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傾聴、受容、共感シリーズ2 夫婦に応用するカウンセリングの基礎技術 相手の小言は夫婦円満の千載一遇のチャンスであること [家事]



カウンセリングの基礎を勉強して、直後に夫婦問題の相談を受けていたら、カウンセリングの技法を夫婦の会話の技術に応用することができれば、円満な夫婦になるし、子どもに対して応用すれば問答無用でしかりつけることを回避して合理的なしつけができると感じました。

ただ、「こういう技術があるから応用しなさい」と言われてもなかなかぴんと来ないと思いますので、応用方法を考えてみます。

先ずは傾聴です。
「傾聴」とは、深く相手の話に耳を傾け、その人に焦点を当てて、相手の存在そのものを知ろうとすることである。表情、姿勢、ジャスチャー、感情、考え、話しの内容、沈黙さえも十分に観察し、その意味を考えていく。

いつも傾聴しているわけにはいかないのですが、ここぞというとき、相手が話を聞いてほしそうなとき、このスキルを応用しましょう。まずは聞く態度を作るということです。「あなたの話を聞いていますよ」というアッピールを態度で示すということです。

先ずは、リビングの椅子にでも腰かけましょう。その時間は話を聞く以外のことをしてはいけません。スマホは手放しましょう。近くにあるとつい触ってしまうので、手の届かないところに置きましょう。

「聞いてますよアッピール」としては相手の目を見ることが考えられますが、相手の目を見ることはなかなか苦しくなることがあります。必ずしも目を見て聞く必要はないと思います。少し視線を下を向けて顎のあたりや口元を見ていれば、苦しくなりにくいですし、「聞いている感」が損なわれません。時々相手の手を見て、握りしめていないかとか、立ち上がって襲ってこないかとか観察することはとても大事なことです。

そして絶妙なあいづちをしましょう。これが無ければ、聞いているのか別のことをボーっと考えているのかわからなくなり、概ね後者だと疑われて怒りだされてしまいます。

できるだけ、肯定的なあいづちが望ましいと思います。「そうね。」、「なるほど」、「確かに」、「そうかもしれないね」とかですかね。そして、聞き取れなかったところは「ごめん。聞き取れなかった」と言って聞き返すことも有効です。とりあえず、反論とか、間違いの指摘等については後で行うとして、先ず「話を聞く」ということを全力で行うことが第一に意識するべきであり、相手に態度で示すことが最優先だということになります。これが傾聴です。

夫婦の場合、これだけでだいぶ印象は良くなると思います。週に2回は、じっくり話を聞くということをしても良いのだと思います。夫婦の義務というほど特別なものではなく、おそらく話を聞いてもらえる、自分を理解しようとしてもらえるという意識は、「相手が自分の仲間だという意識」を作っていくものと思われます。こうしてあなたに対して安心感を持ってもらうことが目的でもあります。

仕事がら壊れた夫婦の形を見ている者としては、夫婦の一方が、自分が相手より有利な立場、優れているということを示そうとすることによって、夫婦の仲が壊れていくことを多く目撃しています。

壊れてみて初めて気が付くことですが、「相手と仲間であり続けること」ということが究極の人間の要望のようです。どうも特に男性は、女性と仲間であり続けるためには自分が有能であり、相手より優れていると思われることが有効だと勘違いして行動しているようなのです。しかし、それはいつしか、相手にとって居心地の悪さ、窮屈さを積み重ねてゆき、圧迫感や不快を感じさせてしまっていることが少なくないようです。有利なポジションとか優越的な地位ではなく、目指すべきは、あくまでも対等の関係性のようです。

次が「受容」という心構えです。
「受容」とは、無条件の積極的関心をもつこと言う。相手の感情が否定的な感情であったとしても、そのままを受け入れることが必要である。と教科書では述べられているようです。

相手の話を聞いていて、自分に対する不満が語られると、ふざけんなと思って、すかさず相手の話をさえぎって言い負かそうとすることがむしろ通常の夫婦かもしれません。また、相手が言っていることが、自分勝手な言い分だったり、不公平な話と感じたりすると、秒で反発心がわき、秒で反論が始まったりするわけです。これこそが受容と正反対の態度です。

この反発心や反論は、先ほど述べた相手との関係で自分が有利な立場に立ち続けなければならない、自分の方が優秀だと思わせなければならないという気持ちが強ければより強い形で現れます。

