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1から10まで夫を嫌いにならないために 3 (夫の育て方、夫婦愛の育み方) [家事]

4 夫を誘導する方法

  夫を変えるということはなかなか難しいです。特に、結婚後しばらくたって現れた夫の本性はなかなかなおりません。一番要領の悪いアプローチは、「ここをこう直せ」と結論を求めることです。相手が人間でなく、木か石なら動かすこともできます。しかし、意思のある人間ですから、結論だけを押し付けることはできないと考えるべきです。

  夫を変えるためには、代わってほしい方向に誘導することです。男性の本能を利用することが有効です。馬は群れの先頭に立ちたいという本能があるので競馬が成立します。餌がほしいという動物の本能を利用して調教することもできます。群れを作る動物は、群れの中で尊重されるということに喜びを感じて、誘導されているのではないかと思うのです。

  ここでのポイントは、男性と女性の違いをよく把握して、その特質を利用することだと思います。なにせ、夫婦はその家の中では、世界中の男性と世界中の女性の代表なのです。妻は、全女性を代表して夫と向き合うことができます。夫にとってはほかの女性はともかく、全女性の代表者である妻に貢献するべきなのです。
  私はこうしてほしいんだということをいう場合でも、「私はこうしてほしい。」というよりも、「女性はこういうことを求めているんだ。」とおおいばりで言う方が言いやすい場合があります。夫が、「いやこういう人もいる。」と言おうものなら、「例外的な存在は常にある。あくまでも代表は私だ。」と涼しい顔をしていればよいのです。ただ、あなたは全世界の女性の代表ですから、女性をおとしめないふるまいをする必要はあるわけです。

  男性は、法律、道徳、ルール、ややこしいことに都合のよいところだけの男女平等を掲げてきますが、それはよその世界のことで良いと思います。妻の方も、自分だけが特別だと悩むことはあまり意味のないことですので、そのためにも全世界の女性の代表者という感覚は必要な発想だと思います。

男は良い悪い、道徳等外的なルールに照らして行動をする傾向にあります。これに対して女性は相手の感情に価値をおいて行動する傾向にあります。それぞれメリットデメリットがあります。男性的考えのデメリットは、結局ルールに従って安心しているだけで、それで家族のみんなが幸せになる保証は何一つないということです。女性的発想のデメリットは、相手の気持ちを考えすぎて、ほかの人の気持ちまで考えられなくなるということが多いようです。小学校のいじめはリーダーが感情的なために優しい追随者が振り回されてしまい、いじめられる子の気持ちを考えないで起こることがあります。夫婦がうまく話し合って、物事を決めると、どちらのデメリットも回避することができるクリエイティブな体験をすることができるでしょう。

  自死も男性が女性に比べて圧倒的に多いです。この理由としては、男性は役割感を強く感じたいという傾向にあるからと言われています。男性は、自分が群れの役に立っているという実感を持つことによって群れから追放される不安を感じないですむという性質があるようです。だから、男性にとって「役立たず」とか、「能力がない」ということは、たまらなく不安を掻き立てられますので、禁句です。この不安は一瞬のうちに怒りや恨みに変化して現れます。女性に対しても言うべきではないことは当然のことですが、男性はその言葉によって瞬間的な殺意さえも生まれることがあるようです。ですから、逆に「頼りになる」という言葉は、男性の「役に立ちたい本能」を刺激します。誘導をする場合に強力な武器になるでしょう。「ありがとう」という言葉も、「役に立った感」を刺激して満足感を与え、次も役に立ちたいという気持ちを起こさせるでしょう。
  また、男性の「尊重されている感」を刺激する簡単な方法は食事です。一人だけ量を増やしたり、一品増やしたりすることで自尊心は高まります。ある地方では、婿養子に刺身一品多くつけるという風習があります。婿養子という疎外感を感じやすい状態を克服する知恵として永年にわたって実行されていることです。このように、男性に対しては難しく考えすぎないことが肝要です。

