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甲状腺ノート(非医療関係者)2 ストレスと甲状腺ホルモンバランスの乱れ [進化心理学、生理学、対人関係学]



この章は、ストレス(甲状腺ホルモンバラン以外のストレス)と甲状腺ホルモンバランスの乱れの関係を説明しています。甲状腺ホルモンバランスの原因としてストレスがある場合があり、また、ストレスが甲状腺ホルモンバランスの乱れを悪化させること、甲状腺ホルモンバランスの乱れの結果、ストレスを生む人間関係などが生じる、それらの複合という悪循環を説明しています。ストレスの中には出産も入るようです。ストレスとは何か甲状腺ホルモンバランスの乱れとは何かという生理的説明もわかりやすくされています。

甲状腺の乱れによる症状は、各個人のストレス耐性によって左右されるが、それは、本人のいかんともしがたい事情なので、本人を責めてはいけない。
うれしいこと、腹立たしいことは、大脳辺縁系で反応、大の辺縁系が気分感情をコントロール。大脳辺縁系に甲状腺ホルモンが送り込まれる。大脳辺縁系の主な化学用物質は甲状腺ホルモン。
(甲状腺ホルモンかなり大事ですね。この甲状腺ホルモンが気分感情をコントロールする仕組みがわかればかなり色々なことがわかってきますね。それにしても、気分感情をコントロールするのは大脳皮質というか、前頭前野だと思っていたのですが、前頭前野が考えて甲状腺ホルモンを使ってコントロールするのでしょうか?)
甲状腺ホルモンが足りなくても、多すぎても、ありとあらゆる感情気分および認知への影響を生じる。ストレスに対処する能力を弱める。
甲状腺の機能に障害が起これば、簡単にこのストレスの罠に陥る。甲状腺ホルモンバランスの乱れの症状の原因にもなる。
ストレスがどのようにして甲状腺ホルモンバランスの乱れを引き起こすのでしょうか。
精神状態やストレスが甲状腺の病気を引き起こしたり、悪化させることがある。(双方あるということなのだろうけどね。 甲状腺→ストレッサー、ストレス→甲状腺)
ディーパック・コプラ、アンドリュー・ウェイル、およびバーニー・シーゲル等の医師は、病気を避けたり、打ち勝つために、態度と精神に関連した方法(瞑想や誘導リラクゼーションのような)が重要であると強調。
<ストレスがどのように精神と体に影響するか>
ストレス→脳が内分泌腺の大きな反応を引き起こす化学的メッセージ : 副腎皮質によるストレスホルモン、コルチゾールの作り過ぎ。
長期のストレス暴露 : 大きな感情の動揺や抑圧、あるいは外傷、ストレスに対処するのが困難になる。内分泌系が慢性的に攻撃
内分泌系の器官のストレスに反応は免疫系を犠牲にして起こる。夫婦喧嘩の際により敵意の強い人の方が、免疫系が強く抑制される。(!)ウィルス性、細菌性の感染症が起こる。
免疫系 : ウィルスを攻撃、そのウィルスが甲状腺の性質とよく似た分子構造を持っていれば、免疫系が甲状腺をウィルスと間違えて攻撃。(もしかすると、これが自己免疫疾患?)
ストレスを上手に受け止め、対処する人は、ゆったりしていて免疫系が乱れたり、過剰なコルチゾールのために他の病気に罹ったりすることが少ない。逆は、ストレスからうつ等。(コルチゾールが分泌されやすい人、コルチゾールの分泌指令を出しやすい人と、少なくとも二種類あるのだろう。)
1. 慢性甲状腺炎:甲状腺ホルモン欠乏を起こすいちばん多い疾患
2. バセドウ病:甲状腺ホルモンの作り過ぎを起こすいちばん普通に見られる病気
(のちに出てきますが、あくまでも甲状腺異常の中の多い2つです。その他にもいろいろあるようです。)
これらの甲状腺疾患のどちらも、体が自分自身を攻撃するというパターンを反映しているため、自己免疫疾患として認識されている。(おー!)
