SSブログ

過労死を子ども目線で考えてほしい 「お父さん早く帰ってくればいいのにね」 [労災事件]

一日中労災事件にかかわる日もあります。

労働時間を計算するために入力作業をしていました。
やっているうちに、あまりにもひどすぎて、
昼食時間になっても入力をやめられませんでした。

連日24時まで働くだけならまだよくて、
1時、2時まで働いた記録がありました。
普通に入力すると計算ができないので
25時とか、26時とか入力しました。

厚生労働省の会議では、
医師は、3週120時間の時間外労働をすれば
それだけで精神疾患発症の危険があると指摘しています。
4週160時間は無理だといっているのです。
それでも、国は、行政の基準なのだからということで
4週160時間という表現にこだわりました。

入力作業の彼は、100時間以上の残業が続き
(月間300時間労働を超える。)
160時間(要するに2か月分の仕事)
をしていました。

私は、国の議論を思い出して、
「もう無理だよ。休んでくれ」と、
エクセルに入力しながら号泣してしまいました。
しかし彼は、もう亡くなっています。自死です。

彼の所定労働時間は、9時から5時なのです。
しかし、仕事が忙しくなると、午前8時から働いていました。
それでも、就業時間が23時、24時、26時になると
翌日は、午前9時からの仕事開始になっていました。

彼は意識していたのでしょうか。
意識がなくても体の変調は、あるのです。
本当は、仕事を休みたいと体は思っていたはずです。
そんなときも彼は、9時には仕事をしていました。

そんな作業をした同じ日に、
お母さんと幼稚園に上がる前の娘さんが相談にいらっしゃいました。
話を聞くと、お嬢さんの父親は何カ月も
同じように無理な仕事をしていたようです。
もっとひどいかもしれません。

私は、亡くなった人の写真を見せてもらうことが多いです。
お写真を見せていただきました。
そうしたら、そのお嬢さんが、
「あ、パパだ。」と写真を嬉しそうにのぞき込むのです。
どうやら、お父さんがなくなったことを知らされていないようなのです。
少し、口をとがらかせながら、
「おとうさん早く帰ってくればいいのにね。」
とお嬢さんは、そういってようやく写真から手を離しました。

本当にそうです。
どんなに「そうだね」と言ってあげたかったか。
その時、必死に顔に出さないようにしていたつけで、
今泣きながらこれを書いているわけです。

この子のお父さんは、帰ってきません。
朝から晩まで、土曜日も日曜日も働いて、
家庭にいる時間が極端に少なく働いても、
会社はお父さんにつらくあたっていたようでした。
お父さんはお亡くなりになっています。

お嬢さんは、いまは事実を知りません。

こんなかわいい子を遺して
「死にたかった」ということはないのです。
「死ななければならない」と感じるまで追い込まれたのです。

お嬢さんはやがて全てを知ることになるでしょう。
どうやったら、苦しみ、悲しみ、衝撃を
やわらげて伝えられるか、誰か教えてほしいです。

子どもの目線で感じることができれば、
過労死は、取り返しのつかないことだとわかります。
大変なことが起きたのです。

少なくない事例で、
子どもたちが混乱しています。

ある、母親の過労死の案件が思い出されます。
母親は、営業の競争で常にトップを走っていました。
通常は、なんてことのない病気にかかっていました。
寝ていれば治るような病気です。

でも、痛みをこらえ、体調不良の自分にムチ打って
営業活動を続けました。
体中に毒素が回り、
全身状態が悪化してで亡くなりました。

遺された子どもの混乱は深刻でした。

どうして、お母さんは、ぼくたちよりも仕事を選んだんだろう。
僕よりも仕事が大切だったのだろうか。

別の職場のお父さんも
無理な仕事と役所の書式の厳しさで
極度の高血圧となりなくなりました。
企業の手厚い支援で、労災認定もおり、
自主的に民事も解決しました。

しかし、子どもの心は解決しませんでした。
それはそうでしょう。
遺されたことの意味を持て余すしかありません。

みんな、子どもたちは
何も悪いことをしていないのに
取り返しのつかない状況におかれているのです。

親が過労死してその一生が終わるだけではありません。
子どもの一生は、それからも続くのです。

過労死を無くすということは
死なない限度で働かせることではありません。
働く喜びと充実感をもって働くことであり、
家族との実生活を楽しむことだと思います。

介護や育児ができれば「ライフ」というわけではないのです。

国は、過労死防止に動き始めました。
それとともに、遺族の支援もぜひお願いしたい。
子どもたちへの影響を知ってほしい。

子どもの目線で
過労死対策を考えなければならないと
思った一日でした。


実際、

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0