時間労働を働くようになるのではないでしょうか。

私は、ワークライフバランスという言葉が嫌いです。
仕事は、最終的には生活のための手段であり、
大事なのは家族であるのに、
こっそりと、人生の中で、仕事が重要だという
メッセージを潜在意識に植え付けているような気がするからです。

補論です。
1年生とか、ただ付いているだけで、忙しくないという
誤った考えを排除しておく必要があります。
宗像医師の研究によると、
労働時間よりも、ストレスを上げる要素は、
労働の質にあるということです。
自分の技術を活かせる仕事、
労務管理的には裁量性のある労働、
対人関係的には、自分の情動に基づいて判断できる労働
の場合は、ストレスを感じにくく、

その反対の、
機械的労働、人の指示に従うだけの労働、
他人の情動に基づいて行動する範囲の広い労働は
ストレスが高くなるという結果が出ているようです。

もっとも、この労働時間には、
中学校の部活並みの長時間労働のサンプルはあまり多くありません。
ただ付いていかなければならず、
自分の判断で行動できない1年性こそ、
ストレスは高くなるということです。

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