このどちらかに罹る人には同じ遺伝子の異常。重要なファクターでもそれが唯一のものではない。女性の罹患率が高い理由は、この病気に罹りやすい素因を持つ人の遺伝子の一部がX染色体にあると思われるから。
遺伝的素因のほか:エストロゲンやプロゲステロン(いずれも女性ホルモン)のようなホルモンの変動。→思春期以降では女性の方がそのような病気にずっと罹りやすくなるテストステロン(男性ホルモン)は免疫攻撃を和らげるということを示唆する証拠がある。
<自己免疫性甲状腺疾患につながりのある感染物質>コクサッキーBウィルス、Yersinia enterocolitica(エルシニア・エンテロコリカ)、およびEscherichia coli(大腸菌)。最近、Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ:胃炎や胃潰瘍を起こす細菌)が自己免疫性甲状腺疾患のある人に高い割合で見付かっている。
自己免疫性甲状腺疾患に罹っている人は、悪性貧血やインスリン依存性糖尿病、狼瘡(全身性エリテマトージス:SLE)、慢性関節リウマチ、アジソン病、および白斑症(皮膚のある領域の色素が失われ、白くなること)のような他の自己免疫疾患にも罹りやすい。ストレスやストレスに対する心理的反応。
特に多岐にわたる持続的なストレス。
悪循環のエスカレート
病気の根本を治療するか、この悪循環を断ち切る方法を見付けない限り、症状は永遠に続く。
(私の興味関心上大事なので、引用させていただきます。)
「症状の悪循環のほとんどは患者の診断がつく前に根づいてしまいます。ストレスのかかる出来事で軽い機能障害が引き起こされ、それがさらにストレスがかかることでひどくなっていきます。ストレスがさらにかかることで病気になり、それがもっとひどいストレスになっていきます。一つの病気がまた別の病気を引き起こし、それがまた最初の病気に悪影響を与えるというのが、医師が甲状腺ホルモンバランスの乱れの診断や治療の際に直面することです。」
(これわかります。独立した記事ネタくらいの分量がありそうなので、詳細は避けますが、妻は病気の症状として軽く怒りや不安を口にするのですが、夫は自分が責められていると取りますので、防御的な怒りの態度が出てしまうわけです。そうすると、妻は、はっきりと自分が攻撃されているということを認識しますから、はっきりと不安になってしまいます。そうやって疑心暗鬼が双方に起きて、どんどんぎくしゃくしてしまうということになるのですね。)
それでも、この悪循環のエスカレートは、医師と患者がそのことをもっとよく知るようになれば、初期の段階で簡単に止めることができるものです。甲状腺ホルモンバランスの乱れを早期に診断し、それに関連したストレス問題に取り組むことでこの悪循環を断ち切るようにすれば、不必要な身体的、精神的苦しみや、個人的な問題、そして過度のストレスがかかるのを予防することができ、患者の回復を早めることができるのです。(ここで大事なことは、家族もその知識を持つこと。精神的な問題は、患者一人に伝えてもあまり意味がない。でもこういう観点を持つこと自体は素晴らしい!対人関係の問題については、しばしば先進的な医師やカウンセラーが介入するけれど、自分のクライアントの治療という観点で介入するので、相手に対して深刻なストレスを与えていることに気が付かないことが多い。極端な話、「このクライアントはこんなに苦しんでいますよ。だからあなたは我慢して下さい。」というようなアドバイス。言われたほうは自分が悪いからクライアントが病気になったといわれているように感じる。通常は相互作用なのだから、どちらが良い悪いということではなく、双方がより快適に、よし幸せになる方法を提案すること。まさに対人関係学。このような人間関係の調整ということを考える弁護士の関与が有効)
慢性甲状腺炎が更年期に急激に増える。
出産後に高い頻度で甲状腺ホルモンバランスの乱れが起こる。(!!!)
