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「アドバイスのパラドクス」 夫婦間紛争に見る同居中の夫婦に見る典型的なすれ違い3 [家事]



最近ぼつぼつといろいろなところで言われるようになりました。
例えば妻が職場の人間関係で悩んでいて、上司の横暴に苦戦しているなんて話を聞きますと、夫は例えば「上司の上司に対して事実関係報告してみたら」とか、「直接そういうことは言わないでくださいと対決したら」とか、「労働基準監督署に相談に行こう。一緒に行ってあげる。」等というアドバイスをしてしまいます。

そうやって妻の悩みに貢献していたのに、妻からは「夫は何も話を聞いてくれなかった。」等と離婚訴訟で主張してこられることが結構あります。夫は、解決目的志向ですから、解決に役に立つ情報を提供したいしするわけです。どうして適切なアドバイスをするという役割を発揮した自分が「話を聞かない」と責められるのかわかりません。

このように改善のアドバイスをしたならば、逆に「話を聞いてくれない」と言わるとか、反発されて改善につながらないということを「アドバイスのパラドクス」という言い方をしてみました。

では、妻は、何を求めていたのでしょうか。どういう夫からのリアクションを求めていたのでしょう。どうやらこういうことだということをまとめてみました。

根本は、「自分は被害を受けている人間であるからそのような人間として扱われたい」というところにあるようです。少し表現は悪いのですが、精神的ダメージを受けているとき、自分がヒロインとして扱われたいという願望が生まれてきてしまうのかもしれません。でもヒロインとして扱ってほしいという内容は、それほど大それたことではないようです。

1)自分が話したいだけ話させてほしい。少し間ができても、そっちから話し始めないでほしい。
2)新しい情報はいらない。それよりも、自分が被害を受けているということが理解できたということを自分に最大限伝えてほしい。

具体的には
→ ①じっと話を聞く。「確かに」、「そうだね。」というような②相槌を中心にする。それをしないままで、自分もこう思うという言葉の言いかえはそれほど効果はない。自分のこととして怒りだすのも、多くの場合はパラドクスの要因になる。

案外聴く方も忍耐が必要であるようです。ただ聞くのがつらい理由としては、
・ うまい解決方法を早くアドバイスしてあげたい。
・ どうして苦しんでいるのかを解説してあげたい。
・ 自分の経験を伝えてあげたい。
・ 仲間を苦しめられた自分の怒りを表明したい
・ それほど大したことではないと励ましたい。
善意の気持ちということになるはずです。しかし、こういうことは、少し冷静になってから、改めて相手の意向に従って話す方が良いようです。

また相手の話をさえぎりたくなる原因として、聞いていることが堪えられず(理由はいろいろあるでしょうけれど)、話をさえぎりたいという気持ちがでる場合も結構あるようです。辛い話を聞くだけということもつらいようです。何とか励ましたいという気持ちが、話す方からすれば自分の話を聞くことを拒否しているととらえられることがあるようです。

ダメ押しをしておきますと、
妻は、自分の発した言葉を正確な情報として相手に伝達したいわけではなく、自分の話が自分が大事にされたい人から聞いてもらい、否定されないという時間を求めているということらしいのです。

これができてから、
「なるほどそういう状況であれば、誰でもそういう気持ちになるよね」
とか
「私も同じようなことを経験したけれどその話をするかい?」
とか
「苦しいんだね。」、「辛いんだね。」、「悲しいんだね。」とか、相手の感情や言いたくても言葉に出ないところを正確に言い当ててあげる。
ということを発言するかどうかを慎重に検討を始めるということになろうかと思います。あくまでも相手の心情の確認ということになるかもしれません。

矛盾するかもしれませんが、難しく考えないことも大切だと思います。
つまり、世間では、「こういう場合は共感を示すことが大事なのよ」とかいう途中下車的なアドバイスが多いです。しかし、共感を示すとか言われても、なかなか共感をしたり共感を示したりすることは難しいことです。肝心なことは、

相手からすると、それが自分の気持ちに対しての共感だと感じられなければマイナス効果になってしまう

ということです。それよりも先に言ったことを実践するということが良いようです。被害意識がありますから、この世の中で、今は一番尊重されるべき人間は私だという主人公として扱うということなのですが、自分なりに考えずに、①黙って聞く、②最小限の相槌を打って話す内容を短く肯定していく。こういう具体的なことを先ず心掛けるべきであるようです。被害者として扱われたことに満足してからそれ以上の「言いかえ」や「言語化」の話をするべきだということがポイントなのでしょう。

こういう過敏な状態のときには、具体的アドバイスは、さらにそのあとに回す必要があり、相手がアドバイスを求めてきたときにお話をするということがコツのようです。

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