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慢性適応障害と心因性うつ病  [自死(自殺)・不明死、葛藤]

わかりやすく言えば
長時間労働とパワーハラスメントが続いている場合、
現在の精神科医の診断基準としては、

うつ病エピソード(F3)となるのか、
適応障害(F43.2)のどちらの診断名になるのかということなのです。

うつ病は、「病気」の名前でして、
現在のうつ病エピソードは、「障害」の名前なので、
厳密に言うと違うはずです。

「うつ病」は、
「生気感情の低下が基本障害であって、
二次的に身体機能(食欲、睡眠、生気、性機能や欲動)や
全精神活動に静止が生じるもの」
と定義されます。

うつ病エピソードは、
抑うつ気分や興味関心の喪失を中核として
睡眠障害や疲れやすいなどの症状が
一定期間継続する状態をいいます。

現在役所などで使用されるのは、
うつ病エピソードの方で、
「うつ病」ではないのですが、
未だに、うつ病という診断名を使用している
お医者さんが多くいらっしゃいます。

そのことに特に文句があるわけではありません。
ただ、お医者さんの中でも
うつ病とうつ病エピソードの使い方が
混乱している例も多く見られるのです。

例えば、ストレスを軽減してうつ病を防止しようという
イベントが流行っているのを見て、
「いつからうつ病はストレス疾患になった」
と発言される先生もいらっしゃいます。

イベントで使っているのは「うつ病エピソード」の方です。
お医者さんが、ストレス疾患ではないと言っているのは、
「うつ病」の方です。

かつては、「うつ病」は、どちらかといえば
体質とか、遺伝とか、本人に理由があるという見方が
強かったことに由来しています。

もっとも通説的には、
内因性を基本としながらも、
ストレス等の原因である心因性うつ病
頭のけがや薬物が原因である外因性うつ病
と原因ごとに分類され、
実際はそれぞれが作用して発症するとされていたようです。

「うつ病エピソード」の方は、
原因の議論を一切排除して、
症状が経過すれば該当するとしているので、
ストレス性のうつ病が減れば、
全体としてのうつ病エピソードの数が減るということで
すとれす対策がうつ病予防というイベントが成立するわけです。

「うつ病エピソード」という用語は
今、区別のためにあえて使用していますが
それほど一般的に使用されているわけではないようです。
診断書にもあまり多く使用されていません。

詳しい話はわかりませんが、
内因性うつ病、心因性うつ病、外因性うつ病と
原因別に分かれていた時には、
それぞれ治療方法も異なっていたのではないかとおもうのです。

ところが、
「うつ病エピソード」のもとでは、
入口が広がるのですが、
かかりつけ医なども薬を処方しているし、
実際に精神科クリニックに通院している人の話を聞いても
あまり、現在の精神状態の原因を聞いてもらえない
ということで、
抗うつ薬と症状毎の薬が出るだけということ多いようです。

例えば、
新型うつ病という言葉がありますが、
これも「逃避型うつ病」と「ディスチミア親和型うつ病」等の種類があり
それぞれ薬の効果が異なりますが、
肝心なことは抗うつ薬がそれほど効果を上げないということです。
(日本医師会雑誌平成22年2月)

一方で、適応障害という診断名もあります。
定義は長くなりますので後述*

外部環境が原因となり、
うつ状態等の生活障害が出ている場合
ということでしょうか。

適応障害と心因性うつ病は区別がつきにくいことになるのですが
形式的には6ヶ月以上続いていたら
適応障害ではなく別の診断名を検討するべしと
国際病類分類では言われています。

んで、これらの人にも抗うつ薬などが処方されると
いうことになるのですが、

職場に問題が有り、
残業続きで睡眠時間が短い
ノルマが常に有り、厳しいい
わゆるストレッチの労務管理がなされていたり
上司や同僚、部下からのハラスメントが続いた場合、
それが6ヶ月以上続いた場合
どうなるのでしょうか。

どうも適応障害の方は、
継続的なストレスというよりは、
一回的なストレス
(引越し、死別、事故)であり、
それらのストレスに
人間は対応していくものだと
考えているみたいなのです。

しかし、睡眠不足は体が順応していく
ということはありません。
それなりの変化があったとしても
やがて死んでいくわけです。

細かな嫌がらせは
断続的に続いていくわけです。
とても慣れていくということはなさそうです。

ちくちくちくちく
1回ごとはそれほど大きなダメージではないけれど
安心できない状況が継続していくわけです。
なれるかと思えば新たな脅かしがあるわけです。

あなた、いじめや嫌がらせを受けて、
だんだん慣れて気にならなくなった
ということはありますか?
長く続いていくほど、
絶望的な気持ちになっていくことが多いと思います。

おそらく、国際病類分類は
生かさず、殺さずという状況に置かれ続けている場合の
精神反応に対しては
対応していないのではないかと
素人的には感じているのです。

こういう職場に問題がある場合は
職場の人間関係を是正することに
勝るものはないと思うのです。

薬を飲んでパワーアップしたところで、
同じ問題が継続しているならば、
薬が効かなくなっていくだけのことではないか
と素人的には考えるわけです。
それは当たり前ではないか。

そして、どうしても、お医者さんは、
会社という人間関係が
社会的な常識を兼ね備えた
大人の対人関係にあるという前提に立たれているように
感じてしまうのです。

そして、なんとか本人を
職場に順応させようとしてしまう傾向はないか
危惧しています。

ところが、弁護士からすると
職場の中には、
暴力団の方がまだましではないか
という人間関係もあるわけです。

本人にいくら働きかけても
本人にいくら薬を投入しても
人間である以上順応し得ない
人間関係が多くあるように思われます。

やはり、精神症状と原因は、
十分検討していただきたい。
小さな攻撃が執拗に繰り返されること(ハラスメント)
に対して、人間がどのように反応するかについて
調査をしていただきたいと思う次第です。

現代のうつ病(エピソード)の
例外的な事例ではなく、
むしろ増加している症例の圧倒的多数が、
職場などでの、小さな攻撃
(悪意のあるハラスメントだけでなく、
労務管理として行われる追い込み型生産向上策
場当たり的な不公平な評価による賃金体系等も含む)
が原因だと思います。

それが国際病類分類上の診断対象ならば、
これだけ蔓延しているのであるから、
原因を特定して予防を徹底することを
行う必要があるわけです。

なお、新型うつ病は、上記のとおりです。
患者に原因を求める傾向があるため、
深刻さが無いような報道のされ方をされますが、
全く違います。
「うつ病」ではなくとも、
死にたくなる気持ちが出現することもあります。

詐病だとか仮病だとか
あるいはゆとり教育の産物だという
知識のない言動は、
それらの患者さんを追い込むだけでなく、
一般のうつ病の患者さんもあわせて追い込んでいます。
また、非人道的な職場の問題から目をそらせるだけです。
何も良いことはありません。

気の持ちようではないのです。


主観的な苦悩と情緒障害の状態であり、
通常社会的な機能と行為を妨げ、
重大な生活の変化に対して、
あるいはストレス性の生活上の出来事
(重篤な身体疾患の存在あるいはその可能性を含む)
の結果に対して順応が生ずる時期に発生する、
ストレス因は(標津、分離体験によって)個人の人間関係網が乱されたり
あるいは社会的援助や価値のより広範な体系を侵したり
(移住、亡命)することがある。
ストレス因は個人ばかりでなく、
その集団あるいは地域社会を巻き込むことがある
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