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こちらの気持ちを考えないで言いたいことを言う人の人との付き合い方 現代版黄金律構築の必要性6 [進化心理学、生理学、対人関係学]



言いたいことを言って、相手を傷つける人との関係が、一回きりのものとか短期間だけのものである場合はともかく、それでもできれば相手になりたくないものです。常時そのような人から否定され続けられることは精神的に著しく深刻な影響が生じます。

それでも、なかなか関係を断ち切れない場合もあるにはあるでしょう。どう付き合うかということについて、これまでの事例の教訓を並べてみます。

1 関係を断ち切るという選択肢を温め続ける
  心無いことを頻繁に言われる相手が配偶者である場合は、「最終的には離婚する」という選択肢を持ち続けることで、逆にうまく対処ができるようになり、結果的に長続きするようです。ちなみに、心無いことを言うことについては、男女差はないか、女性の方が多いかどちらかだということが実務上の実感です。そして解決方法が見つからず心理的に深刻に追い込まれるというのは、圧倒的に男性のケースが多いということが私の実務上の実感です。

  いざとなれば離婚という選択肢もあるという考えは、救いになるようです。精神的に追い込まれてしまうと、関係を絶つという選択肢を持つことができなくなり、そのことで余計に絶望しやすくなるということは、これまで多くの追い詰められた人たちが同じように答えてくれています。

  精神的に追い詰められるところから、ひと呼吸を置くだけで、心に余裕が生まれるようです。事態を客観的に見ることができるようになったり、改善のアイデアが出てきたりすることもあるようです。

2 相手に悪意はないことを頭では理解する。
  人の気持ちを考えないで自然体でひどいことを言う人は、必ずしもあなたを根本的に否定評価しているわけではないようです。関係を断ち切るとか、どうでもよい人だと深刻に考えてはいないようです。もっとシンプルに、ただ言いたいことを言って、やりたいことをやっているだけのようです。

 そこにあなたの感情が入らないだけです。あなたからするとそのようなことを言われるということは、自分はどうでもよい人間ですぐにでも関係を断ち切りたいと思われていると感じるのですが、どうやらそうではないようです。

  例えば、卑近すぎる例を挙げますが、ケーキが家にあるとします。夫はケーキがあることを知っている。しかし、妻は夫にケーキを与えず、自分と子どもだけで食べてしまった。夫としては、そこまでケーキを食べたいわけではないけれど、自分だけが仲間外れにされていることに傷ついて、妻は自分を嫌いなのではないかと考えて悩んでしまう。

  しかし、妻は自分が食べたいから食べたし、子どもに食べさせたいから食べさせたのであり、特に夫にケーキを食べさせたくないということまで考えていないということらしいのです。夫に与えないでケーキを食べることで夫が傷つくということまで考えが及んでいないということになります。

  夫としては、自分に配慮をしないということで傷つくのですが、妻にはそのような配慮をする「能力がない」ということにすぎません。必要以上に配慮をしなかった理由を先取りして考える(自分のことが嫌いであることを知らしめようとしているのだろう等)ことはあまり意味のないことだと頭では理解すると、少しダメージは軽減されるようです。

3 我慢していないで教えてあげる
  自分が傷つくことになることを思い当たらない妻や夫に対して、自分が軽んじられたということで、悪意があるなんて余計なことを考えて怒り、反撃してしまっても、相手は何を怒っているかはわかりません。それはわからないけれど、自分が攻撃されていることははっきり認識してしまいます。つまり改善はされずに、関係だけが悪くなります。

  我慢しないで言ってみることで案外解決することが多いようです。「私だけケーキがもらえないのはとても寂しい気持ちになる。せめて、私にもケーキを食べるかどうか聞いてもらえないだろうか。」と話しかけることで解決することも多くあります。

但し、この時には冷静に事務連絡というように話す必要があります。「怒っているわけではない」とはっきり断ることも大切なスキルです。相手は、自分が非常識なダメ人間だと思われているのではないかという危機感は抱くようです。攻撃はしていないよということも言葉にすることで大分分解決するようです。

  職場でも同じような例があります。パワハラ(まがい)の指導をする上司が部下の気持ちを考えないで指導をしたのですが、部下も部下で上司の気持ちを考えない人だったのです。部下が上司に対して「そういう風に一方的に言われると、私はどうしてよいかわからなくなります。そういう風に言わないでください。」と言ったところ上司がたじたじになるということがありました。その時は、部下は変わり者ということで敬遠されるようになりましたが特に不利益はありませんでした。言ってみることが大切だということなのだと思います。

