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謝らない妻と謝らせたい夫 夫婦間紛争に見る同居中の夫婦の典型的な行き違い 2 [家事]



離婚の相談を受けているとよくある夫側からの相談例というか愚痴のようなものとして、

「妻は明らかに自分が悪いと思っていても絶対に謝らない。」

というものがあります。あまりにもこのような訴えが多いものですから、最近私は、「あなたの奥さんだけでなく女性一般が夫にはあまり謝るということをしないようですよ。」ということも多いです。

おそらく奥さんご本人に尋ねると
そんなことは無い。私の方がいつも謝っているとおっしゃると思うのです。

おそらく夫からすると
「謝るべきところで謝らない。」
ということを言っていると考えるとどちらの言い分も本当なのだろうと思います。

ここで謝るということの意味を考えてみましょう。

1)自分が相手に迷惑をかけた事実を認める。(自分の行為が否定評価されることを認める)
2)再発を防止を約束する。
謝罪という行為は、この二つの要素からなりたっています。
(なお、反省というためには、1)と2)の間に、「自分が否定的評価をした原因を述べる」という要素を交えて3要素が必要です。謝罪会見などが炎上する理由は、この3要素がきちんと述べられていないところにあります。)

この1)と2)をきちんと表明することで、相手は、自分は迷惑をこうむったけれど、それは自分が否定評価されて攻撃をされたのではなく、自分と仲間であり続けたいと願っているという謝罪者の気持ちを受取って、
安心するわけです。

夫が妻に謝罪をしろと強く求めるときは、安心したいわけです。夫が妻との関係に不安を持っているといえるでしょう。(これらの感情はストレートには見えてきませんから、謝罪の代わりに安心しなさいよといっても状況は好転しません。)

特に妻との関係で不安を持つべき要素がなくても、謝罪にこだわる場合は、夫が正義や道徳に過剰に敏感になっているからかもしれません。職場などで不合理な扱いを受けて、自分に自信が無くなっている状態(自分がその人間関係に安心できない事情が続いている状態)であるかもしれません。

それでは、妻が謝れば夫も安心するなら謝ればよいではないかと思うのですが、妻は謝りません。どうしてでしょうか。

夫の話しから推測すると謝らない理由としては
①謝るほどのことではない
②自分だけが悪いわけではない
③謝ることで夫の自分の否定評価が定着するのが嫌だ
等がありそうです。

①謝るほどではないということ、自分は何をしても謝る立場ではないと考えているとそれは困ります。しかし、わざとやったんではないし、夫には大してダメージは無かったのだから、夫婦の間でわざわざ謝るなんて他人行儀なことをしなくても良いじゃないか。と考えることは確かにありそうです。

ただ、そういう考えならば、そういうべきなのだと思います。
「わざとやったわけではない。偶然そうなっただけだ。自分は悪意はない。」ということを言うことで謝罪の要素は盛り込まれるわけです。夫は不満は残りながら安心することができると思います。

人間関係とは、このように「相手に安心してもらう、そのために会話をする」ということのルーティーンだと思うといろいろなことがうまくいくように思われます。

② 自分だけが悪いわけではない。むしろ相手に原因がある。と考えることもよくあることです。この場合も、「こっちも悪かったけれど・・・」ということできちんと説明することが、サービスではないかと思います。再発防止を提案するのも良いですね。

③ 否定評価の定着の心配ということは厄介です。謝ってほしいという夫側の人間関係への不安と、謝りたくないという妻側の人間関係の不安が正面衝突しているからです。とくに納得できない否定評価の烙印はとても悔しくて寛容になれないこともよくわかります。
→ それでも迷惑をかけた事実を認めて、再発防止を約束するということは、逆に人間としての評価を上げることだと考える。
→ 相手に安心してもらうことによって、関係は強くなると考える。
→ むしろ謝罪を受けたい側が、このことだけ謝ってもらえればそれでよいと謝りやすい方向に誘導する。

それぞれのしでかした内容と程度、そして相手の性格を考えて、お二人の解決方法を確立することが大切でしょう。要は相手を安心させることだということです。

そして、相手が謝罪したならば、それは大いに尊敬しましょう。また、自分との仲を大切にしているということで感謝しても良いと思います。また、安心したことを伝えるべきです。
・ 謝罪があればそれ以上追及しない。
・ 謝罪に対して、「いいよいいよ」とか、「ありがとう」とか、「こっちこそごめん」とかというフォローは必須であると考えましょう。
こういう態度をとると、誤っても悪いことは起きないということを学習して、今後も謝りやすい環境を作ることになるからです。緊張感も減ってミス(謝るべきこと)も減ると思います。

安心感を与えるということは人間関係にある以上、仲間の果たすべき役割のようです。これをするのが人間の生きている意味だと考えるべきだと言ってもどうやら言い過ぎではないように思えてきています。

なお、事案をイメージ付きやすいように、夫だ妻だと言って説明してきましたが、当然のことながら逆もまた真です。夫が謝らないということだって、多くあるわけです。性別の属性ではないと思うのですが、もしかしたら謝るべきポイントが違うということがあるのかもしれません。

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