(これはなるほどの指摘ですね。結果としてはそういう場合が少なくないことは、印象レベルの話だけどよく分かる。出産がどのように甲状腺ホルモンバランスを乱すのか)
<うつ病が免疫系に及ぼす影響> = <ストレスの影響>
自己免疫性甲状腺疾患の引き金を引くことになる連続的な化学的相互作用が
うつ病に罹っている間に起こる可能性があり。
産後うつ病に罹っている女性は、慢性甲状腺炎になる可能性が高い、例えうつ病の女性のホルモンレベルが正常な場合であっても。
うつ病で入院した患者は、一般集団より慢性甲状腺炎になる頻度が高い。
甲状腺機能低下症のせいでうつ病が起こると考え、不活発になった甲状腺を治療することでうつ病が治るだろうとされていたが、時には逆もまた真。悪循環のエスカレートの現象。どちらの病気に罹っていても、その悪循環を断ち切る方法は正しい診断とストレスやうつ病の問題への対処。
脳と甲状腺の機能
脳下垂体(脳の基底部にある。)→甲状腺刺激ホルモンTSHを分泌することによって、甲状腺に甲状腺ホルモンの生産量を指示。
脳下垂体は、血液中の甲状腺ホルモンの増減を感じ取り、TSHの産生を調製。
(何がセンサーなのだろう)
脳下垂体は循環している血液中及び機関や脳の甲状腺ホルモンの量を一定化
脳下垂体の機能をコントロール脳の領域と脳下垂体をつなぐのが視床下部。視床下部がサイロトロピン─放出ホルモン(TRH)と呼ばれる化学物質を出して脳下垂体と連絡をとる。例えば、体が寒さを知覚 →脳 → 視床下部 →脳下垂体 : 低温に対する反応としてTSHのレベルを上げろ。
過度の身体的ストレス → 脳 → 視床下部 → 脳下垂体にTSHの産生を減らすよう指令
代謝や臓器の破壊速度を遅くする防御メカニズム。脳は、事実上代謝速度を遅くして体を飢えから守っているのです。
神経性食思不振症 → 脳 : 摂食障害を体内エネルギーの貯えを脅かす恐れ → 視床下部 → 甲状腺に代謝を低くして生き延びるためのエネルギーをできるだけたくさん残そうとする。
甲状腺と戦後症候群 = PTSD
戦闘に参加した人の多く:息切れや疲労、頭痛、胸痛、頻脈、下痢、感情の乱れ、および睡眠障害のような実に様々な精神的、身体的症状
心的外傷後ストレス症候群 : うつ病と不安、そしてその他の数々の症状が交じり合った複雑な病気です。この症状が戦闘のストレスに反応して作り出された甲状腺ホルモンとコルチゾールのレベルを相当に反映しているという考えを裏付ける証拠がある。
PTSD 精神的外傷を与える出来事(強度のストレス)→脳→視床下部→下垂体による甲状腺ホルモンの増加→コルチゾール過剰、→ ストレスの増強 →さらなる甲状腺ホルモンの増加 (解決しない強度の不安の持続とは生理学的にはこういうことなのか):甲状腺ホルモンの高値の持続
自己防衛反応の一部として甲状腺ホルモンレベルが高くなり、そのためにこのような過度の警戒状態が生じるのです。
ストレスが免疫系に及ぼす影響のため、バセドウ病になる危険性も高くなる
ストレス管理
ストレス管理こそ甲状腺疾患患者の治療戦略の中心的部分となるべき
カウンセリングや精神療法、抗鬱剤や抗不安薬
甲状腺ホルモンバランスを直すこと、リラクゼーション 悪循環の回避
数字を下げるだけでなく、ストレッサーを解決する、ストレス反応を軽減することが根治には必要。これがなければ再発の可能性あり。
適切な治療、ストレス管理、そして優しく愛情を込めたケアが根治の方法。
「もうすっかりまいっちゃった」「プレッシャーに耐えられない」このような言葉が軽く交わされるような場合でも、その気持ちに注意を払い、さらにそれ以上のストレスがかかることを避け、管理することが重要。(否定しないということだね)
ストレス管理を行うことが欠かせない人 : 更年期に達した女性、子どもを産んだばかりの女性、非常に責任の重い仕事に就いている人、非常に大変な家事をこなしている人
これがいちばんよいという方法はない。他に病気があるか運動ができるかどうかによって異なる。瞑想しながら深呼吸、静かに座って心安らぐ音楽を聴く、ヨガや太極拳。昔ながらの方法で太極拳を行うと、気分や感情の改善が見られる、精神や免疫系、および甲状腺の健康を保つ最良の方法の一つ。
甲状腺疾患に関しては、精神─体のつながりは治療の一部。
<甲状腺は脳の付属器官>+<甲状腺を通じて脳が連絡を取ってる>
= 体と心に働きかける方法に非常によく反応。
患者として、自分のストレス問題には自分で取り組まなければなりません。(それは正しい方法を見つけられないだろう。専門的な第三者の存在が必要だと思うがどうだろう)

本記事は田尻クリニック様のホームページに掲載されているhttps://www.j-tajiri.or.jp/
「書籍の翻訳」の中の「甲状腺の悩みに答える本」の読書ノートです。
• 原題と著者は、[The thyroid solution] by Ridha Alemです。


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