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楽天は、今が企業イメージを向上させるチャンス パワハラを無くすという目標ではなく、ゼロの先のプラスの目標を掲げて実践するという提案 [労務管理・労働環境]



と私が提案してもどうなるものではないのはわかっています。同じような状況にある企業の担当者さんが偶然読んでヒントにしていただければと思って書いています。

<パワハラ不祥事の直後こそ企業のイメージアップのチャンス>

パワハラがあったこと自体が企業の生産性が阻害される要因になります(モチベーションの低下、委縮、言われたことだけをしようとするようになり、自分の頭で考えなくなる。無駄な神経の集中があるためにミスが増える。)。もちろん、被害者の人権が侵害されるということも企業は考えなければなりません。

しかもそれが、外部に公表されてしまい、話題になってしまうと、企業イメージが低下してしまいます。体力のない中小企業であれば、それだけで事業廃止となる場合もあるでしょう。

企業としては、経済活動を継続しなくてはなりません。そうするとどうしてもパワハラの負の企業イメージを払しょくしようとしてしまいます。そしてそこで終わってしまうことは、ダメージを受けている経営陣としては仕方が無いことかもしれません。

しかし、それでは大変もったいないのです。実はこのような社会的不祥事として認識される出来事がある時は、世間の注目を浴びているということです。そこで、ネガティブイメージを払しょくすることにとどまれば、結局過去の記憶が消えませんので、差し引きマイナスで終わってしまいます。しかし、ネガティブイメージを払しょくする以上に、新しく安心できる人間関係を形成している姿を見せることで、ポジティブイメージを世間から持ってもらう千載一遇のチャンスでもあります。

さらに、企業内部のこのようなポジティブ政策の推進の優先度を上げることのコンセンサスが作りやすいという状況もあります。企業が一丸となって、生まれ変わろうとしやすいというこれも千載一遇のチャンスだと思います。平時の場合は、そんな内向きの政策をするより、取引相手に対してアピールできる外向きの企業戦略をとるべきだということになるでしょう。しかし、有事という危機感を共有している場合は、課題が人間関係の状態という環境改善にあることのコンセンサスを作りやすくなっています。また、注目されているので、そのような人間関係を外部にアッピールしやすいため、外向きの企業戦略にもなるわけです。

<チャンスを生かすために考えるべきこと>

では、何をするか。これをわかりやすく説明するために、申し訳ないのですが、楽天の会見を引き合いに出させていただきます。私は、地元イーグルスファンなので、どうぞご理解いただきたくお願いいたします。

と言っても誤解していただきたくないのは、かなり誠実に記者会見をしています。対症療法的とはいえ対策も示し、企業としての責任にも言及した上、当該選手の再出発の支援も表明しているので、かなり良い会見内容だったと思います。被害者のプライバシーもありますから、これ以上の情報開示もなかなかできなかったことも理解しています。

そこから先は全くの特殊専門的な分野の話なのでしょう。では、説明していきます。

<パワハラが生まれない人間関係を作る方法>

一番大事なことは、パワハラがあったときにどうするかということよりも、パワハラを起こさない人間関係の形成ということです。パワハラは起きてしまえば生産性が低下します。人権問題も起きてしまいます。外部アッピールはともかくここを根本的に解消しなくてはなりません。
そのためには、理想とする人間関係像の構築をすることになります。そしてそのためにも、何が起きていたのかという外面的な問題を踏まえて、行為者や被害者、そしてそれを知っていた人たちの行動決定原理を聴取する必要があると思います。

<加害者の事情聴取の目標>

加害をした行動決定原理、加害をやめようとしなかった行動原理がどこにあったかの聴取と分析をすることだと思います。理想は、野球に縁のない弁護士と心理士のチームによる事情聴取です。これはパワハラ行為者の再出発にとっても必須のことです。悪いことだから謝罪するというのでは、再発防止はできません。悪いことだと思ったのか、悪いことだと知っていたのにそれをやめられなかったのはなぜかという観点から一緒に考えてゆきます。

私は、本人が反省しているのならば、会社は1年間職員として採用をし、この「反省」プロジェクトに参加をさせても良いのではないかと思うのです。もちろん、必要な練習はサポートしても良いと思います。パワハラをごまかしたわけでもなく、行為者の個人的責任にもしないということは、企業としてポジティブなイメージを持たれると思います。

本人が何に追い詰められていたのかそれを突き止める責任が企業にもあると思います。

<人間関係形成のために一番重要な被害者からの事情聴取>

次に被害者の行動決定原理です。「なぜ、抵抗ができなかった」のかということです。この理由はかなりの闇がまだ隠れているはずです。被害者の個性ではなく、調査対象は被害者が抵抗できない環境に置かれた環境についてです。ただ、この聴取はかなりデリケートな問題です。そして安心して話ができなければなりません。会社から独立した第三者が、本当に会社の発展と被害者の人権、安心して働ける環境を作るという構えを理解して調査をしなければならないところです。
このためには、球団が被害者の被害に対して手厚く手当をすることが前提となると思います。

