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うつ病、PTSDの治癒期間は、特に安心している環境から攻撃を受けた形の心因反応は、難治性になり治療が長期に及ぶはずだという感想 [労災事件]



私の依頼者には、長期間うつ病やPTSDの症状が継続している方が多くいらっしゃいます。

私の依頼者の方々は、広い意味での人間関係の中で傷ついたわけですが、このことで裁判をしていると、相手方から、治療期間が長くなりすぎている、本人の弱さが治療期間の長引く原因であり、相手方の責任を減額するべきだという主張がなされて再度傷つくことになることが通常です。

ものの本には、うつ病の治療期間は2,3年で完治するとか大雑把なことを言うお医者さんもいて、これが論拠とされています。よくよく読めば、薬が効果が上がるうつ病の場合は2,3年と書いてあるのですが、どんな場合が薬が効果があり、どんな場合が薬が効果がないかまでは説明されていません。

うつ病の患者さんたちは、できることなら早く病気から解放されたいと願っているわけです。それなのに、標準よりも治るのが長くかかりすぎるなんて言われてしまうと、「本当に病気なのか」、「自分が弱いから病気でいたいのではないのか」等と言われているように感じて再び傷つくわけです。

うつ病やPTSDにり患して治療が長くかかっている、10年以上かかっている場合は、共通点があるような気がします。

先ず、自然発生的なうつ病ではなく、何らかの原因があること
次に、一言で言えば、安心している状態に対してカウンターのような攻撃を受けたこと。
もう一つ言えば、それらの結果、日常が安心でき環境ではなくなってしまったことです。

強盗事件によって、5年以上部屋のカーテンを開けることができず、10年以上働くこともできなかったPTSDの患者さんがいます。
この方は、深夜帯に退勤となる仕事をしていたのですが、いつものように退勤しようと従業員出入り口から鍵を開けて外に出たところ凶器を持った強盗に襲われて、身体を拘束されて相当時間殺される恐怖を味わい続けました。

いつものように仕事を終えて家に帰ろうとしていたところ、いつもとは違う強盗に突然つかまれたという出来事がPTSDを難治にしたと感じられます。つまり自宅にいても、扉がありますし、扉が開いていても見えない場所があるわけです。見えない場所に何か悪い者がいるのではないかという警戒心を常に持ち続けていたのでしょう。カーテンを開けられなかったのも、カーテンを開けたら何変わるものが見えてしまうという警戒心を病的に感じてしまっていたということになります。

そうやって、自宅にいても安心することができなくなったことは、強盗によって命の危険を感じさせられたというだけでなく、通常は安心して警戒しないで過ごす場所で強盗に襲われたということから、自宅でさえも安心することができなくなってしまったということなのだろうと思います。

どこでも安心できず、あの時の不意を襲われて命が危ない状態になったという体験が自宅でもよみがえりやすいことが症状が治まりにくい原因だったのではないかとわかりやすい事例だと思います。

おそらくこういう日常を過ごしていたところで危険が起きると、危険を覚悟していて危険が生じた場合以上に強烈なダメージを受けるのではないでしょうか。

営業職で、外回りが多かったけれど、上司の罵倒が激しく恐怖を感じていた。GPSを車か何かに設置されていたらしく、「今どこにいるだろう」というメールや電話が頻繁に来た。深夜1時の業務連絡のメールにもすぐに返事をしないと不安でたまらなくなりうつ病を発症。7年後リモートワーク中心の仕事に再就職するが、対人関係的に過敏な症状が残存。

この会社はそれまでは比較的、無理を言わない会社だったのですが、東日本大震災で、数か月売り上げが上がらず、その期間の穴埋めをするという無理を通そうとした上、代わったばかりの上司が中途採用で自分の立場を安定させるために成果を上げさせようとしてさらに無理を通そうとしたようです。

命の危険はなかったのですが、自分が安心して勤めていた会社から、突如上司が後退したとたんに人格を否定されるような罵倒を受け、夜昼なく、自宅でもどこでもメールが来る、どこにいても監視されているということで、ほっと一息が付ける場所が無くなってしまいました。自宅ですら安心できる場所ではなくなってうつ病となったと考えやすい事案で、自宅が安心できる場所ではないことから治療が長引いたということもわかりやすいように思われます。結局この方は引っ越しされてから再就職が可能となりました。

次の事案は職場で暴行事件を受けてひどいむち打ち症となり苦しんでいるところに、上司が暴行事件が公になって管理職である自分の評価が下がることを恐れたことと、さらにその上司からの指示もあり、事件を握りつぶそうとしました。警察に通報することや労働災害の申請をすることを断念させようと1か月も説得を続けました。その理屈もあたかも、職場全体の利益から事件化することを避けるべきだとか、暴行を受けたあなたも悪いなど、暴行事件はどうなったというような内容でした。上司の上司からも説得を受けるようにもなりました。

被害者は説得していた上司は、全体のことを考えた上で、自分の利益も考えてことを大きくするなという体で話していたのですが、ある時被害者は結局上司たちの自己保身で言っていて、自分のこと等を考えていないということに気が付き、気が付いた途端に症状が重篤化してしまいました。信じていて、尊敬もしていた上司に裏切られたということが

職場内トラブルをめぐり、上司から事態の隠ぺいを執拗に働きかけられる。説得活動のため仕事に時間が当てられなくなる。いろいろ考えてアドバイスを受けていたと思っていたが、やはり隠蔽だと気が付いて発症。職場復帰を何度かするのですが、そのたびに暴行を受けた現場や上司から説得された部屋の前を通らなくてはならず、嫌な気持ちがぶり返してしまいました。11年たってようやく復職が継続していますが、復職にはいろいろなその後の状況が良い方に働いたという運もありました。

以上の3例はすべて労災認定されて、治りきらないということで症状固定となっています。

3例とも症状も異なれば、うつ病とPTSDという診断名も異なるのですが、先ほど述べた3つの特徴が良くあてはまる共通項もあります。

現在うつ病は、それが遺伝的なものであれ、原因不明のものであれ、薬物や外傷によるものであれ、今回のストレスによるものであれ、すべてうつ病という一つの診断名になっています。それがどの程度合理的なのか医学的なことはわかりかねますが、原因によっては治療方法が異なる、つまりストレスが原因のものは薬が効きにくいという話も聞きます。心因性のものは別個の病気と考えた方が良いということは無いのでしょうか。

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