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湊かなえ氏「告白」を読んだ感想 子供に読ませたくない本 [閑話休題]

湊かなえ氏の「告白」は、ずっと気になっていた本だ。
本屋大賞を受賞という腹帯があったことがその理由。

私からすると、本屋大賞というと、
「博士の愛した数式」がなかなかいい感じで読めていたし、
その時の次席が「クライマーズハイ」ということで、
かなり信頼していたが、
(それは、第1回ということで、
ずいぶん前のことだったということに気がついた。)

興味があり、映画化もされたというし、
飛行機の隣の人も読んでいた。
そんなとき、妻が文庫本を買ってきたので、
読ませてもらった。

みなさんの中にも、読まれた方がいたと思うが、いかがでしたか。
私にすると、一言で言って、気持ちの悪い本だった。
読んでいくうちに、眉間にしわが寄っていくというか・・・
ミステリーというより、バイオレンスものでしょう、これは。
どうして、本屋がこれをこれを読ませたいのか、まるでわからない。

それでも、どんどん先を読ませる文体、構成力は力量を感じる。
小説としては、クオリティが高いというべきかもしれない。

しかし、
リアリティが無い。
作家なりに、こうだからこうなるという内部完結は描かれているのだが、
この点が、一番リアリティがないというか、論理が薄弱なところ、
ミステリーという評価をしえない最大の理由。
(社会経験の少ない裁判官の判決理由みたい。)

犯罪の現場から言わせてもらうと、
あまりにも図式的というならば、まだよい、
図式が完成していないという印象。

(母親の愛情を喪失したので、犯罪を犯して振り向かせたい・・・・
これでは、新聞のセンセーショナル第一主義の見出し。)

良識のミステリーのような、
ジグソーパズルが完成した時の達成感みたいなものは
えられない。

もう一つ気になったのが、少年法の問題。
少年は少年法によって守られているという主張。

結局、新聞の見出し、テレビのコメンテーターの
守備範囲でしかない。

なんか、これらをつなげて考えると、
結局、誰かが、特定の目的のために、
この作品を必要以上にフィーチャーしている
としか思えない。

映画が成功したのは、
一番ふさわしくない松たか子さんが抜擢されたことで、
リアリティが生まれたことではないだろうか。

リアリティ、人間の悲しみや、悔しさ、寂しさ、
その辺が奇妙にぼけている。
状況が書きこまれているので、読んでいる方は、どんどん読める。
だけど、ピースがつながっていない、そんな感じ。

まあ、話題になる骨格を持った本ではあるのでしょう。

ここまで書いちゃうと、勧めているのとおんなじかな
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