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【パワハラ研修をお引き受けします!】現場を知り、労使双方の言い分を聞いて研究してきた人間が行わなければ、企業活動に支障が出るおっかなびっくりの腰の引けた話か、聞こえは良いが後にパワハラで訴えられる話しかなされない。 [労務管理・労働環境]


本日から、企業にパワハラ防止が義務付けられています。
防止対策や、その中心であろう管理者研修に
労務担当の方はご苦労されていると思います。

しかし、パワハラ防止法や関連の通達を見ても
「それはさすがにパワハラでしょう。」、
「さすがにうちではそれはないわ。」
と感じている企業が多いことだと思います。
「では、今までの通りでよいのか」
という不安も起きてしまい、
結局何に気を付けてどうすればよいのか
ということが分かりにくいというご感想も多いと思います。

よく引き合いに出されるのは
厳しい注意は必ずしも防止の対象にならない
なんていうところですね。

労働者側からすれば
注意という言い訳が効くのだから
結局パワハラが容認されていると批判するところですが、
企業側からすれば
どこまでが許されるのか分からないので
結局必要な指導がしにくくなっているのです。
安心して厳しい指導ができるとか言って
能天気に構えている企業人はいないのです。

いろいろな講師を呼んで研修をされていると思いますが、
中には、なんであなたが呼ばれているのと思う人もいて
ずうずうしく何を話したか聞いてみると
「判例の話をしてきた」というのです。
それでは、日常の企業実務では
何の役にも立たないだろうなと感じています。

判決に記載されていることは、
弁護士がいろいろ調べ上げたエッセンスであって、
どうしてどのようにしてパワハラが起きたのか
ということはあまり記載されていないからです。

結局パワハラ防止法の条文を読むのと
それほど大差のない話が聞けないのは理の必然です。

結局、問題のありそうな人に部下をつけないとか
結果として上司は部下に注意をするな
という腰の引けた行動しか提起されないということになってしまいがちです。

逆に、これも大丈夫あれも大丈夫という話を真に受けて
労働者が健康を害して会社を訴えた後で
講師に責任を取ってもらおうとしても後の祭り
ということも心配になります。

注意指導の問題一つとっても
企業によって形態が違えば、
上司と部下の関係も違う、
必要な伝達事項の伝え方も違うわけです。

もちろん上司の個性も部下の個性も違います。
一律に線引きをするような
マニュアルを求めるとかつくろうとかするところに
無理があるわけです。

こういうはっきりした基準を求める気持ちもわかりますが、
これはとにかく結論が欲しいという余裕の無さの表れです。
この余裕の無さこそパワハラの土壌なのです。

一方で、
労働者がパワハラでメンタルを崩す理由なり、
メンタルを崩していく過程を知ることが大切です。
ところがなかなか血の通った研究をする人が少ないという問題があります。

私は、20年以上過労死弁護団で
自死や精神疾患と業務、労務管理の関係があることを
労基署や裁判所に向けて主張立証をしてきました。
尊敬できる偉大な弁護士の先輩方や先行研究をされた医師に学びながら
数多くの労災認定や訴訟勝訴の原因に
生身の人間の心理過程の調査を行い
自分なりに考えてきたことが貢献していると思います。

さらに業務と離れた所でも
厚生労働省の委託事業の過労死啓発防止シンポジウムで
労働過程で精神疾患にり患した多くの人たちから
心理学の研究者とチームを作って集中的に聴き取り活動をしました。
ひとりひとりの個性の違いとともに
驚くほどの共通点も見出しました。

これは、シンポジウムでも発表しています。

他方で、
私は、特定の労働組合と結びつきがあるわけではなく、
地元の出身ということから知り合いが多く
労使紛争事案でも会社側の代理人も担当しています。
企業法務に詳しい社会保険労務士の先生方とも勉強会を行い
企業法務について学ぶ機会も豊富にあります。

パワーハラスメントと評価される行為が
結果として生まれてしまうリアルな現場も知っているわけです。

これも、
厚生労働省の委託事業の過労死啓発防止シンポジウムで、
使用者側の視点から
手持ちの過労死事件、精神疾患事件を再構成して
パワーハラスメントになりやすい
労務管理の状況について報告しています。

結果としてパワハラをする人、メンタル不調になる人について
ともすれば、
特殊な人、なりやすい人がいるのだろうという結論に
無意識にもっていこうとする心理が起こることも理解できます。

労使は相いれないという思想というか考えを持ってしまうと
お互いを非難するだけで、改善に向かっていない
という感想を持つことが度々あり
結局パワハラ防止に役に立たないという実感をよく持つことがあります。

しかし結論としては、
みんなそれ程特殊な人ではなく、
特殊な行動に、あるいは受け止め方に
環境が原因でどんどん陥っていくということなのです。

みんな自分と同じ地平に立つ同じ人間だ
という意識がなければ学ぶこと、予防をすることはできません。

あとは直接お話しすることにして
研究していてもう一つ気が付いたことをお話しして終わりにします。

それは、
まるっきり同じ注意指導でも、
それがメンタルを害する結果になる場合もあれば
やる気を引き出す場合もあるということです。

これについては
どうしてメンタルが害されるのか
ということが理解できれば簡単に判断ができるし、
必要な注意をしたうえで次にすることが見えてきます。

ただ、一律のマニュアル的な説明は難しいのです。
そう言う発想を捨てることによって
物が見えてくるということです。

「人間とは何か」ということを考えるべきです。
それほど大それたことではなく
上司の言動でその部下はどう思うかという当たり前のことです。
当たり前のことと部下の個性を組み合わせて考えることが大切です。
そうすれば必要な注意指導をしたうえで
部下のモチベーションを高めて
生産性を高める部署をつくることができるわけです。

パワハラのもう一つの弊害は
生産性を阻害することだということを
企業はもっと意識をするべきでしょう。

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