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夫婦の満足度が夫が高くて妻が低い理由を考えてみた 対人関係学の視点から 仲間に貢献したいという人間の本能とその由来 [家事]



統計によると*後掲
配偶者のいない男性は、どの年代でも配偶者のいる男性に比べ
精神的健康がかなり悪く、
一方女性は配偶者の有無で差がない
男性の方が結婚の満足度が高く、相手方のケアにも満足している。
配偶者に対する愛情も男性の方が女性よりも高い
とのことです。

これに対して伊藤裕子先生の分析は(日本の夫婦 金子書房)
男性の方が女性よりも結婚に対する期待が低い
人格的かかわりを女性に求めない
快適な生活が維持できれば満足する。
結婚に恩恵を受けているのは男性の方である。
その背景として、精神的ケア・情緒的ケアは
もっぱら女性が男性に対して行うという実態がある
ということになるようです。

その分析は分析として、
対人関係学的には、
少し別角度での考察が可能だと思っています。

対人関係の中で満足を感じるとき、幸せを感じるときというのは
どういう時かという問題です。

満足を感じるのはいろいろあると思いますが
自分が仲間に貢献していることを実感しているときに
満足を感じるということがあると思います。

そうではなくて、
仲間の誰かから表立って感謝を述べられたり、
自分が特別扱いされたり
自分の失敗を責められないでフォローされたり
自分の不十分点を補ってもらったりという
相手の行動によって
満足を得たり、幸せを感じたりということもあることは事実です。

そうではなくて、
自分が群れに貢献しているという実感を得ることも
強烈に満足や幸せを感じるのが人間だと思うのです。

純粋な利他行動というわけでなくても良いのですが、
こうやって人間は
仲間に貢献できたことに喜びを感じることができたために
仲間に貢献する行動を起こすことができて
言葉が無くても群れをつくることができたわけです。
群れをつくるためのモジュールとしての心というわけです。

男女の違いなく、こういう感情があると思います。
例えば感謝などは嘘があるかもしれない。
フォローや助けは、
仲間が自分を重荷に感じているかもしれないという
自分を見下しているのではないかという
疑心暗鬼が生まれている場合はあり得ることなのですが
自分が仲間に貢献しているということを感じることは
文句なく満足を与えるものだと思います。
(だから良かれとしたことで攻撃をされることは
精神的ダメージが大きくなるわけです)

ところが現代社会の夫婦では
この満足を感じる環境的問題を要因として
男女差があるわけです。

今回私が言いたいのは、まさにここです。

男性は、外で働いて収入を家計に入れる
ということで、分かりやすく貢献している実感を持てます。
だから男性は満足度が高くなるわけです。

これに対して女性は、
賃金格差や雇用形態の違いのために、
夫と比べると家計に入れる収入は低くなることが多いですし、
家計に入れないことも多いようです。
これでは働いて収入を得ても貢献ということでの満足は
感じられないでしょう。

しかし、現在の風潮として、
収入を家計に入れるという観点が仲間への貢献の中心だ
という価値観そのものに問題があると私は思います。

だから収入を伴わない家事育児することでは
家事貢献を感じにくくなっている
これこそが問題だと思うのです。

一昔前は
夫が外で働いて収入を入れ
妻は収入に文句を言わず、感謝し、
妻は家事育児を行い、
男子厨房に入らずということで料理に文句を言わず
家事のことに口を出さないということで妻に感謝をする
それは家事育児に社会的価値が認められていたということだと思います。

ところが現在では、
家事労働に対して価値をおかないという社会的風潮が出てしまい、
どんなに家事をやっても称賛されません。
一番悲惨なことは
自分自身が貢献しているという実感を持てない
ということだと思います。

確かに夫も妻の家事育児に対して感謝をすることが少ないかもしれませんが
妻本人も自信が持てないということが悲惨なのです。
私は家事育児をやっているということで
もっと威張っても良いと思いますし、
男性が家事育児を担当して
女性が収入を得てくるということだって
本当はどちらだってよいはずなのです。

それができないのは
家事育児が収入を得るよりもかなり低い社会的評価
しかなされないということにこそ問題があるように思われます。

また、先生方が情緒的ケアというのは、
おそらくコミュニケーションの性差によるものだと思いますし、
柏木先生ご自身もそれは指摘されています。
男性的コミュニケーションが事務連絡が主体なのですが
女性的コミュニケーションは仲間でいることの快適さ、安心感が目的となる
ということもあるわけです。

できるだけ家庭の中では女性的なコミュニケーションを
男性も身に着けるべきだということが私の持論なのですが
女性の方も
男性の真意を確認すればよいじゃないかとも
たまには思えてくるわけです。

それはともかく、
女性を安い労働力として生産現場に進出させようという
政策的観点からのメッセージが多すぎると
実際の家事労働(無償有償を問わず)を低い価値のものだとする風潮を生み
妻が家庭に満足をすることが難しくなっているのではないかと
そう考えることができるようになりました。

家事は男女どちらがやっても
どのように配分してもご家庭で決めればよいことです。
賃労働の方が家事労働よりも価値が高いという意識を持っていることに
気が付かないと
知らず知らずのうちに賃労働をさせないのは不平等だ
みたいな
男性的価値観を承認する主張しか出てこないのだろうと
そんなことを思いました。



稲葉昭英 結婚・再婚とメンタルヘルス ケース研究 276号
稲葉昭英 夫婦関係の発達的変化 (現代家族の構造と変容 全国家族調査による計量分析)
伊藤裕子・相良順子 愛情尺度の作成と信頼性・妥当性の検討 中高年気夫婦を対象に 心理研究83

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