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【草稿】成果主義賃金の労務管理の敗北を認めよう。なぜ、効果が上がらなかったのか。 [労務管理・労働環境]

日本経済の評価は詳細がわかりませんが、
成果主義賃金で生産が上がったという話は
あまり聞きませんね。

お世辞のないところで言えば、
むしろ、悪くなっているのではないでしょうか。
高度経済成長は、年功賃金、終身雇用制の下で起きていましたから。

成果主義賃金は、
自分の頑張りに応じて収入が増えるということから
働くモチベーションを高める
という触れ込みで導入されていきました。

もしその理論、あるいは建前が正しいなら
もっと経済は成長しているはずではないでしょうか。

少なくとも、現行の成果主義賃金は
欠陥があったわけです。
そこを検討しようと思います。

欠陥の1
「成果」が主観的だった
成果の量が客観的にわかるようなものであれば、
成果を上げて、機械的に評価されるのであれば、
頑張れば収入が上がるという気持ちに直結していたのでしょう。

現実の「成果」は上司の主観でした。
大体において仕事の成果は抽象的です。
また、チームプレイですから、
誰の成果ということがわかりにくい。

結局上司の判断で
成果評価が割り振られてしまった。
上司の評価が高ければ収入が上がるのであれば
労働者の考えは変わります。

「会社のためになることよりも
 上司の評価が上がることをしよう」
当たり前ですね。

その上司は、自分の上司、
その上司は、さらに上の上司の
御機嫌伺いばかりを行い、
結局専務取締役あたりの個人的な感情が満足させられて
会社は左前になっていくわけです。

これには副産物があります。
上司にへつらわないで、自分が損をしても
会社の利益を目指そうという人は
利害対立の相手とみられますから
成果主義賃金体系の元迫害されて
やる気を失い、転職していきます。

会社の崩壊が加速されていく要因でもあるわけです。

欠陥の第2は、競争条件の平等が確保されないということ。
もともと、いい加減な導入をしていましたから、
競争条件の平等なんてことを考えてもいなかったでしょう。

上司のおぼえの良い人は、
条件の良いポジションを与えられます。
売り上げが上がりやすい地域とか
成果を上げたことをアッピールしやすいポジションとか
与えられます。

その他のポジションの人は、
一生懸命働いても収入が上がりません。
モチベーションは下がる一方です。

欠陥の3は、上司が変わると評価が変わるということです。
もともと主観的な評価ですから
移動などで上司が変わると、
今度は優遇されなくなる可能性がある
そのことはえこひいきされていた人はよくわかっているわけです。

冷遇されるようになった人のモチベーションは下がりますが、
優遇されると思ったのにそのままだった人の
モチベーションもさらに下がります。

こういうことを繰り返していれば
一時的に優遇されている人も
懐疑的になりますよね。

欠陥の4は、果たして報酬のパイは十分だったか
一生懸命成果を出せば収入を上げるというのに、
収入を上げるための財源が確保されていたのか
という問題です。

単に昇進などでごまかしているうちに
管理職だけやたらと増えていないか
ご自分の会社を見てみてください。

頑張っても、収入が増えないのでは
モチベーションは上がりません。

欠陥の5は、そもそも論ですが、
人間はエサでつられるのだろうかという問題です。
短期的、イベント的に報酬が加算される
ということは、けっこう乗りで頑張ったりしますが
これが、長年続くときついということがあります。

だんだん、頑張ってようやく今のポジションを維持できる
すこし息継ぎすると転落する
ということがわかってくるので、
閉塞感、息苦しさが出てきます。
成果主義賃金体系は長続きしないシステムだということです。

欠陥6 成果でしか自分が評価されない
という感覚は、
だんだん、自分が尊重されいない
自分は尊重されるべき人間ではない、
人間は尊重されるべき存在ではない
という危険な感覚に陥る危険があります。

成果評価の対象ではない
非正規雇用労働者に対して、
人間的扱いをしなくなるようです。

人間的扱いをされていない非正規雇用労働者は
自分より弱い他人を探して、攻撃することによって
自分のポジションを確保しようとする危険があります。

正規従業員に対しても
成果という結論を出すことだけが
頭でっかちの命題になってしまっていて、
その方法論を検討することも指導することも
後景に追いやられてしまうことになります。



以上こんなことをわめいているのは
私だけかもしれませんが、
国を愛する心があるのであれば、
成果主義賃金体系について
真摯な見直しをする必要があるように思われます。
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