いつも間違いや足りないことを指摘されて、「へへへ」と笑ってばかりいたら、頼りのない人間だと思われてしまうかもしれませんが、「ああ、そうなんだ。それじゃあ、がんばってみるよ。」という態度を時折示すことは、何よりも、相手の問題意識をきちんと受け止めるし、相手の困りごとを解決するということでかなりのプラスのアッピールになります。相手も自分も、仲間の中で有用な人間、頼りになる人間だと思われたいという本能人間にはあるようです。

話をする方も、相手に否定的に受け止められてしまうかもしれないことを言うことが一番緊張することです。それでも話を嫌がらずに聞いて、自分の提案を受け入れてもらえるということは、安心感につながります。緊張から始まって、安心という心の動きは、快い気持ちになり、安心感の獲得も効果的になるようです。だから緊張のないところでは作ってあげることが難しいわけです。

相手に対する安心感とは、自分がどんな状態でも相手は自分を見捨てないということが究極の安心感です。小言を聞いてあげて提案に従うということは、この心のプロセスが期待できる貴重なチャンスなので積極的に活用しない手はないと思います。

最後は共感というポイントです。
「共感」とは、クライエントの私的な世界をあたかも自分自身のものであるかのように感じ取ることであるが、クライエントの感情と同化するのではなく、クライアントの感情として自分の感情とは切り離してとらえ、クライエントの感情に振り回されないようにすることである。

夫婦の会話においては、傾聴と受容と共感は、段階を経て順番に行うことではなく、同時に行うことですが、それぞれ心構えが別なので、分けて話しているだけです。

自分勝手なことや事実と違うこと、聞くに堪えない身内の悪口等、なんぼなんでも否定してよいだろうと反射的に考えてしまうことが多いのは、むしろ一般的です。しかし、例えば夫が、道徳や正義感に基づいていちいち反論していくと、良いことは通常ありません。子どもにとってもマイナスなことが起きることが多いようです。

だから、週に1度か2度は、自分の正義感や道徳心、防衛本能を少しお休みさせることが有効です。それよりも相手のわがままだったり、甘えだったり、特別視してほしい気持ちを優先させるというサービスを行うということなのです。

反発をする前に、どうしてそういうことを言い出すのか、どうしてそういうことを言いたくなったのかその来歴を考える作業は、必ず仕事でも役に立つことです。ママ友など継続的人間関係を結ばなくてはならない時に自分に利益をもたらすことです。

達人クラスになると、ああ、そういえば明日健康診断を受けるからナーバスになっているだけだなと、八つ当たりであることもわかってくるようになります。言葉にしなくても家族の窮地を感じることはとても大切なことです。

ただ、どうしても、後々のことを考えて、相手の誤りを正したいということもあると思います。その際のテクニックとしては、先ず肯定できるところを必死で探し出しましょう。また、実際は違うけれど相手からすればそういう風に受け止めてしまうかもしれないという、自分ではない人間から見た評価は違うのかもしれないという発想も有効です。

例えば、確かにコロッケを一人で食べてしまったら、自分だけ得をしようとしてあなたに損をさせた、あなたは面白くないと思うのはわかる。でもコロッケがカビカビカビになっていて、子どもが食べたら危ないなと思ったから捨てるのももったいないし食べちゃったんだよ。ずるいことしようとしたわけじゃないんだ。
というような感じですね。

先ず、肯定する。その後で修正するという流れはとても大切です。

さらに傾聴と受容によって、相手方が何らかの不安や苦しみを感じている場合、こういうことであれば苦しいよね、不安だよねと言い当ててあげることによって安心感はますます大きくなりますし。そのあとの訂正もすんなり受け入れてもらいやすくなります。

先ほど、このような態度で相手の話を聞くということを週2回行いましょうと言いましたが、実際はなかなか難しいと思います。月1でもやるのとやらないのと大分違ってくると本当は思っています。

しかし、相手が言いたいことが何もなくても週に1度くらいは、自分たちの状態について点検したり、楽しい企画をすることで相手に向き合って話をする機会がある方が、安心感は大きくなることは間違いないと思います。

その時、ゲーム感覚で、傾聴、受容、共感ということをやってみることは、夫婦円満、家内安全を実現し、自分の社会的評判を上げる貴重なトレーニングになることでしょう。

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