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対人関係学:震災から生まれた自殺予防の基礎理論 [自死(自殺)・不明死、葛藤]

対人関係学 震災から生まれた自死予防の基礎理論
                     
技法分類 行動学

考え方:人間の感情は、個体が生存し種を保存するために不可欠な、
遺伝子に組み込まれた環境に対する反応である。

根幹の感情(生存の継続を希求する仕組み)

<動物>としての感情・・・自分の身を自分で守りたい
     いざとなったら自分の身を守る行動が
できないかもしれないという不安 
危険感覚の阻害、行動の自由の不自由感
(自力救済の行動要求)
<人間>としての感情・・・群れに帰属していたい。
   自分の行動あるいは群れの他の構成員の言動によって、
自分が群れから追放されるかもしれないという不安
(帰属の要求)

自力救済の行動要求不全
   忙しさから自分の行動の自由がないと感じる場合
   (過労死、過労自死)
   他人の支配を受けているため自分の判断での行動が
許されないと感じる場合(配偶者加害、カルト集団の洗脳)
   細部に至るマニュアルがあり、自分の判断によって行動できない
と感じる場合(過労死過労自死)
   公権力、自分より地位の高い者、多数によって、
抵抗不能であると感じる場合、
(公権力による弾圧、パワーハラスメント、指導死、いじめ)
帰属要求不全
    自分の健康が気遣われない(暴力)
      自分の人格が尊重されない
     正当な評価がなされない(成果賃金の不具合)
      具体的な指摘のない否定的評価
      自分の欠点、弱点、不十分な点に否定的評価が下される。
      群れの決定過程に参加できない
      一段低い立場のものと評価される
      自分の何らかの失敗
      仲間の損害を未然に防止できなかった
      自分が仲間の中に安住するためには仲間のための役割が必要で、
そのための必要な役割を果たせなくなった。

帰属要求不全の具体例
    社会という群れ  自分あるいは自分の家族だけが、
他の人たちよりもみすぼらしい状況にある。
    マンション    自分の部屋の周囲だけが、
ひび割れが多いのに、修繕してくれない
    みなし仮設    自分たちだけに情報がこないため、
損をしているようだ。
    職場という群れ  自分が評価されずに、自分よりも
働いていない同僚が評価されていることからすると、
自分は会社に不要な人間だと評価されているのではないか


自力救済の要求不全と帰属要求の不全の効果
    不安を感じ続けることになる。
  = 身体生命に対する危険が迫っているように交感神経が活性化され続ける。
  → 危険が係属しているか安全になったかという
二者択一型の思考になじみやすくなる。
複雑な思考、将来的な推測、相互譲歩、次善の策への発想の転換等
柔軟な思考が停止ないし低下する。
    確実に安全であることを志向するため、悲観的な思考が支配されやすくなる。

命題のリフレイン
  「このまま苦しみ続けるか死んで楽になるか。」
      ↓
  具体的な自死の方法を観念してしまうと、
思いとどまることが困難になる(自己制御力の著しい低下)

別角度からの考察
  群れから疎外され続けていくと、
自分が大切にされていないという意識が継続することになり、
自分自身も自分を大切にしようという意識、
人間は尊重されなければならないという意識が低下する。
死への閾値が下がる。

解決のための理論

1 客観的に要求不全があれば、
当然に、危機意識や不安という反応が起きるものだとして考える。
「大丈夫ですか」という問いかけは無駄で有害。
受け手は「大丈夫だ」という答えを要求されていると感じる。

2 疎外感覚を生み出す客観的条件を改善することこそが心のプライマリケア
  そのためには、疎外を感じる事情はどういうことか
絶えず問い続けること。人間とは何かが根本的な考察対象。

3 孤立こそが死の閾値を下げて、帰属要求不全を助長する最大の危険因子

4 逆に、居心地の良いコミュニティで尊重
(欠点、弱点、不十分点、失敗を責めない、嘲笑されない、
批判されない、むしろ群れの他の構成員が補ってくれる)
されていると、他の不安も解消されていく。
死の恐怖さえも和らぐ。
0の先のプラスを目指すということ。

5 怒りは、不安解消行動である。
怒りの言動に心を動かすよりも、怒りの根源にある不安を推察する。
そして、言いあてて、共感を示す。

6 安易な慰め、あなたは悪くない、死ぬほどのことはないという発言は、
その人の苦しみを否定すること。
援助者が、当事者の苦しみに共感したくないという突き放した対応。
 
不合理な自責の念すらも、その人にとっては絶望を回避するためのメカニズム。

7 大切なことは、「私はあなたを決して見捨てない。」ということを伝えること。

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