5 尊重されているサンプルを示して誘導する

  夫を誘導するもう一つの方法は、サンプルを示すということです。自分がやってほしいことを相手にするということですね。これは幼稚園の頃から言われていると思うのですが、あまり理由は説明されていないように思います。尊重されたことのない人は、相手をどのように尊重すればよいのかわからないのです。このために、自分が尊重されてうれしかったという体験をさせて、こうすればよいんだというサンプルを与えることが必要になります。まして、女性がどうやれば喜ぶかということを知らないわけですから、自分はこうされるとうれしいということを、相手に示し、まねさせるという戦略なのです。

  また、その時の言葉も大切です。
  「喜んでくれたら私もうれしい。」「うれしいならまたするね。」という言葉も、少しずつ染み込ませていきましょう。
  ただ、これは、あまり速攻を求めるべきではありません。少しずつ夫を育てていくという農業的感覚が必要です。

  この戦略によって、夫がうれしい行動に出たら、大げさに喜びましょう。それは意識しなくてもできるはずです。その行動がうれしいのではなく、作戦がまんまと成功したからうれしいのですから、してやったりという気持ちになるはずです。
  こういうことを言っていると、なにやら打算的に聞こえるかもしれません。しかし、これは妻だけの利益ではありません。夫婦が円満に続くことは、夫にとって最大の利益です。どんなに全国的に活躍している人だって、妻から愛想をつかされて出ていけば、全人格を否定されたというショックで抜け殻みたいになる可能性があるのです。生きていく喜びは、家族というチーム状態が良好であることに尽きる。そう確信して、大切に愛を育んでいきましょう。

 「夫側は、では自分が何をすればよいのかということをあれこれ考え始めます。それはそれで一歩前進なのです。ただ、決定的に欠けることは、妻に意見を求める、妻に決めてもらうという観点です。これは、単純に気が付かないだけのようです。一言アドバイスをすればわかってくれる男性が多いように思います。」

6 尊重しないということを辞めるのではなく尊重するということ

  女性も男性も、できれば、新婚のうちから、意識的に相手を尊重するということを始めるべきだと思います。そして、仲直りのルールなんかも早い段階ならばとんとん拍子に決めることができるでしょう。仲人に代わる相談機関等も見つけておくことと便利です。何か悪いことを改善するために意見を求めるのではなく、自分たちがうまくやっているということを仲人に言葉で話すことによって、改めて確認するためです。お互いが末永く一緒にいるということに最大限の価値を置き、それを時々意識することがうまくゆくための方法です。チームの状態を高めるということを共同で行うことが一体感を高めます。大人同士のパートナーという感じがしませんか。

  ところで、相手を尊重するということはどういうことでしょうか。それは、人間としての危険を感じる仕組みで述べました、追放の予感を感じさせないということです。人間はちょっぴり心配しがちになるということをお話ししましたが、このために何もしないでいると不安がむくむくと顔を出してきてしまいます。だから、尊重しない行動をとらないというよりも、尊重する行動をするという積極的な行動が必要です。

  では、何が尊重なのかということです。

人間としての不安の巻き戻しになります。追放の予感を感じさせる一つの事情に、自分の失敗、自分の欠点、自分の弱点などがあります。人はいろいろな弱点があります。例えば、掃除ができない、片付けができない、金銭管理が下手、子どもをあやすことが下手、色々ありますね。この点について、責めない、笑わない、批判しない、説教しない。こういう扱いをされると、安心しますよね。デリケートなところなので、「あなたは掃除が下手だから、私がやる。」とか、「あなたは食器洗っても洗い残しが必ずあるからやらないで」とかいうと傷つきます。上手にフォローしていく工夫が必要です。
  また、追放の予感は、「自分だけが損させられている」ということがあります。夫婦なので、思いっきり特別扱いをしても誰にも迷惑がかかりません。まずは、唐揚げを一個余計に夫にだけ配分しましょう。そんなことでよいんです。それをしない理由はあまりないと思います。