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せっかく東芝さんがわかりやすいサンプルを提示してくれたのだからみんなでわが振り直そう [労務管理・労働環境]


東芝の事件が世の中を騒がせています。
ライブドアの時と比べて影響力はけた違いなのでしょう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150721-00000006-asahi-bus_all

この一件は、対人関係学の労務管理についての主張を
http://www001.upp.so-net.ne.jp/taijinkankei/roumukanri.html
きわめて強力に裏付けています。

事件報道の中の
社長の目標設定は
「ある期間の利益を最大化する『当期利益至上主義』だった」。
という記事に特に目を引かれます。

当期利益至上主義に基づく「チャレンジ」は
労務管理的に言えば、
ウエルチという世界的経営者の「ストレッチ」という方法で
一言で言えば「無理をさせる」というやりかたです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150721-00000006-asahi-bus_all

いろいろな経済情勢の分析や従業員の個性、特性などを一切分析せず
頑張れといえばよいのですから、
誰にでもできる方法です。

指導技術がない人でも結論だけ求めるということです。

パワーハラスメント、部活動のしごき、家庭内暴力
全て、こういうことですから、
この世の中の問題点の象徴ということになります。

これからは、回りくどい説明を避けて
東芝の社長みたいに結論だけを要求することはしないほうが良いと
簡単に説明できるようになりました。

この社長の恫喝を受けた管理職は、
「そんな目標はできない
 できないといえば社長から叱責される。
 ではどうしようか。」
ということで、決算書類を改ざんしたわけです。

ある切り口から考えると
とても幸運だったと思います。
社長の主張を真に受けてしまい
過労死、過労自死に至らないで済んだからです。

さっそく教訓化しましょう。

第1に、
社長から「不可能を強いられている」
ということを集団で確認することができたということです。

これに反して、社長の目標が可能だと信じてしまうと、
「できない自分が悪い」という風に
精神状態がおかしくなっていくところでした。

<上司の指示が不可能だと思ったら、同僚と相談する>
これが東芝事件の教訓の第一です。

第2に、
「不可能なことはやらない。ごまかさそう」
ということです。
過労死をする人たちは、
不可能だとしないで、言われた以上はやらなくてはならない
と思ってしまいます。

<できないと思ったらやらない>
これが東芝事件の教訓の第二です。

第3は、負の教訓ですが、
現場の意見を圧殺する上司の指示は
会社を滅ぼすということです。

私は、不正経理を行った従業員に同情するとことはありますが、
ライブドア事件に照らして、
相当の処分がなされるのはやむを得ないとも思います。

しかし、それを招いたのは他ならない経営者です。

従業員は自分が助かりたいと思ったから
何とかその場しのぎのごまかしをしたわけです。
もはや会社の将来を考えるという
モチベーションがなくなっていました。

理不尽な上司の叱責は、
自己保身につながる。
会社の致命的な影響を考えない。

要するに、自己保身という結果を出すために
ショートカットをしたのですから、
売り上げ目標という結果を出すために
無理させるという無内容な指導をした社長と
全く一緒ということになります。

では、指導力がない経営者、上司はどうしたらよいのでしょう。

一つの方法としては、部下、現場に学ぶということです。
情報、アイデアをできるだけ生の形で収集して、
自分や、自分の経験が不足している分野の権威と
分析を行い、検討をするということです。
その能力がなければ経営者を辞するべきです。

このようなストレッチなどが主流になってくるのが
バブル後半から崩壊期です。

それまでは、あまりこのような無理をさせるということは
行われてきませんでした。

もちろん、言われた方のみになって考える
ことをしていたからです。

現代の生産性が低下している日本では、
相手の人間性をあえて捨象する労務管理が
当り前のようになっています。

こういう私の主張に対して、
「いや高度成長期は余裕があったから
 人間性を尊重できたのだ」
という反論が考えられます。

しかし、戦後の混乱期から高度成長期に続いていたわけで
余裕があった時期というのは実はないのです。
むしろ、人間性を尊重する家族的経営が、
高度成長期を実現した一つの要素だったのではないかと思うのです。

人間性尊重と生産の向上を橋渡しするのが
対人関係学的労務管理論ということになります。
(前掲)

私の企業向け講演の一番費用の高い演題が
「君が代の心を経営に活かす」
というものですが、
そこでは、『当期利益至上主義』を徹底的に批判しています。

なぜ東芝事件は起きたのか
どういう企業思想が必要なのか。
何か事が起きる前に
私の話をお聞きになることをお勧めする次第です。



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