性犯罪前歴者やＤＶ加害者にＧＰＳ端末携帯を常時義務付ける条例？

大体、新聞報道の仕方を見てると、
マスコミが、その人をどうしたいか見えてきますね。

今日はデータ入力についての話題
を予定していたのですが、
宮城県知事がやってくれたので、
コメントせざるを得ません。

昨日の新聞で、
宮城県の懇談会を開いて、
性犯罪前歴者やＤＶ加害者にＧＰＳ端末携帯を常時義務付ける条例
を制定しようという記事が
でました。

突っ込みどころ満載の記事で、
概ね批判的な声を紹介しています。

新聞でもその危険性について指摘しています。

私の突っ込みどころは、
まじめなところ２つと、落ち１つにします。

１　「公共の福祉に供するなら人権侵害はない。」
という発言。
誰か、スタッフで法律家はいなかったのでしょうか。

ここだけでも色々言いたいところなのですが、
人権制限が公共福祉で許される場合と
許されない場合があるということが一つ。

公共の福祉で許される場合でも、
最小限の制約という原則があるということ、

即ち
公共の福祉が、人権制約をすべて許す理屈にはならない
ということは、
大学生でも知っています。

知らないで発言したとしても、
知事としては、一大舌禍事件になるでしょう。
例えば東京都知事や大阪府知事だったら。

知っていて発言したとしたら、
重大問題になるでしょうが、
そこまでの憲法無視者ではないと信じたい。

まあ、真意は違うというところにあったとの説明が
なされるものと思われます。

あえて新聞（われらが河北新報！）が一面に、
この発言をもってきたということを、
反対の識者だけ紹介していることその他を合わせると、
何らかの修正会見を開かないと
どこかの市の市長さんと同じ末路となることに
気がついて欲しい。

スタッフがいたら教えてあげて欲しい。

２番の突っ込みどころは、
ＤＶ加害者を性犯罪者と同列にするというところです。
ここもこれだけで突っ込みどころ満載です。
家庭内のＤＶ加害者に携帯端末をつけても、
家に帰るだけです。
もしかしたら、ＤＶ被害から逃げている人のために、
追っているＤＶ加害者にＧＰＳ端末をつける
ということかもしれない。

しかし、最近指摘されているように、
実質的なＤＶ加害者、
あるいは、離婚した夫が、
養育費を払いたくなくて、
自治体にＤＶ被害の援助要請を出す事案があるようです。

ある方法で、
簡単に自治体は受け付けます。
そうすると、
養育費を請求しようにも、
相手の住所を調査することができなくなり、
夫はまんまと請求から逃げられる
ということです。

（ちなみに、弁護士を依頼することで、
これは何とかなるのですが、
弁護士費用を払わなければならないし、
相手を見つけたら無収入だったということも
あるわけです。
この時は費用倒れとなります）

どうやって、ＤＶを認定するかも、
現場からは簡単な場合だけではないよと
誰からか聞いておいて欲しかった。

おそらく、この話題は立ち消えになるか、
知事辞職で消えるか、
いずれにしても消える話でしょう。

議論まで行けば、
大成功なのでしょうけれど、
それで、やめるというのもどうなんでしょう。

女の人にタクシーチケット使わせてやめるより
よほど本懐を果たすことにはなるのでしょうけれど。

これだけのことを言い出した要因は、
誘致した工場が生産を開始したということがきっかけでしょう。

結論に満足して油断してしまったか、

雇用の創設と言いながら、
大半が前の工場のある東海地方から
引っ越してきた人が採用されているだけだとか
採用者のほとんどが正規従業員ではなく、
有期雇用者で、社会保険の加入もあやういという
実はたいしたことが無かったということで、
何らかの目玉政策を別に打ち上げるという焦りがあったか、

そんなところで、落ちなのですが、
ＤＶ加害者まで増やすとなると、
携帯端末を義務付けられる人は、
膨大な数になると思うのですが、
夜中に犯罪が多いという特徴がいずれもあることですし、

「誰が、画面上の無数のＧＰＳのデータを見続けるんじゃい！」

よく考えると、見てそれからどうするのでしょう。

おそらく被害が起きた後の証拠として
使われるだけじゃないでしょうか。
それではＤＶではほとんど意味はありません。

性犯罪でも、精神的プレッシャーによって
被害が回避されるということを期待してのことなのでしょうが、
疑問半ばとしません。

おまけのおまけとしては、
携帯の充電を誰がするのでしょう。
紛失したら、また買うのでしょうか。