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令和夫(妻)のTIPS 11 意見対立と性格の不一致にこそ夫婦(両親)の価値がある 多様性尊重の基本は男女の相互尊重 [家事]



裁判所の用意した離婚の申立用紙には「性格の不一致」という離婚理由の項目があります。特に離婚理由がない場合に〇をつける項目として活用されています。しかし、性格の不一致が離婚理由になるとは思えません。また、性格が一致している夫婦なんているわけがありません。

「わたしたちは性格が一致しているなあ。」と安穏としている夫婦の一方がいたとしても、実は他方が無理して合わせているということが実態であることが少なくないのではないでしょうか。*「満場一致のパラドクス」は、夫婦間でも真実のような気がします。

そもそも、雄と雌にわかれているのだって、絶滅を避ける効果があるからだと言われています。異質のものがまじりあった方が強いのです。弱点が共通していれば全滅(共倒れ)しやすいということになります。

性格が一致していると一見円満な夫婦でよいことのように思われますが、実際は性格が一致しているというのは不自然です。そればかりではなく、弱点も一致していることとなって、社会的にもろいユニットになりかねず、社会の中で孤立しかねない弱点を持っているというべきです。

それまでただ幸せだった夫婦関係だったのに、性格が一致していないことが顕在化したり、意見対立が多くなったりするのは、多くは子どもが生まれてからです。子育ての方針をめぐって意見の対立がおきやすくなります。例えば、学習塾に早期に通わせるという意見とのびのび育てるという意見が対立することが典型例です。

子育てこそ、意見対立が無ければかえって困ったことが起きる可能性があります。例えば早期学習塾通学で一致の場合は、夫婦そろって子どもの尻を叩いてあまりにも厳しい学習塾に通わせてしまった結果、知識は習得できたけれど、心身に不具合が生じるとか、自分の考えを持たない人間に育ってしまったとか等などの弊害が生じる危険があるでしょう。難関校に入学したけれどそこで人間関係の不具合が起きて転校を余儀なくされるということも起こりやすくなるかもしれません。

逆にのびのび方針で一致している場合は、子どもの能力を見誤ってしまい、もっと頑張ればもっとやれたのにという後悔が生まれるかもしれません。

双方の言い分を尊重して、ほどほどに学習塾に通わせながら、好きなことをやることを応援するということができれば、子どもにとっても地に足が付いた学習が実現して健全な成長が実現できるかもしれません。

また、対立の切り口を変えてみれば、大人の考えで子どもの行動をさせるという意見と、子どもの自主性を尊重するという対立もあると思うのですが、同じように、大人がある程度イニシアチブを取りながらも、子どもの様子をうかがって、きついようであればやめさせるとかすればよいということもあるでしょう。

もちろん性格が一致していて、双方がほどほどに勉強させることで一致しているならそれはそれでよいのですが、そうはならない場合があるので対立が起こるわけです。

そうです。性格が不一致であることが問題ではなく、意見調整をうまくできないことが本当の問題だということはお察しのとおりです。

性格や考え方が違う夫婦が、苦労しながら意見調整を行って、折衷的結論を出す姿を子どもが見ていたら、それは子どもにとって大きな成長につながるでしょう。世の中、敵と味方に分けられるものではないし、一つの意見が絶対正しいということもなく、メリットデメリットが必ずあるわけで、そういうことを覚えていけば素敵な大人になるとは思われないでしょうか。

夫婦は二人きりですが、最も基本となる多様性を尊重するべき人間関係だと思うのです。夫婦で相手方の意見を尊重できず、また自分の意見だけが正しいという態度の人が、多様性という言葉を使っても説得力が無いと思うのです。

むしろ多様性、自分と違う意見、異なった価値観を楽しむくらいの人間関係が理想だと思うのです。


* 満場一致のパラドクス 心理学の用語 多数決で満場一致になった場合は、かえって誤った結果になる傾向があるという矛盾 また、満場一致の多数決の過程には、自由意思での判断が阻害され、議題の優劣とは別の事情が考慮されている可能性が高いこと。

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