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判決結果がどうあれ、七十七銀行女川訴訟の意義 次は屋上への避難は確実に安全配慮義務違反 [労災事件]

東日本大震災の津波で、
七十七銀行女川支店という海辺の銀行の職員12名が
10mの建物の屋上に避難して
津波に巻き込まれて亡くなったという事件で、
仙台高等裁判所は、
銀行に責任がないという判決を出しました。

私は、この裁判でどのような争い方がされて
また、女川地域の津波の様子もわからないので、
判決に対する論評は、プロとして避けます。

しかし、敗訴であろうとなかろうと
この事件を訴訟提起した意義が大きいことを
述べなければならないと思うので、書く次第です。

報道が、かなりまちまちで、
おそらく判決を正確に報道していないのだろうと思われますが、

客観的事実としては、
14時46分地震があり、
14時49分、気象庁は宮城県の津波予想が6mとし、
15時1分  地震波が国内の広帯域地震計の測定範囲を超えた。
       モーメントマグニチュードの計算ができないことが判明
15時14分 気象庁は、宮城県の津波の高さは10mをこえると発表

事前の宮城県の女川地方の津波高が5.9m
ちなみに仙台1.1m 南三陸7.8m

1 ここからわかることは
  事前の予想が5.9mだとしても
  現実の津波は10m以上となること
  したがって、10mの建物屋上に避難しても
  安全配慮義務を尽くしたといえないこと
  これは、この裁判がなければ、
  意識されなかったかもしれません。

2 ちなみに、裁判やらなくてもわかっていなければならないこととして
  津波は、高潮と違って、
  海水の表面が陸地に押し寄せるのではなく
  海そこからそっくり押し寄せてくるということ

  このため、
  陸地に押し寄せてくる移動のエネルギーは、
  建物にぶつかると
  位置エネルギーに転換され、
  上に上がっていくということ
  6mの高さだって
  建物にぶつかると上にはっていき、
  屋上だって超えるかもしれないということ

  防災責任者は、
  防潮堤と防波堤の違い
  高潮と津波の違いはよく調べてください。

  さらに津波は水が来るのではなく
  水の中に土砂や木や
  自動車や船が混じって押し寄せてくるということ
  それが位置エネルギーに転換され上昇し
  屋上に押し寄せてくるということ

  6mの津波高だから
  10mは安全ということには決してならないということ
  です。

  津波に限って言えば
  ギリギリセーフはない
  高台に上るしかないこと
  実際に宮城県では、津波警報が発令されると
  高台に避難してくださいとラジオでも呼びかけられています。


3 なお、事前予測が、仙台、女川、南三陸これだけ違うのに、
  津波警報は、ザックリ
  宮城県の津波高を予報しているということ
  現実の津波に照らし合わせると
  6mというのは、
  宮城県で一番低いところで6mという意味だったということ
  だから、もともと高い予想がされているところは
  県の予想の5m程度上を予想して避難しなければならない
  ということが教訓として伝えられなければならないこと

4 また、自分の命は自分で守らなければならないこと
  会社の命令を聞いてはいけないこと
  会社は、責任を負ってくれない。
  津波の時には、自分で判断して逃げてよいということ
  と考えざるを得ない。

 各マスコミの報道内容を読むと、
 きわめてアバウトに内容を報道しているようです。

 各企業、労働者の皆様
 事前の津波予想が5.9mだとしても、
 10mの高さの建物の屋上に避難することで
 安全配慮義務が尽くされたということではないので、
 そういう報道は誤報ですよ。
 
 あくまでも防災計画が違法ではなったというだけの話です。
 しかも、東日本大震災以降は、
 そのような防災計画自体も不合理とされるでしょう。
 現実にそれでは意味がなかったからです。

 少なくとも、今後は
 そのようなことで被害が出たならば
 今回の訴訟を踏まえると
 確実に莫大な損害賠償を支払わなくてはならなくなります。

 特に海辺の街の企業は
 即刻防災対策マニュアルを見直すべきです。

 高台への避難ルートを整備しておきましょう。

 もし、今回の訴訟を提起しなかったら、
 このような教訓は整理されず、
 後世に伝えられず、
 その結果
 津波予想高と建物の高さが4mあれば大丈夫
 奥行きがあるから大丈夫
 ということで犠牲者が確実に増えたことと思います。
だから、勝ち負けにかかわらず、
 今回の訴訟提起には大きな意義があります。
 私は、訴訟活動をされた関係各位に敬意を表するとともに、
 われわれが、その意義を伝えていかなければならないと
 強く感じています。
 報道は、一面的すぎます。
 ぜひ、それを拡散してください。

 奥行きがあっても、バスが襲ってきたらひとたまりもありません。  

 海辺の全自治体、全企業の防災対策責任者は
 かさ上げ工事が完了してしまう前に
 現地を見て、津波の動画を見てほしいと思います。
 平成23年3月前のナビ付の自動車で
 更地を走ってもらいたい。
 「その銀行の角を右折してください。」
 私は、その音声と、ナビ画面と
 現実の更地を見て
 息が止まりそうになりました。

 判決の結果は論評しません。
 しかし、現実の津波は 
報道されている判決のように
 几帳面な数字で襲うわけではないことだけは間違いありません。
 

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