SSブログ

なぜ過労死するほど働いたのか 私がやらなくてはの要因、構造 [労災事件]

昨日、話が思わぬ方向に流れ、
書きたいことが半分で終わってしまいました。
やはり私が担当した事案の範囲の話です。
実際は、もっとむごいケースも聞いています。
今日は、パワーハラスメントの無い事案ということになります。

まず、私の知り合いが過労自殺したケースですが、
当初、彼の仕事ぶりを資料で見て、
どうしてという疑問をもちました。
こんなに、色々なことを引き受けなくてもいいじゃないかと。
何かあせっていたのかと思ったくらいです。

学校の先生でした。
同僚の先生や、同じようなポジションの先生、
教え子や教え子の親御さん等からお話しを聞いていくうちに、
なるほど、一つ一つの仕事は、
彼が適当で、彼しかやれる人はいないような
自分で、そう思ってしまうのも仕方ないかなと
思うようになって行きました。

色々な事件をやっていると、
今日の教師という職業は、危険な職業だと感じます。
一日中休みが無い、
一つ一つが高度に神経を費やす、
色々な職種を同時期に処理しなければならない、
(教科担任、学級担任、部活動顧問、生徒会、
PTA、受験指導、職員会議等々)
世界的にもうつ病の多い仕事となっています。

非正規雇用の問題も私がやらなくてはの
要因になることがありました。
一つは、形式的には下請会社ですが、
実質的には、派遣先の指揮命令で仕事をする
会社の従業員の方の過労自殺でしたが、

こちらは小さい会社で、相手は大きな会社。
自分が相手に逆らったり、仕事でミスしたり、
穴を開けたら、相手会社からの取引が打ち切られる。
そうなったら会社はつぶれてしまう。
そういう気持ちで、無理な要求にも従っていました。
(そういう意味ではパワハラの要素もありました)
亡くなる数か月前は、仕事をしながらいつしかねてしまい、
徹夜作業もありで、
ほとんど布団で寝たことはありませんでした。

どうやら、会社の同僚も同じような状態で、
なかなか助けをもらえなかったということもあります。
最初は励ましていた友達も、
最後は、仕事をやめろと言いだし、
本人も退職を決意したのですが、
その月の半ばに自殺された事案でした。

クレーム処理というセクションで、
色々な建築現場を回るのですが、
会社本来の仕事のフォローという側面が強いので、
なかなか人員を割り当てるということができず、
自分が、取引先との面談から、
役所への報告書の作成から、
色々なことをやらなければならず、
(また、役所の書式が独特で、
書式を少し間違えても再提出という
ことがくりかえされたようです)
脳出血で亡くなった事案もありました。

営業の成績がよく、
その営業所をけん引する働きをしていた人も、
体の異変に気がつきながら、
自分で設定したノルマの達成のために休まず、
こんなことでこんな重篤なという、
体がぼろぼろになっていたような、
悲惨な亡くなり方をされた事案もありました。

私がやらなくてはという構造は確かにあるようです。
しかも、最初は、自分のできる範囲から始まっています。
なりゆきで、どんどん仕事が増えていった
ということはあったようです。

しかし、その人たちが亡くなっても、
会社や学校は存続しています。
確かにその時、その人たちがやらなければと
そう思ったはずなのに、多少ぎくしゃくしても
組織自体は無くならないのです。

逆にいえば、ぎくしゃくすることを恐れて、
完璧やろうとしすぎたのでしょうか。

会社は無くなりませんが、
その人のお子さんにとってかけがえのない
お父さん、お母さん、あるいは娘、息子は
失われて、戻りません。
ひどく傷つき、問題行動を繰り返すお子さんも
多くいらっしゃいます。
立派に頑張っているお子さんをみると、
涙が出て、一人で泣いている
馬鹿なオヤジ状態になることもあります。

私がやらなくてはというのは、
結局は、一種の洗脳みたいなものだと
いいきるべきなのでしょう。
やはり、上司が、
仕事が長い部下の、仕事の内容から、
仕事量を軽減するべきだし、
会社は予算措置を講じなければならない
と言い切らなければならないでしょう。
人命がかかっているからです。
その人の家族の一生がかかっているからです。

イキイキと張り切っている
しかし張り切りすぎている時が
危険な時なのかもしれません。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0