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国際人権(自由権)規約第1選択議定書をだれも反対しないのに、議論のにも俎上にも上らない理由は、安保法制の議論(砂川基地判決の勉強)によって簡単に解決してしまいました。 [弁護士会 民主主義 人権]

最近安全保障法制の議論で
砂川事件判決がよく引用されているのですが、
われわれ元司法受験生にとっては
統治行為論とか跳躍上告とかいう
アウトラインはよくわかっているのですが
あれ?どういう判決だったけ?
ということで改めて調べたいと思っていたのです。

このことがなければ読まなかった本が
これです。

検証・法治国家崩壊 (「戦後再発見」双書3) 単行本 – 2014/7/20
吉田 敏浩 (著), 新原 昭治 (著), 末浪 靖司
創元社

http://www.amazon.co.jp/%E6%A4%9C%E8%A8%BC%E3%83%BB%E6%B3%95%E6%B2%BB%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%B4%A9%E5%A3%8A-%E3%80%8C%E6%88%A6%E5%BE%8C%E5%86%8D%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%80%8D%E5%8F%8C%E6%9B%B83-%E5%90%89%E7%94%B0-%E6%95%8F%E6%B5%A9/dp/4422300539

砂川事件は、1950年代の事件なのですが、
農家の農地を
米軍の基地拡張のために強制収容しようとしていて
そのための測量に反対している農家が
労働組合や学生に応援を呼びかけ
スクラムを組んで抵抗したそうです。

これをアメリカが強制的に排除しろと命令したので、
日本の警察がスクラムを組んでいるだけの学生、労働組合
日本山妙法寺のお坊様方に対して
暴力をふるって排除した
というところから始まったそうです。

この時、大学からも
たくさんの学生が
ダンプカーの荷台に乗り込んで
立川市まで駆け付けものでした。
って、生まれた前のことですが、
「青春の門」という映画で
私、この役をやって
歌を歌っているんです。
ああ、この事件の時の役だったのかと
今日気が付きました。

ただ、この時、農民らの排除のために
アメリカは、自衛隊も出動させろと
命令したそうですが、
時の防衛庁長官は
これを断固拒否したという話も掲載されています。
ずいぶん今と違うなあと思いました。

そんなこんなの砂川基地闘争の中で
米軍基地の中に入った23名の中の
7名が特別法で処罰されたのが
砂川基地判決なのですが

1審の伊達秋雄裁判官は、
特別法が違憲無効だとして
被告人全員を無罪としたのです。
いわゆる伊達判決といわれる有名な判決です。

それをアメリカの日本大使が
外務大臣を通じて
跳躍上告をするよう命じて
その通り検察官はするのですが、

当時の最高裁長官田中耕太郎は
訴訟進行の見通しや
合議の流れなどを
アメリカ大使に報告しているのです。

これらはアメリカの公文書館で見られるそうです。

本には、原文のコピーが掲載されています。

言いたいことは山ほどあるのですが、
長くなりすぎるので小出しにするとして、

基地訴訟との関連も考えると
私が2010年1月にこのブログで書いた
国際人権(自由権)規約第1選択議定書が
歴代政府、中曽根さんも含めて
誰も反対していないのに
民主党なんてマニュフェストに掲げたのに
全然議論すらされていない
という不思議の謎も
簡単に解決できることですね。

つまり、選択議定書が批准されると
個人通報制度という制度を日本国民も使えるようになり、
人権侵害が、裁判でも回復されない場合、
直接国連に訴え出て
勧告をしてもらうことができるのです。

基地や低空飛行で
人権を侵害されている日本国民は、
最高裁に行っても
飛行の差し止めはされません。

しかし、せめてアメリカ本土並みに
気を使ってくれということは
国連でも受け入れざるを得ないと思いますので、
基地問題に勧告が出てしまう。

困るのはアメリカと
アメリカの利益を
言いなりになって代弁している日本政府ですから、
日本政府が選択議定書を批准しようとしても、
アメリカに止められればできない
議論の俎上にも上らないということは
考えれば
実に簡単に解ける謎でした。

安全保障法制の議論がなければ
ずうっと気が付かなかったと思います。


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