<加害者被害者以外からの事情聴取>

そして、その行動を知っていたにもかかわらず、対応をしなかった人たちの意識調査です。ここもとても大切なところです。球団は、安心して話ができる人がいなかったことを改善すると言っていますが、それは大変大切なことだと思います。その際に安心して話ができる人間関係とは何かということを十分考慮するべきだと思います。

また、誰が知っていて、誰が知らないかのチェックもとても大切だと思います。

<魅せるプレイを頻発させる人間関係形成の方法>

聴取が終わったら、その原因を十分踏まえて分析することが必要です。悪かったところを直すというのでは、対症療法にすぎません。つまり、再発の危険が居座っているということです。根治を考えなければなりません。

新しい人間関係を形成するという視点が必要です。しかも具体的に、楽しく実践できる方法でなければできるわけはありません。

近鉄バッファローズの元選手である石井氏がユーチューブで、野茂投手の野手への思いやりの態度が素晴らしく、野茂選手が投げるときは無理しても打球にくらいついていくという気持ちが自然に湧き上がったと言っています。野茂選手はミスをした選手を決して批判せずに、むしろ批判する選手を先輩でもたしなめていたというのです。純パの会の会員で野牛会に所属していた私としては、もっと野茂のような選手がいたらもっと優勝していたのにと思いました。それは良いとして、こういう話はよく聞くことです。絶対エースと言われる人は人格的にも素晴らしく、ファンを大事にするということは耳に入ってきます。

抽象的な言葉で申し訳ありませんが、パワハラの対義語はパワハラが無い人間関係では決してなく、お互いを尊重し、尊敬している人間関係なのです。すべてのプロ野球選手は、尊敬する点が多いと私は思っています。ファン心理かもしれませんが。自分が相手から尊重されていると思えば、相手のフォローをしようとするし、役に立ちたいを思うわけです。これは人間の本能的な心理、群れを作るために進化によって形成された心理なのです。仕事の多くは組織プレイです。お互いを尊重しあう組織は1+1が2よりも大きくなりますが、これが無くパワハラがあるような組織は2にも到達ができません。これが生産性が下がる構造です。

また、誰かが苦しんでいたりいじめられたりしていたら、明るく元気なプレイをすることも簡単なことではなくなります。これも苦しんでいる人に共感してしまう人間の本能です。明るくはつらつとしていなければよいプレイは生まれないと私は素人ながら思います。何よりも見ていてつまらないです。筋肉や技術にプラスアルファの力をつけるのは、モチベーションで間違いないと思います。

典型的な成功例は、今年の阪神タイガースの岡田監督の采配だったのではないでしょうか。しかし、阪神タイガースに勝つ余地があると思います。つまり、基本的には、選手間の相互の信頼関係を強化することだからです。くどいかもしれませんが、パワハラをしないのではなく、選手同士がお互いを尊重し尊敬するということです。ここを改革しなければ、コーチ陣に助けを求めても、結局は力にならない可能性が高いのです。

<コーチ陣やフロントの役割>

監督やコーチ、フロントは、率先して選手を尊重し、尊敬する扱いをしていくことがまずやるべきことだと思います。プライドを傷つける制裁的な起用は絶対にしてはなりません。そういう相互の信頼、尊重を醸し出す環境づくりをするという責任が第一次的責任になると思います。

しかし、現場の雰囲気を創るのは、あくまでも選手です。やはり、レギュラー陣が率先して行動を起こすことがカギになると思います。

<改革はファンとともに>

やるべきことを整理しますと、先ずは選手全員から聴き取りをする。目標をきちんと伝えて、悪いことを無くすための改革ではなく、もっと良くなるためはつらつとしてプレイを観客に見せるための改革だということ、強くなるための改革だという意識をこの段階から理解してもらい、改革のメンバーになってもらう。

特にレギュラー陣、ベテラン陣は、率先して改革を引っ張っていく。経営陣、コーチ陣は環境づくりを行い、選手の足を引っ張らない。
そして、その改革について、具体的な取り組みの実践課程をファンにも報告してもらいたいと思います。もちろん、パワハラ対策としてこういうことをやっていますというのではなく、プロ野球球団としてあるべき人間活動を具体的に作り上げようとしていますというアッピールとして、ポジティブな広報としてファンに報告してほしいのです。そうやってファンとともに新しい、魅力的な、そして強いイーグルスを作って行ってほしいと私は切に願います。

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