  私も、チームを組んで仕事をしていた時に、一人が自分のことを棚に上げて新人を説教ばかりしていたことがあって、「そんな無理なことを言っても仕方がないじゃないか。」とつい言ってしまったことがあります。相手はごにょごにょ言っていましたが、改善されましたし、特にその後私に対する報復はありませんでした。我慢するよりは、まっすぐに言うほうがいろいろな意味で良いようです。

  どうしても相手に対して物申すということになりますので、言う方も緊張してしまいます。そうするとどうしても勢いをつけるために怒りの力を借りてしまうということがありがちです。それではだめでしょう。ここは理性的になって、できるだけ事務的に教えてあげるということを心掛けることが必要だと思います。

4 第三者の支援

例えば職場などでは、研修をしたり、コンサルタントの助言を受けたりして、ビジネスの武器として他者との対応をスキルアップするということは可能ですし、とても効果が上がると思います。他者とのコミュニケーションが不要であるという職種はあまりないと思います。この観点からのコンサルはもっともっと普及されるべきだと思います。

しかし、家族という場面でのコミュニケーション術というのは、どうしても放置されてしまいがちです。

自分の気持ちを踏みにじるような発言をされるけれど、解決の方法が無くて苦しんでいる人は実際は多いようです。

逆にそのような発言をしてしまう方の人も、どうして自分の必要かつ正しい発言が家族に受け入れられないのか、理解できないまま孤立感を蓄積させていっているようです。家族の気持ちを理解しないで言いたいことを言ってしまう人は、気持ちを理解して言う能力が欠如しているだけという場合があるので、悪いことをするのはやめろというようなことでは解決しません。

ただ、そう言う人も結婚はしたわけです。初めから自分の気持ちを考えないでずけずけと言い出す人だということではなかなか結婚することは難しかったわけです。相手の感情を考えて、こういうことを言うと嫌われるから言わないでおこうなんてことを考えることは初めからできなかったはずです。

考えられることは、逆の思考はできるのではないかということです。つまり、相手がこうすれば喜んでくれるのではないかということを一生懸命やるということです。おそらく、一般の人間は、「こんなことをしたらわざとらしいと思われるのではないか」とか、「下心がミエミエで引かれるのではないか」とか、「かえって嫌われたりしないか」とか、相手の心を考えるために、かえってアプローチができないことが多いのではないでしょうか。

逆に相手の気持ちを考えないで、自分のしたいことをストレートにできるならばうまくいくこともあるかもしれません。つまり、その相手が喜ぶだろうということは、単に自分が喜ぶことを相手にもしてあげていただけかもしれません。それでも相手は、自分のために熱心にいろいろなことをしてくれるから親切な人かもしれない、自分のことを一番に考えてくれるかもしれないと錯覚して(?)しまうのかもしれません。

自分のやりたいことだけをしているとしても、案外人間関係で、ニーズが一致してうまくいくということはありうることだと思います。また、相手の気持ちを考えることが苦手な人も、相手といつまでも一緒にいたいという気持ちが確実にあるようです。ただその方法がわからないだけという奇妙な表現が比較的正しいように感じます。

そうだとすれば、第三者の支援があれば、相手に対して不快になることを言わないで、喜ばせる言動をすることは十分可能なのではないかと思います。ノウハウを少しずつ覚えて行けば、少なくとも現状からだいぶ改善される可能性が大いにあるように思えるのです。

現在、家庭問題の相談をする場所が極めて限られています。弁護士に相談に行っても、カウンセラー(家族療法、カップル療法などを除く)に相談に行っても、あるいは行政に相談に行っても、すぐに家族をやめなさいというアドバイスしかなされないようです。家族支援の団体もあって頑張っておられるのですが、首都圏に限られているようで、全国の相談に対応できません。

なんとか、物事を善悪に割り切らない第三者を増やして、相手のしてほしいことをしたり、相手のしてほしくないことをしないという黄金律が普及する具体的ノウハウを普及していければよいなと考えているところであります。現代社会はそれを行う主体が極めて貧弱なところに悲劇が起きやすくなっているように感じられます。

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